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2003年8月20日

P2P とビジネスの関係:真のモバイル?


前回のコラムで「情報を個人に取り戻す」という話をしましたが、それがもっとも端的に現れるのがモバイルにおいてです。



近年「モバイル」という言葉を使う機会が増えましたが、皆さんはどういうイメージを抱いてこの言葉を使っていますか?


欧米では単に携帯電話を指す場合もありますが、日本では一般的にはモバイルコンピューティングを指す場合が多いですね。そのモバイルコンピューティングと言うのも、出先や出張先で携帯電話や PHS を利用してネットワークに接続する場合が多いようです。最近は定額制の PHS も普及し、日本国内においてもかなりの数のモバイラーがいるとも言われています。



ところが、そもそも「モバイル」という英語は「可動性の」とか「固定されていない」という意味です。そういう意味では、基本的には、パソコンや PDA を持ち運んでいればすでにモバイルコンピューティングの実践者と言えるのです。



ただ、ここで中央集権型と P2P 型におけるモバイルの違いが出てきます。



中央集権型のシステムにおいては、クライアントであるパソコンには何の情報も保有されていません。そのため、パソコンをモバイルで持ち運んだとしても、データや情報自体は一緒に移動していないことになります。使うたびに回線を接続して、ホストコンピュータやサーバーに接続して「表示」する、という形でモバイルを実践することになります。当然回線がつながらないと、いくらモバイルとは言っても何の役にもたたないですね。 反対に P2P 型のシステムにおいては、情報は個人のパソコンに保管されています。そのため、回線がつながろうとつながなかろうと、パソコンさえ持ち運んでいれば自分の情報はいつでも利用できます。そういう意味で、P2P 型の技術を利用すれば「真の」モバイルが実現できるようになると考えられるのです。



 ちなみに、読者の皆さんの中には「別に PIM(個人情報管理)ソフトを使えば、どこでも情報は見られるよ」と言う方もいらっしゃるでしょうね。そういう意味では、P2P 型のソフトは PIM ソフトと非常に似ています。「個人情報」が自分のパソコンに存在するからです。ただ、PIM ソフトはそれがあくまで一つの P である個人(Personal)で閉じてしまいますが、 P2P 型の場合は、ネットワークに接続すると他の人と情報を共有できるようになります。 PIM ソフトをお互いに見せているイメージです。



そういう意味では中央集権型のモバイルは、会社のホワイトボードに書いた行き先掲示板を望遠鏡でのぞいているイメージで、 P2P 型のモバイルは、自分の手帳を常に持ち歩いているイメージ、といったところでしょうか。



どちらのモバイルが適切かは業務形態によって異なると思いますが、将来的には少なくともこれまでと異なるモバイルが生まれてくると考えられています。



皆さんが「モバイル」に望むものはどのような未来でしょうか?

2003年8月 6日

P2Pとビジネスの関係:あなたの情報を取り戻す?


前回のコラムで中央集権的な仕組みと分散型の仕組みについて触れましたが、中央集権的とか分散型とかいう例えは少し難しいので、話を簡単にしましょう。


一体 P2P になったら皆さんのビジネスで何が変わるのか?



一番目。「あなたの情報を取り戻すことができます」

正確には、「情報をコントロールする権利を取り戻すことができる」と言ったほうがいいでしょうか。



ホストコンピュータのようなシステムでは、情報はすべて中央のシステムに保管されます。そのため、それを活用することはもちろん、閲覧することすら中央のシステムに依存しています。



この場合は、あなたが作成した情報をコントロールする権利はあなたにはありません。多くの会社の業務システムはこのパターンですね。お客様の情報を預かっているわけですし、それは会社の資産でもありますから、勝手に社員がすべてのデータをダウンロードしたり加工できたりしたら困るわけです。



この仕組みは、システムの構築の観点からすると非常に効率的です。データは一か所にあり(一か所にしかない)、誰がどのようなデータを使ったのかを記録することもできます。そのため、スケジュール管理やファイル管理のようなシステムも、ほとんどがこの中央集権型の仕組みで作られています。



ところが、スケジュールのような個人に属する特質が強い情報管理を中央集権型の仕組みで行うと、どうしても使い勝手に齟齬がでてしまいます。



例えば、出先や自宅などのサーバーにつながらない場所では情報が確認できなかったり、アクセスが集中する月曜日の朝に表示が非常に遅くなったり、ということが発生するのです。



そうすると結局、手帳や Outlook のようなスケジュール管理ソフトにも二重に予定を書き込んだり、 PDA にデータをシンクロさせたり、という捕捉手段を使うことになります。よくある話です。ひどい時には、社員が自分の手段だけを使って予定管理をするようになり、グループウェアが有名無実化してしまいます。



 これが、P2P 型の分散型システムでは、サーバーのような中心がない分、各自のパソコンそれぞれが中心となって動作する形になります。



つまり、利用者それぞれが自分の情報をコントロールする権利を持つことになるわけです。そのため、自分の情報は当然自分のパソコンでいつでも利用することができますし、自分の情報を誰に見せるかは自分でコントロールすることができます。



自分の情報を管理できるだけなら別に手帳でもできますから、目新しいことではないのですが、 P2P の仕組みを使えば、情報をコントロールしつつ他の人と「共有」できるという点に意味があります。このことは、これまで企業レベルでしか得られなかった情報共有システムの仕組みを、個人レベルで実現できるということを表しているのです。



現在音楽業界を中心に大きく議論を巻き起こしている P2P 型のファイル交換システムも、この P2P の特性を体現しています。これまでは高価なサーバーを購入しないとできなかった音楽ファイルを世界に配布する仕組みが、P2P であればパソコンレベルで簡単に構築できてしまうのです。



一人ひとりのビジネスマンが、個人レベルで企業システムと同様の仕組みを使いこなすことができるようになれば、今後大きく仕事の仕方、ビジネスのあり方が変わっていくようになるのではないかと考えられているのも、あながち大げさな話ではないかもしれません。

   

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