« 2003年3月 | メイン | 2003年5月 »

2003年4月23日

P2P で何が変わるのか:ファイル共有・ファイル交換


前回はインスタントメッセージングを紹介しましたが、 P2P と聞いて皆さんが一番最初にイメージされるのは、やはり ファイル共有ソフトでしょう。


先駆けであるナップスターから始まった P2P 型のファイル共有ソフトですが、今では KazaA や、WinMX や Winny など、無数の P2P 型のファイル共有ソフトを Web サイトで見つけることができます。



多くの方は、ナップスターを中心とした P2P ソフトと音楽企業の裁判の話を耳にしていると思います。そこから、P2P のファイル共有ソフトとは、 MP3 の音楽ファイルを共有するソフトだと考えている方も多いかもしれません。



しかし、実はそれは本質的な部分ではありません。このナップスターに始まる P2P 型のファイル共有の仕組みは、純粋に技術的な観点で IT 業界に大きな衝撃を与えているのです。それが、 前々回のコラムで触れた純粋な P2P 技術のメリットの部分です。



■サーバーボトルネックが非常に少ない



ナップスターは、「誰がどの音楽ファイルを持っているか」という電話帳にあたるインデックス部分を中央サーバーに持っていました。そのため純粋に P2P ではないという議論もありますが、それでも資金のない学生が運営するサーバーが半年で900万人、 1年で3800万人もの利用者を獲得して正常に動作していました(もちろんトラブルはありましたが)。



NTT ドコモの iモード が急成長した時代に、頻繁にサーバーがダウンして問題になりましたが、そのiモードでも、 1999年1月にサービスを開始して2001年3月に2000万契約に届くまで、 2年以上かかっています。



あの巨大な NTT ドコモが、携帯のテキスト程度の小さなコンテンツが集中するサーバーの増強に苦労していたのに、ナップスターは、学生を中心とするメンバーで音楽ファイルという大きなサイズのファイル配信に対応してしまいました。これは P2P 型でなければとても実現できない話です。



■非常に低いコストで構築できる



前々回のコラムでも触れましたが、ナップスターは大学生によって開発されました。当時なんと18歳です。もちろん多額の資金があったわけではありませんし、儲けるためのビジネスモデルがあったわけではありません。単純に、自分の欲しい音楽ファイルを見つける仕組みを考えつき、作り上げてしまったのです。



ナップスターは急速に利用者が拡大した上に、ピーク時には5000万人を越える利用者がいたといわれています。それだけの利用者がいる音楽ファイル配信システムをサーバー型で構築しようとすると、複数の高価なサーバーや超高速な回線が必要になり、とても学生が中心に半年や一年で構築できるような代物ではなくなってしまいます。



このようなメリットがある P2P 型のファイル配信システムですが、現在は著作権問題のほうが注目されていることもあり、前回紹介したインスタントメッセージングソフトのように、大企業の参入はまだ表だって始まっていません。



ただ、水面下での模索は始まっており、例えばマイクロソフトの若手開発者が中心に開発した ThreeDegrees というソフトは、 IM ソフトが中心となってはいますが、メンバー同士で持っている音楽ソフトを相手に聞かせることができるようになっています。



もちろんファイル共有という視点では、音楽ソフトだけでなく、企業における提案書や CAD データなどの大容量ファイルにも、同じ仕組みを適用できます。



おそらく著作権上の問題を克服することができれば、 P2P 型のシステムが様々なシステムに転用され、システム構築の一手段として定着していくことが予想されます。

2003年4月 9日

P2P で何が変わるのか:インスタントメッセージング


前回のコラムでは、いくつか P2P アプリケーションの主なものをご紹介しました。今回からは、それぞれもう少し深く P2P ならではの特徴を見ていきたいと思います。


前回のコラムでは、いくつか P2P アプリケーションの主なものをご紹介しました。今回からは、それぞれもう少し深く P2P ならではの特徴を見ていきたいと思います。



皆さん、インスタントメッセージングというソフトウェアはご存知でしょうか? この言葉自体は知らない人も、 Windows メッセンジャーや Yahoo メッセンジャーと言えばご存知の方は多いはずです。(Windows XP には、Windows メッセンジャーが内蔵されていますね。)



インスタントメッセージングソフト(以下 IMソ フト)は、基本的にはパソコンからパソコンへと簡単なメッセージを送ることができるソフトウェアです。「メッセージを送るなら電子メールでいいんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。確かにメッセージを送るという行為は同じですが、前回のコラムでも説明したように、 IM ソフトにはメールにない P2P ならではの特徴があります。



■リアルタイムのやり取りが可能



メールと異なり、間にメッセージを蓄積するためのサーバーが存在しませんので、送信するとすぐに相手に届きます。そのため、電話のようにリアルタイムのやり取りが可能です。



■相手の状態が分かる



パソコン同士で直接相手を認識するため、相手がいるかどうか(少なくとも IM ソフトが起動中かどうか)を把握することができます。



ただし、相手のパソコンが起動していることが必須のため、メールのように相手がいない間に送るということはできませんし、ファイアウォールを越えてやり取りをするのが難しかったり、異なる IM ソフト同士で通信することはできなかったりと、様々な制限もあります。



なお、通常の IM ソフトではサービス提供元の会社にあるサーバーを中心に動作している形になっているため、サーバー型アプリケーションに近いというのが実態です。



ちなみに、最近はグループチャットやファイル共有の機能、 VoIP(インターネット電話)の機能などが盛り込まれているものが増えています。おそらく今後も様々な機能が盛り込まれていくものと思われます。



なお、IM ソフト分野自体は最近急成長を遂げている分野で、利用者はすでに世界で2億人とも3億人とも言われています。



また、IM ソフトのことを、個人向けのただの雑談ソフトと思っている人も多いかもしれませんが、 IM ソフトは業務利用のアプリケーションとしても非常に注目されています。米調査会社の InsightExpress によると、 2001年夏の段階で、すでに IM ソフト利用者の20%が職場で、職務を遂行する目的に利用していたという調査結果もあります。



現在、アメリカでは企業向けの IM ソフトの覇権争いが始まっており、 3月上旬には、 Microsoft が企業向け IM ソフトのテスト版をリリースしたことで話題を呼びました。



企業によっては利用を制限する方向に動いているところも少なくないようですが、将来的には電子メールと同様にインターネット時代に欠かせないコミュニケーション手段になると言われています。



参考:主な IM ソフト一覧



MSN メッセンジャー

AOLインスタント・メッセンジャー

Yahoo!メッセンジャー

   

PROFILE



アーカイブ

Creative Commons License
   
 
■過去に執筆した本

デジタル・ワークスタイル
デジタル・ワークスタイル―小さなことから革命を起こす仕事術


アルファブロガー
アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから


図解P2Pビジネス
図解P2Pビジネス


www.flickr.com
tokuriki's photos More of tokuriki's photos
Notes移行に
アリエル・エンタープライズ

プロジェクト管理に
logo_proa.gif

スケジュール管理に
mulsche.gif

携帯電話で予定管理
airmobile.gif