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2003年7月23日

P2P とビジネスの関係:Person to Person


これまでのコラムでは、 P2P にはファイル交換だけではなく様々な可能性がある、ということを紹介いたしました。



ただ、まだこのレベルだと事例が技術中心のため、多くのユーザーは「自分には関係ない」ことと思われるかもしれません。



そこで、今回からは前回のコラムで紹介した P2P コラボレーションソフトの具体的な機能を例に、 P2P がいかにビジネスの世界にも影響するか、ということを紹介していきたいと思います。


今回は、前回のコラムでも紹介した「Person to Person」という概念について触れてみたいと思います。



ホストコンピューターに代表される企業の基幹システムは、大抵はスター型と呼ばれる一極集中型のシステム構成になります。一番上にホストコンピューターがあって、そこから放射状に各端末に線が延びているような絵を、皆さんもご覧になったことがあるでしょう。



この絵は、実はビジネスの世界でもよくお目にかかりますね。そう、「中央集権型の組織」です。



つまり一極集中型のシステムは、中央集権型の組織に非常に適したシステム構成といえるわけです。一極集中であればデータの管理も容易ですし、情報にアクセスする権限をコントロールするのも簡単にできます。情報はホストコンピューターやサーバーにのみ存在すれば良いわけで、利用者の端末には一切残す必要はありません。権限は全て中央のシステムを管理する人間が握り、あとの人間は単なる利用者となります。 



この中央集権型の組織やシステムの代表としては、やはり銀行などの金融機関の基幹システムや、政府の組織があげられるでしょう。



では、japan.internet.com の読者の皆さんの業務やシステムについてはどうでしょうか? 自分の情報がサーバーだけに保存されていて、いざというときに自分のパソコンで確認できなくて良いのでしょうか? 変更が出るたびに、システム担当に依頼してシステム変更をしなければならないのでしょうか?



インターネットの普及は、 IT 産業だけでなく多くの組織のスタイルを大きく変えようとしています。情報共有も自分の部署内だけという硬直した形態だけではなく、他部署や他企業などとの共有という複雑な形態がありうるはずです。



現在では、そのような組織やシステムには「分散型のシステム」がより適しているのではないかと言われています。その一つとして注目されているのが P2P 技術による個人を中心とした情報共有の仕組みです。



P2P 型の分散型のシステムでは、ホストコンピュータのような中心は存在せず、必要な人が必要な相手と直接情報共有を行います。まさにインターネット社会のビジネススタイルと同じ仕組みでの情報共有を実現するのです。



つまり P2P 技術により端末(Peer)同士がつながる Peer to Peer という環境を構築することにより、組織に依存しすぎることなく個人(Person)同士の Person to Person のつながりを実現できるのです。

2003年7月 9日

P2P で何が変わるのか:P2P コラボレーションツール――その2


サーバー型のグループウェアと比較した場合、 P2P コラボレーションツールには以下のような優位性があります。


■サーバー不要で情報共有を実現できる

これまでの P2P アプリケーションでもたびたび触れたように、 P2P の技術を使用すると高価なサーバーを購入する必要がありません。



■オフラインでも情報が活用できる

P2P コラボレーションツールでは、サーバーではなく自分のパソコンに情報を保管するため、いつでも情報を活用できるのです。



■組織の壁を意識せずに情報共有が実現できる

サーバー型の情報共有と異なり、パソコン同士で情報交換を行うため、ネットワークのセグメントやファイヤーウォールで区切られた組織の壁を越え、情報共有を手軽に実現することができます。



簡単にまとめると、だれでも、いつでも、だれとでも、情報を共有できるアプリケーションということです。



こういった P2P コラボレーションツールの特徴を、皆さんはどう考えられますか。「別に自分には関係ない特徴」でしょうか? それとも、「便利そうな特徴」でしょうか?



P2P コラボレーションツールが「今」注目を浴びているのには、理由があります。インターネットの普及によって、ビジネスのあり方が大きく変わってきているからです。



一昔前、仕事は組織に対し、かなり閉じた性質を持っていました。自分の部署で決まった人とやり取りをしていれば、確実に成果も上がり企業も潤っていた時代でした。そのような時代は、情報のやり取りやコミュニケーションの幅も狭く、上司や一部の同僚など、固定的な業務の流れですんでいました。



しかし、いまや業務の流れは根本から変わってしまっています。このコラムを読んでいる皆さんの企業も、おそらく当時とは全く様変わりしていることと思います。



IT 業界ではすでに、複数の企業が共同でプロジェクトを実施するのは日常茶飯事です。一人の担当者が複数のプロジェクトに参加することもあれば、プロジェクトの体制やメンバーの変更も頻繁に発生します。



IT 業界以外でも、企業を超えたコラボレーションはますます増えてきています。日産自動車のゴーン社長が推進した組織横断型プロジェクトのような流れもあれば、 NPO、NGO や SOHO など明確な形をもたない組織も増えています。



P2P コラボレーションツールは、このビジネス環境の大きな変化の流れに対応したアプリケーションとして、注目されているのです。



このコラムの最初で P2P とは Peer to Peer の略だと紹介しましたが、最近では Person to Person と捉えている人も増えています。つまり、個人を中心とした情報共有・情報交換を実現する技術だと考えているのです。



次回以降のコラムでは、 P2P コラボレーションツールの具体的な利用シーンを中心に、より詳細な P2P の技術の仕組みを紹介していきます。

   

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