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2003年9月24日

P2P とビジネスの関係:家でも仕事ができる時代?


今回のコラムでは、 P2P とビジネスの関係をもう少しビジネススタイルにあわせて考えてみましょう。


これまでのコラムで紹介したように、 P2P をビジネスに活用することにより、「情報を個人に取り戻す」ことができます。パソコンさえ持っていれば、どこでも情報が活用でき、リアルタイムなコミュニケーションを行うことができます。



あなたのパソコンはもうサーバーに縛られていません。あなたの仕事に必要な情報はあなたのパソコンの中にあるのです。



そう、もうあなたは職場の座席に縛られる必要もなくなるのです。 



■自分の席が無い職場



近年、技術の急速な進歩と雇用環境の大きな変化が、これまでのビジネススタイルを大きく変えようとしています。



例えば代表的なものとして、フリーアドレス制のような「自分の席が無い」という新しいオフィスのスタイルがあげられます。



終身雇用の時代は、自分の席に定時に来て、少なくとも定時まで席にいれば良いというのが基本でした。これが報酬制度が成果主義に変わることにより、席にいること自体の価値が大きく変わってきているのです。



簡単にいってしまえば、「成果さえあげてくれれば席に座っていなくてもいい」というスタイルです。 IT コンサルやシステムインテグレータ、広告代理店などの企業で広がり始めているこのスタイルは、オフィスのコストダウンという明確なメリットを企業にもたらす一方で、就業者側にもビジネススタイルの選択肢の幅を広げるという効果をもたらしました。



会社に出社せずに直接顧客を訪問し、顧客のアポが終わったらそのまま自宅に帰って仕事を片付ける。そんなビジネススタイルが広がりつつあるのです。



■サーバー型のシステムでの課題



ところが、残念ながら現在のサーバー型のシステムは、まだそのようなビジネススタイルを完璧にサポートすることはできていません。



サーバー型のシステムの場合、セキュリティを維持するために接続は職場内に限っているケースが通常です。また、一部大企業においては、モバイル環境から社内のシステムに接続できるようなシステムを構築していますが、セキュリティを維持するためにワンタイムパスワードや VPN などの高価なシステムが必要になる場合がほとんどです。



職場のパソコンやグループウェアに書き込んである自分の予定表ですら、自宅のパソコンでは確認することができません。月曜日の朝のアポイントが10時からだったか10時半からだったか、週末に自宅で予定を確認することもできないわけです。



個人の視点からすれば、自分のスケジュールや会社で作成したファイルをちょっと自宅で確認、修正できるだけでも大きなメリットがあるのですが、そのためには上記のような複雑な仕組みが必要になってしまいます。



そのため自宅で仕事の続きをするためにはノートパソコンを持ち帰るか、ファイルをメールに添付したり、外部メモリに書き出して持ち帰ったりする必要が出てきます。



サーバー型のシステムはどうしても中央集権型の作りですので、個人を中心とした新しいビジネススタイルの基盤となるのが構造的に難しいのです。



■職場と自宅の情報を同期



これまでのコラムを読んでいただいた方にはもうお分かりだと思いますが、 P2P 型のシステムはこの障壁を取り除くことができます。



これまでも何度もお話しましたが、 P2P 型のシステムでは、自分で作成した情報は自分でコントロールすることができます。



つまり大規模なシステム構築をしなくても、部署や個人のレベルで同等の情報連携を行うことができるのです。



例えば、P2P 型のグループウェアでは、職場のパソコンと自宅のパソコンの予定表やファイルを、インターネット経由で共有させることができます。



最新の情報はインターネットを経由してお互いのパソコンで同期化されますので、 ADSL などのインターネットへの常時接続環境であれば、高価なシステムを構築せずに、パソコンだけで自宅のパソコンを職場のパソコンと連動させることができるのです。



もう、常に重いノートパソコンを持ち運ばなくても、作成したファイルを修正するたびに外部メモリーにファイルを書き出さなくても、よくなるわけです。



このような P2P 型の仕組みが発展していくと、現在のビジネススタイルの変化にさらに加速されると考えられています。



職場に行くという行為自体が明確な定義を持たなくなり、将来的には、オフィスの座席がフリーアドレスになるだけでなく、自宅やホットスポットのようなスポットオフィスの活用が増え、職場に縛られない新たなビジネススタイルがより広がっていく。そんな未来も別に遠い先の話ではないのかもしれません。

2003年9月10日

P2P とビジネスの関係:リアルタイムコミュニケーション?


「情報を個人に取り戻す」ことによって得られるメリットは、モバイル性の向上だけではありません。自分を中心に情報をやり取りするということは、情報を直接相手とやり取りできることを意味します。


■電子メールは「郵便」



電子メールは現実の世界でいう郵便のようなものだと、 一番最初のコラムで書きました。もちろん、伝達速度が圧倒的に違いますからピンと来ないかもしれませんが、電子メールは最終的にはサーバーにあるあなたのメールボックスにメールが届くだけです。



パソコンがサーバーを定期的に見に行くような設定にしておけば意識する必要はありませんが、それでもメールを送付した人は、自分の電子メールが相手のメールボックスに届いただろうということは分かっても、相手がそのメールを読んだかどうか、いつ読んだかということは分からないわけです。



そのため、急ぎの連絡を電子メールで送った場合、返事がくるまで相手が読んだかどうかは分からないので、結局、心配になって電話する……というのは、実は良くある話ですよね。



■P2P 型アプリは「電話」や「会議室」



サーバー型の電子メールが「郵便」だとすると、 P2P 型のアプリケーションは「電話」に例えればいいでしょうか。それも個人ごとに番号が決まっている携帯電話みたいなもので、直接相手とメッセージをやり取りすることができます。 



例えばインスタントメッセンジャーでは、送ったメッセージが相手に読まれたかどうか、すぐに知ることができます。相手がいなければ当然送ることはできませんが、相手と直接やりとりできるので、ビジネスの世界におけるコミュニケーションをより迅速に行うことができ、非常にメリットがあると言われています。



また、技術の進歩により現在ではインターネットを経由して、 VoIP のような電話だけでなく、テレビ会議、ホワイトボードや資料の共有を実現することも可能です。相手と同じ情報をパソコン上で共有することにより、具体的にその資料の同じページを見ながら話ができるのです。



これは「電話」どころか、実際の「会議室」に近い世界だといえます。つまり、これらの手段は P2P 型の直接相手と情報をやり取りするという特徴を生かすことで、より「リアルタイム」なコミュニケーションを可能にしているのです。



■これからどうなるの?



現在のインターネットは、電子メールが最も基本的なアプリケーションであることは間違いありません。もちろん、今後インスタントメッセンジャーやテレビ会議システムが電子メールに完全に取って代わることもほとんどありえないでしょう。



ただ、郵便が中心の時代には、電話がビジネスのコミュニケーション手段の中心になることは誰も想像できませんでした。電子メールが登場した当時も、多くの人が電子メールは雑談や私用の会話を増やしてしまうと非難したものです。



どこか、現在のインスタントメッセンジャーの議論に似ていますよね。そう考えると、これらの新しい P2P 型のアプリケーションが新たなビジネスのコミュニケーションを担うのかどうか、それが分かるのも時間の問題なのかもしれません。

   

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