« 2004年7月 | メイン | 2004年9月 »

2004年8月31日

[通信業界]ソフトバンク、独自通信網を使った固定電話事業を開始 を読んで

「NTTの基本料は不要」--ソフトバンクグループ、独自通信網を使った固定電話事業を開始を読んで

 やはりこのニュースを取り上げないわけにはいかないだろう。


 孫社長は、「日本テレコム買収はこのためにあった」と発言している。
 またも通信業界の常識破りという点で非常に驚きだ。

 良くNTTは倒産しないという話をするときに私が例に出していたのが基本料金の存在だ。CNETの記事にもあるように、「固定電話市場のうち通話料金市場規模が約1兆4000億円であるのに対し、基本料金市場は約1兆8000億円」NTTは経営が苦しくなれば基本料金を値上げすれば本質的には生き延びることができる。
 
 ただ、それはあくまで競争がない世界の場合だ。


 もちろん光ファイバやCATVにおいては、NTTの基本料金不要の電話サービスというのは既に存在する。ただ、銅線の電話網に関しては、これまでこの基本料金の世界への参入は、投資対効果に見合わないとされてきた。
 米国からの圧力により、NTTの電話網への相互接続料はかなり低い水準まで押し下げられたため、独自網を作るよりもNTTに相互接続料を支払った方が安く済むというのが一般的な見方だったからだ。


 ソフトバンクはこの常識を、法人向けに特化した形で乗り越える予定のようだ。
 通信料金の値下げ競争が激化する中で、基本料金はおそらく現在でも聖域とされているはずだから、案外このインパクトはあるかもしれない。

 独自通信網といっても、銅線を各企業まで引きなおすわけでなく、NTTの局者に設備を設置するだけだから、それほど時間もかからないだろう。
 設備投資額が数百億円規模で、年間730億円のNTTへの相互接続料を支払わなくてよくなる計算だそうだから、狸算としては非常に効率も良い。

 
 他の事業者がいっせいに法人向けIP電話サービスに注力する中、「個人向けサービスなら、IPバックボーンのほうが全体的に見てコストダウンになる。しかし寸断も許されない法人向けには、より安定的なサービスが必要だ」と発言できてしまうのは、個人向けIP電話サービスシェアトップであるソフトバンクならではの実感なのだろうか。

 ブランドの問題もあり、実際にこのサービスを企業が受け入れるかどうかは微妙ですが・・・
 さて、NTTはこれに対してどう反応するのか、それとも無視を決め込むのでしょうか?

2004年8月25日

P2P ソリューション:大容量コンテンツ配信 BitTorrent(おまけ)


2004/8/25にjapan.internet.comに掲載されたコラムです。


本当は BitTorrent については前回で終わる予定だったのですが、ちょうどいいタイミングで新しいニュースが入ってきたので、紹介します。



先日、BitTorrent を活用して「普通のメールと同じぐらい簡単に、 4GB のファイルを送れるようにしよう」というプロジェクトが始まったのです。



■簡単に 4GB のファイルを送れるか?



そもそも 4GB がどれくらいのサイズか、というのはピンと来ない方も多いかもしれませんね。



例えば今話題を呼んでいる iPod mini が 4GB、 1,000曲の音楽を取り込むことができます。また、一般的な映画の動画が 1GB 程度と言われていますから、 3つから4つの映画のサイズということができますね。



とにかく膨大なサイズです。



では、メールで通常送付できる添付ファイルのサイズはどれぐらいでしょうか?



最近のほとんどの企業は 1MB~2MB 程度を上限にしているところが多いですね。



無料で大きなファイルを送付できると人気を呼んでいる宅ふぁいる便ですら 40MB ですから、その100倍のサイズということになります。



大容量の Web メールとして話題を呼んだ Gmail ですら最大容量が 1GB ですから、 4GB というのはとてつもない量です。



このように、大容量のファイルのやり取りというのは、非常に手間やコストのかかるものが多いのが現状です。



そこで、今回話題になったのが BitTorrent を使って「普通のメールと同じぐらい簡単に、4GB のファイルを送れるようにしよう」というプロジェクトです。



■BitTorrent の配信部分を簡単にできるか?



前回は BitTorrent の概要だけを説明しましたが、 BitTorrent は大容量のコンテンツを大量に配信することにフォーカスしています。



そこにフォーカスしすぎたこともあり、実は配信側は結構手間がかかるという課題を指摘されているのも現状です。



そこに目をつけたのが Downhill Battle という NPO で、この BitTorrent の配信の手間がかかる点を解消して簡単にしよう、というプロジェクトを現在 Battle Torrent という名前で進めているのです。



彼らのコンセプトに Blog との比較の例えが出てきます。



Blog という誰でも簡単に Web サイトを作れる技術ができたことにより、現在個人レベルでの情報発信が一気に進み、個人と既成メディアの力関係が変わりつつある、と言われています。



もし、大容量コンテンツを誰でも手軽に配信できるようになれば、音楽家や映像を作成できるアーティストは誰でも、自分の作品を手軽に世の中に配信できるようになり、利用者やアーティストと既成事業者の力関係が大きく変わって、面白い世の中になるのではないか、というのが、Downhill Battleのコンセプトのようです。



もちろん Downhill Battle 自体は、音楽事業者に対抗する位置付けがかなり明確な組織ですので、このプロジェクトがどのような方向に進んでいくのかは、まだ漠然としているところがあります。



ただ、本当に 4GB ものファイルを手軽にやり取りできる時代が来ると、インターネット文化にもまたひとつ大きな変化が来るかもしれません。


2004年8月22日

オーストラリアに旅行に行きました。


Brisbane
Originally uploaded by Tokuriki.
 8月22日からオーストラリアに旅行に行きました。

 8月のオーストラリアは冬になるんですが、ケアンズは十分暑いです。
 (さすがに水は冷たかったですが)

【旅程概要】
→ブリスベン
→ゴールドコースト
→ケアンズ

 ・オーストラリア旅行写真集はこちら

2004年8月20日

KDDI、子会社を統合して「KDDIネットワーク&ソリューションズ」を設立 を読んで

KDDI、子会社を統合して「KDDIネットワーク&ソリューションズ」を設立 - CNET Japanを読んで

 ソフトバンクの日本テレコム買収が、こんなところにも影響をもたらしているのだろうか。


 KDDIは子会社四社を統合して法人向け事業を強化するそうだ。
 個人的にはちょっと遅ればせながらという印象が強いが。


 私も実は昔、通信の法人営業をやっていた。
 当時はNTTに対してDDIと日本テレコムは明確に価格が安いという時代だった。
 例えば電話料金で言えば、全てのエリアでDDIと日本テレコムはNTTよりも10円安い。

 NTTは様々な割引サービス(それも複雑なもの)を投入することで、何とか顧客とのパイプをつなぎ、法人営業の充実化による人海戦術で顧客獲得競争を戦っていた。(要は私もその中の一人だった)
 それに対してDDIや日本テレコムは代理店に販売を依存していた印象が強い。

 代理店からしたら、DDIや日本テレコムのサービスは明らかにNTTより安いのが分かっているのだから、非常に売りやすかったはずだ。
 それに対してNTTの法人営業では、価格競争では本質的に勝てないのでシステムまでトータルに提案することでネットワークもNTTを選択してもらうというソリューション営業の道を選んだ、いや選ばざるを得なかったというのが私の印象だ。

 だが、時代は変わるものだ。


 Terachiさんも現在の法人事業は利益が出にくい体質になっていると指摘している。
 現在の法人向け通信サービスは完全に定価がなくなってしまい、それこそ「半値八掛け二割引」の世界になりつつあるらしい。
 結局通信事業者としても大口顧客は身を切ってでも確保しないといけないので、熾烈な価格競争に陥るケースが多いようだ。

 法人営業を代理店に依存してしまうと、この競争の俎上にすら乗れないというケースが増えているのかもしれない。
 そういう意味ではKDDIとしても、法人向け事業の強化は避けて通れない課題なのだろう。


 個人的には今後移動通信事業においても、同様の流れが出てくると考えている。
 KDDIは移動通信事業と固定通信事業を切り離すのではという憶測も流れているが、どうなんだろう。
 移動通信事業においても法人営業能力の強化は必須だと思うのだが・・・

2004年8月18日

P2Pソリューション:大容量コンテンツ配信 BitTorrent(2)


2004/08/18にjapan.internet.comに掲載されたコラムです。


(前回のコラムの続き)



■P2P 技術による大容量コンテンツ配信の可能性



前回の Kontiki と同様、 BitTorrent においてもすでにビジネス目的での利用事例が複数出てきています。



企業の視点からすると、大容量のファイルの配信というのは実は大きなコストであり、単純にそのコストを削減する手段として P2P 配信が魅力的だから、というのが非常に分かりやすい理由でしょう。



例えば米国の Lindows のようなケースが特徴的です。



Lindows が配付したいコンテンツである LindowsOS は 500MB のサイズがあります。それまでの自社のサーバー型の設備では、同時に120人程度の同時アクセスしか許容できなかったそうです。



それが BitTorrent を配信インフラとして利用することで、同時に1000人に配布できるようになりました。これは単純に配信コストの低減になるため、 Lindows では通常50ドル弱の LindowsOS を、 BitTorrent 利用者なら25ドルの半額で購入できるようにしています。



その他にも同様の視点から、米国のゲーム会社である Blizzard が Blizzard Downloader という名前で、 BitTorrent の配信インフラを使ったソフト配信システムをテストしています。



人気ゲームソフトは、公開と同時にアクセスが集中するという特徴を持っており、最近のファイルサイズの巨大化も影響して、ファイル配信の負荷には各社頭を悩ませているようで、 BitTorrent に期待するところも大きいようです。 



■BitTorrent は表舞台で成功することができるか



前半にも書いたように、BitTorrent は匿名機能を備えていません。開発者の Bram Cohen も、 BitTorrent は著作権のあるファイルを身分を明かさずに交換するには適さない、と発言しています。



ただ、結果的に現在のところは、上記の企業目的での利用以外にも、著作権のあるコンテンツを不正に配付する手段としても利用されてしまっている、という現実もあるようです。



Lindows や Blizzard などの企業利用での成功事例にも関わらず、 BitTorrent がアンダーグラウンドというイメージを払拭できずにいるのは、このような不正利用の問題や、開発があくまで個人ベースということも影響しているのかもしれません。



そういう意味では、 P2P ベースの大容量コンテンツ配信の仕組み自体がビジネスとして展開できるようになるには、まだ 課題が山積しているともいえます。(BitTorrent の Web サイトに行くと、開発者が PayPal で寄付をつのったり、 BitTorrent のロゴが入ったTシャツを販売して開発費を得ようとしているのを伺うことができます)。



ただ、著作権のない大容量コンテンツを低コストで配信できる手法として、今後このような P2P 型配信の利用が増えるのは間違いないと考えられます。

2004年8月17日

[Blog]「ビジネス・ジャーナル」と「ジャーナル・アカデミー」 を読んで

CNET Japan Blog - 「ビジネス・ジャーナル」と「ジャーナル・アカデミー」
を読んで

 この梅田さんの投稿にしても、FPNへの渡辺さんの投稿にしても、最近、ブログでメディア論やジャーナリズム論を見ることが多い気がするが、私の気のせいだろうか。


 やはり有名ブロガーの皆さんも夏休みに入って、ブログを書いている意味というのを改めて振り返っているのかもしれないなぁと思ってしまう。
 (毎日質の高い投稿を続けるというのは相当大変な作業のはずだ)


 個人的にも、いままで自分がなぜこれほどブログの流れに魅せられるのか整理できずにいたが、今回の梅田さんの投稿で少し整理ができたような気がする。

 会社に入ったばかりの頃、特にNTTで働いていた頃は、どちらかというと私は書籍を主な情報源にしていたように記憶している。
 MBAに興味があったこともあり、読むのは大抵マーケティングやマネジメントの古典だった。これらの書籍を読むことで知識が体系的に吸収できる感覚があり、それはそれで非常に勉強になったと思っている。

 ただ、転職してITベンチャーに身をおくようになり、急速に書籍の知識だけでは足りないというのを痛感するようになった。NTTで刺激的に感じていたグロービスが物足りなくなってきたのも、この頃のように記憶している。
 

 今この感覚を振り返るなら、「ジャーナルアカデミー」と「ビジネスジャーナル」の違いで説明できるような気がする。

 とにかく、書籍の知識では遅いのだ。
 例えば今Googleの戦略に関する書籍が出版されたとしても、その書籍に反映されているのはせいぜい半年前までのGoogleの戦略だ。
 知識として吸収するには良くても、今を生きていく判断材料としてはあまり参考にならない。

 ただ、逆にIT系のニュースサイトの記事は、大抵どのサイトを見ても同じような記事の場合が多く、深い情報を得られるのはまれだった。
 そんな私の前に出てきたのがブログというわけだ。
 もちろん、多くの個人のブログは、これまでのプロに比べればそれほど質が高いわけではない。ただ、ブログはその圧倒的な情報量によって、ある程度の質の不足を埋めてくれると感じている。

 そういう意味で、梅田さんのまとめの文章には非常に賛成できる。
わざわざカネを出してまで読む雑誌の場合、その雑誌の特質と読者層の前提がある程度整合が取れていて、しかも編集という付加価値があって交通整理ができているが、ネット上の言説の場合、そのあたりが混然としている。それゆえに、誤解が生じやすく、噛み合わない議論が頻発する代わりに、さまざまな知が交錯して刺激的でもある。

 この「知が交錯」という点が、私がブログに惹かれてやまない理由だろう。
 
 これまで雲の上の存在で、受身でしかなかったジャーナリズムやアカデミズムの世界に、つま先だけでも突っ込むことができるわけだし。
 なんとも面白い時代になったものだ・・・と思うのは私だけだろうか?

2004年8月16日

[通信業界]ドコモ元副社長がボーダフォンのトップへ転身 を読んで

ドコモ元副社長がボーダフォンのトップへ転身,3G展開の遅れ取り戻せるか : IT Pro ニュース

 さすがにこのニュースはちょっと驚いた。


 そもそも、自由化後の日本の通信会社はその多くが電電公社出身者で占められており、今さらNTTグループの人間が他の通信会社に転職したところでそれほど驚く話ではない。

 ただ今回の話はさすがに格が違う。
 津田さんはこのニュースの段階では、ドコモエンジニアリングというドコモの子会社の社長だが、もともとは次期NTTドコモの社長に内定と騒がれた人だ。

 おそらくNTTグループの歴史の中で、これほどの大物がライバル企業に引き抜かれるというのは始めての出来事だろう。
 
 技術系の津田副社長がドコモの社長に内定した後、持株会社が待ったをかけて事務系の中村副社長が社長になったというのは有名な噂だが、実際のところこのあたりの話も少なからず影響しているのだろう。

 いくら社長になれなかったとはいえ、NTTグループにとどまっておけばこのクラスの役員は子会社の社長や顧問などを歴任することで一生が保証されている。まぁ、NTTグループはもともと電電公社、そもそもは逓信省なのだから国家公務員の天下りみたいなものだ。
 そのレールを蹴って、ライバルの、しかも現在不調がつたえられるボーダフォンの社長に転身するとは・・・時代も変わったものだ。


 もちろん、これが米国であれば、社長争いに敗れた経営陣が別の会社の経営者として転身するのは珍しくも無い話だ。
 日本にもついにその流れがきたということだろうか。

 ただ、個人的にはどうしても斜めに見てしまう。
 津田元副社長の経営者としての手腕を私は知らないので何ともいえないが、その功績は主に技術面でのものだ。
 はたして今のボーダフォンには技術面での梃入れが必要なのだろうか?

 3Gで出遅れたというのはもちろん分かるが、現在のボーダフォンの苦境はそれだけが原因とは思えない。
 NTTグループのような巨大企業の経営者の実力は、経営力だけでなくその社内人脈や調整力が大きく影響すると思う。

 はたしてほとんどの腹心をNTTグループに置いてきた状態で、ボーダフォン社長として本当に低迷する船をもう一度引き戻すことはできるのだろうか?

2004年8月15日

[Blog]「みんながちょっとずつ頭がよくなる世界」 を読んで

ITmediaニュース:「みんながちょっとずつ頭がよくなる世界」──「百式」を運営するビジネスマンを読んで

 記事をすっかり見落としていたのだが、NDO:Weblog経由で発見


 百式の田口さんには一度だけお会いしたことがあるが、非常に頭の回転の早いクールな方だ。

 田口さんが某大手ITコンサルで働いていたのは有名な話だが、下記の話は知らなかった。
今は、週1回程の大学院でのシステム構築と、フリーのコンサルティングで生計を立てる。年収は半分に落ちたが、「お金で時間を買った」。

 てっきり、百式関連で何か収入が入るからやめたのかと思っていたが、私の勝手な思い込みだったようだ。

 ただ、ネットをてこに使って自分のブランドを確立した例としては田口さん以上に良い事例は無いだろう。幅広い活動がそれを端的に表している。
百式の名前を出せば、ネット業界の人ならたいがい会ってくれるようになった。会社を辞めた今、名刺に印刷されているのは「百式」の大きな文字。“百式の作者”として、コンサルティングやライターの仕事を受ける。百式のコンテンツをまとめた本も2冊出版した。月1回、数十人の読者を集めてイベントもこなす。

 「大手コンサルの中にいる一人」として会社の仕事をしながら生きるのではなく、「百式の田口」として自分のやりたいことをしながら生きる。

 これまで日本人は「会社」の肩書きで仕事をしていたが、インターネットを上手く使えば、今後こういう「個人」のブランドで生きていく事例というのはどんどん増えて来るんだと思う。
 是非成功事例として突っ走って欲しいものだ。
 
 個人的には田口さんの言葉に更に刺激を受けた。
「シナプスの間の電流。インタラクションが上がれば上がる程、頭が良くなるもの。究極のインターネットは、みんながちょっとずつ頭がよくなる世界になるってことだと思う」
 そう、これだと思う。
 インターネットを上手く使えば、会社や組織の中だけでなく、世界の頭脳を借りることができる。だからこそ、より個人というものが浮き上がってくるのだろう。


 ちなみに、GREEの田中さんの記事といい、今回の百式の田口さんの記事といい、こうやって個人を取り上げているITmediaの岡田さんというのもまた注目のキャラクターのようだ。
 NDO:Weblogのnaoyaさんも、記事を書かれた等の本人である田口さんも、べた褒めしている。

 メディア名よりも記者の名前が前に出てくるというのは、これまでにはあまり無い現象のような気がするが、どうなんだろう・・・
 これも会社の肩書きから個人のブランドへの流れ減少の一つなんだろうか?

2004年8月 9日

[P2P]Skype、有料IP通話サービスの試験提供を開始 を読んで

Skype、有料IP通話サービスの試験提供を開始を読んで。

 すっかりこのニュースを取り上げるのが遅くなってしまった。


 以前自分のブログで書いたこともあるが、私はPCから発信する形のインターネット電話は日本ではそれほど普及しないだろうと思っていた。
 ただ、最近微妙にその考えは変わってきている。

 私がコラムでSkypeを取り上げたのは5月の話になるが、それから数ヶ月でかなり日本においてもSkypeの認知度は上がってきているようだ。

 各種IT系雑誌はおろか、週刊ダイヤモンドなどの一般誌でも取り上げられるようになっているし、最近ブログでSkypeの書き込みを見ない日は無い。
 例えば、磯崎さんのブログではここしばらく実に丁寧にSkypeのレポートがされている。

 
 もちろん磯崎さんのケースは、あくまで国際会議がきっかけであって、一般的な日本企業の前例としては少し特殊かもしれない。
 やはりヘッドセットに対する抵抗感が日本と米国では違うと思うし、この感覚は変わらない。
 
 ただ、このSkype Outでの一般電話との連携サービスのビジネスモデルを見ていると、案外これならいけるのかもしれないとも思えてくる。

 磯崎さんが「道に落ちてる直径30cmのケーキに出くわしたアリさんモデル」と表現しているが、それでいいのかもしれない。
 Skypeの設備投資は、P2Pの特性もあり、通常の電話設備の投資金額に比べて極端に小さいはずだ。小さいことを考えると、現状の音声電話市場の一部を取ってこれるだけで十分利益が出るということだ。

 
 例を考えてみよう。

 現状のSkypeで、会社のビジネスホンの置き換えをするのはまだ厳しい。
 ただ、例えばうちの会社のようなベンチャー企業では、実は開発者の席にはビジネスホンを置いていない。
 もちろんほとんど必要が無いから置いていないのだが、たまに電話をかけたいときにこれが結構困る。

 でももちろんパソコンは持っているわけだから、それこそヘッドセットだけ買ってあげて必要なときだけSkypeで電話をしてもらえばいい。
 PCの起動時間を考えると、Skypeで電話を受けるのは厳しいかもしれないが、かけるだけと割り切れば結構便利かもしれない。

 Skypeに入るのはもちろん非常に少ない接続料だが、積み重ねれば結構いい金額になるかもしれない。
 そうやって考えていけば、結構細かく切り取れる電話市場は存在するのではないだろうか?

 当初の予想に反して、SkypeはPC電話の形態でも思ったよりも普及する可能性があるのでは・・・と思ってしまう今日この頃です。
 

[メッセンジャー]脳を繋ぐテキストチャット、空間を繋ぐビデオチャット を読んで

脳を繋ぐテキストチャット、空間を繋ぐビデオチャット - CNET Japanを読んで

 SFCというのは、既に学校全体が巨大な未来の実験室になっているようだ。


 松村さんが表現している学生のチャット事情は、自分のようなテキストチャットが苦手な人間からすると正直想像もつかない。

 実は私はメッセンジャーが苦手だ。
 秘密主義の私としては、いる状態が相手に知られると言うのがそもそも何かイヤだ。
 (だからGREEのオンライン機能も正直嫌いだったりする)

 おまけにメッセンジャーのチャットはいつが終わりになるのか良く分からないし、複数メンバーでのチャットになったら更に辛い。
 まさに反射神経的にキーボードを叩くしかないのだ。
 (でも実は一時期オンラインゲームにはまっていたので、必至にチャットをしていたが)
 
 「脳を繋ぐテキストチャット」とは実に面白い表現だ。
 多分、私はこの脳に繋がれるような感覚が嫌なのだろう。
 そんな私にとって、時間に拘束されないメールは実に気軽だ。
 
 でも、こういう脳を繋いで共同作業する人たちが出てくると、仕事のスタイルも大幅に変わってしまうのだろうとも感じる。

 
 そういう意味では、もう一つの「空間を繋ぐビデオチャット」というのも興味深い。
 Skypeを使って作業をしている人も言っていたが、インターネット電話の可能性を感じてしまうのはやはり「定額制」(要は無料)というところのようだ。

 これまでの「電話」という行為は従量課金でお金がかかっている中でのコミュニケーションだった。
 よっぽど腹が据わっている遠距離恋愛の恋人同士でもない限り、電話をしている際にお金がかかっているという感覚はなかなか消えない。
 当然、「電話」というのはある程度の目的を持ってする行為だったはずだ。

 それがSkypeのようにどれだけつないでも定額と言うことになると、松村さんが書いているように普通に離れた空間を埋めるだけの手段として使われる可能性が出てくる。
(Skypeはビデオチャットではないが、個人的にビデオの動画部分の必要性はあまり感じていない。私たちはあまりに映像の無い電話という「音声チャット」の世界に慣れてしまったのだと思う)

 実際問題、オンラインゲームにはまっていた時に、オーストラリアの連中からボイスチャットに入れと言われて相当困惑した。
 入ってみたら、本当に彼らはボイスチャットで会話をしながらゲームをしていた。なんだか回りに彼らがいるようで奇妙な感覚だったのを覚えている。
 (私は自分のPCのマイクが壊れているとウソを言って、ボイスチャットには参加しなかったが)


 現在の電話機は全て従量課金を前提に作られているから、かけるという行為は外せない。でも、空間を埋める端末と言う視点で考えるとどうなるのだろう?

 例えば、単身赴任の夫と家族の空間を埋める目的の端末であれば、それこそ常時お互いの映像を表示しっぱなしの定点カメラと集音マイクでも良いのかもしれない。

 ・・・どうだろう・・・・それはないかなぁ。

2004年8月 5日

[P2P]P2Pとネットワーク技術の未来にあるもの を読んで

CNET Japan Blog - 江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance:P2Pとネットワーク技術の未来にあるものを読んで

 江島さんが現状のP2P業界を取り巻く雰囲気を、分かりやすい言葉でまとめている。


 Winnyの開発者逮捕をきっかけに、インターネット上では様々な議論が巻き起こっていた。もちろんその中心は著作権や開発者の権利に関するものだったが、同時に「P2P技術とWinnyの問題をごっちゃにするのはおかしい」という議論も一部で始まっていた。

 開発者の逮捕という事件をきっかけに、議論が反対側に触れるというのも何だかおかしな話だ。
 正直不謹慎な話だが、事件をきっかけに有識者の間で、これからP2Pはどうなるのか?という興味が逆に戻ってきて、意外に追い風になっていたりする。
 
 例えばCNETの渡辺さんITmediaがアリエルの小松社長にインタビューしたり、「P2Pは悪くない」というタイトルでの日経コミュニケーションの記事が出たり。
 P2P電話のSkypeもここに来て、週刊ダイヤモンドや東洋経済で取り上げられるなど注目を浴びている。

 不思議なものだ。

 
 ただ、もちろんこの話はあくまで一部の有識者や記者に限った話。
 社会全体のP2Pに対するイメージはあくまで不正ファイル交換やアンダーグラウンドであり、これを今更ポジティブに変換することは、江島さん下記の指摘のとおり不可能に近いだろう。(P2Pの啓蒙コラムを書いている私が、こんなことを書くのも変だが)

実際問題として、世間的にはP2PといえばWinny事件などをめぐって「違法ファイル共有」「著作権侵害」といったネガティブ・キーワードと生々しくリンクされて記憶に刻まれてしまった。反体制的なイメージが濃すぎて、もはやP2Pという技術に対する冷静な議論の機運を逸してしまい、とにかく印象として「クロ」なのだ。

 ただ、この問題に対するソリューションは単純だ。
 P2Pという言葉を使わない、もしくは別の言葉で表現すればいい。
 実際問題、米国ではすでにP2P関連技術の企業は、P2Pという単語を使用していない。グリッドやリレーネットワークというような言葉で置き換えている。

 日本では、オーバーレイネットワークが定着するのだろうか。
 (個人的には言葉が長いのがあんまり好きではないが(笑))

 
 個人的な興味は、江島さんが終盤にかかれている部分だ。

 先日の森さんのサーバー型放送についての話で出てくるコンテンツ周りの利権とは別に、P2P型のコンテンツ配信では味方になるはずのブロードバンド事業者が乗り気にならないという課題がある。

 江島さんが書いている「xDSL技術が暗黙に仮定してきた、Web型トラフィック主体の上り下りの非対称性が、P2Pだと崩れてくる」という点だ。
 結局45MbpsのADSLでも上りはせいぜい1~3Mbpsしか出ない。対象のP2P通信は現状ではできないわけだ。
 
 単純な話、それならFTTH推進派のNTTグループが、この特徴を上手く使うべきだろう。FTTHなら上りも下りも高速で実現できる。
(逆にいうと、現在FTTHがADSLに対して持つ優位性はそれぐらいしかなくなりつつある) 
 実際、NTTグループはFLET'S.NETやSIO-Netなど研究所を中心に、既に多くのP2P技術の蓄積がある。

 江島さんの記事を読む限り、まだまだNTTの中でも課題は多いようだが、是非亀井さんたちに頑張って欲しいものだ・・・
 (それにしても江島さんが亀井さんの後輩とは知らなかった・・・スモールワールドというかなんというか・・・)

[通信業界]AT&T、電灯線を利用したブロードバンドサービスの試験運用へ を読んで

AT&T、電灯線を利用したブロードバンドサービスの試験運用へを読んで

 かなり古い記事だが、個人的に興味があるネタなので取り上げてみたい。


 NTTで働いていた頃、電力系の会社がこのような電灯線を利用したブロードバンドサービスの試験をしていて正直恐ろしかったものだ。

 利用者の立場からシンプルに考えれば、ノートパソコンに電源と電話線の2本のケーブルをささなければならないのは明らかに効率が悪い。
 電力会社がこのサービスを開始したら、一気にシェアを奪われてしまうのではないかとそれは不安になったのを覚えている。

 その試験の話はそれこそ5年も前の話のように記憶しているが、その後サービスを開始したという話は伝わってこない。
 実は実験に携わっていた人に話を聞いたこともあるのだが、やはりコストや技術の面でまだ課題が多いという実情もあるようだ。 


 で、振り返って今回のAT&Tのニュースを見ると、どうも事情は大きく違うようで、まずはアクセス回線部分に電灯線を使って、その先は無線LANというモデルのようだ。
 そもそも電話会社であるAT&Tが電力会社のインフラにアクセス回線を頼ろうとしているところが、広い国土の足回りを地域電話網会社に頼らなければならない米国の電話市場の特殊な環境だろう。

 日本でももちろんNTT東西地域会社に頼っているのだが、どうもコスト面が大きく異なるようだし、個人的には最近電力線を使った通信サービスにはあまり興味は無い。


 よくよく考えてみると、通信自体を「線」に頼る時代自体が終わろうとしているような気がしてしまうからだ。
 何もコンセントで通信に差し込まなくても、最後のところは無線LANやブルートゥースに頼ってしまえばいいはずだ。

 でも、これって固定通信なのだろうか、移動通信なのだろうか・・・

P2P ソリューション:大容量コンテンツ配信 BitTorrent(1)


2004/08/05にjapan.internet.comに掲載されたコラムです。


前回のコラムで紹介した Kontiki は、ビジネス利用における動画コンテンツにターゲットをしぼることで、 P2P 技術のビジネス転用を実現していました。



ただ、もちろん P2P 技術がその分散性によるメリットを発揮するのは、ビジネス利用だけではありません。逆にコンシューマ向けのような不特定多数の利用者に同時に大容量のファイルを送付する際にこそ、分散によるメリットが複数出てくるとも言われています。



今回紹介するのは、そのようなコンシューマ向けの大量配信をターゲットとしている BitTorrent というアプリケーションです。



■BitTorrent の概要



BitTorrent は Bram Cohen という米国のプログラマにより開発されたフリーのアプリケーションです。日本で話題を読んだ Winny も個人で開発されていましたので、背景は似ているかもしれません。



ただ、Winny が匿名性を追求していたのに対し、 BitTorrent は匿名性は担保せず、巨大なファイルを高速にダウンロードすることにフォーカスしている点が、まず大きな違いとしてあげられます。



利用対象としては、オープンソースで開発された OS やアプリケーション、ゲームの体験版など、最初から著作権のないものをターゲットとしており、数百 MB や GB 単位の大容量のファイルで、しかも大勢の人が利用するコンテンツ配付技術を開発の中心としているわけです。



Kontiki の回にも書きましたが、コンテンツ配信においては、 P2P 技術の最も分かりやすい特徴である「分散によるコスト低減」というメリットが明確に表現できます。



1GB のファイルをサーバー型で配信した場合、同時に100人の人がサーバーにファイルを取りに来ると、 100GB ものトラフィックが発生することになります。これが P2P 型であれば、自然と負荷を分散させることができるわけです。(「P2P の誤解:大容量ファイル交換とボトルネック」を参考にしてください)。



BitTorrent では、その特徴にさらに磨きをかけています。



■BitTorrent の特徴



BitTorrent の P2P ネットワークは、とにかくいかに素早く特定のファイルを行き渡らせるかに注力されています。



もちろんメールのような数 KB のデータであれば、不特定多数の対象にファイルを配付するのは難しくありません。ここで対象となっているのは、数百 MB や GB 単位の巨大なファイルです。



クライアント/サーバー型のシステムとの比較は、前回の Kontiki のコラムで紹介しましたので、今回は通常の P2P 配信ネットワークと BitTorrent の比較を行います。



1.ファイルの大量配信に特化することで、配信を効率化



一般的に、P2P 配信において難しいのは検索部分であると言われます。ファイルがクライアントにバラバラに散らばっている状態が前提となるため、そのファイルを誰が持っているのかを素早く探す必要があるからです。 BitTorrent はこの検索部分には焦点をあてておらず、 P2P のフレームワーク自体を大容量ファイルの大量配信に特化させ、配信の効率をあげることにフォーカスしています。



2.ファイルを分割して配信することで、安定したダウンロードを実現



大容量ファイルのダウンロードにおいては、途中で回線や接続の切断によりやり直しとなる事態に頻繁に遭遇します。そこで、BitTorrent ではファイルを複数の細かいデータに分割し、複数の対象からダウンロードして後から復元するという手法を取ることで、この問題を回避しています。 Kontiki にも類似の仕組みがありましたが、このような分割配信は、インターネットのような不安定なネットワークでの大容量ファイル配信には必須の仕組みといえます。



3.ファイルを受け取ったユーザーに、並行して配信させることで分散配信を実現



上記の分割されたファイルを受け取ったユーザーは、他のファイルの受信と並行して、受け取り済みのファイルを送信するハブとして機能します。そのため同時に大勢のユーザーがファイルのダウンロードを始めても、早期に分散配信が機能します。 この仕組みにより、大量のユーザーによる大容量ファイル配信の際に、効率的に配信の負荷が分散することを実現しているのです。

(次回のコラムへ続く)

2004年8月 4日

[通信業界]サーバ型放送と合意形成 を読んで

サーバ型放送と合意形成 - CNET Japanを読んで

 先に正直なところを言うと、私はいまだに放送と通信の境界線についてよく理解できていない。


 森さんが丁寧にまとめているので、何となく理解したつもりでいるが、本質的な所は未だに腹に落ちていない。

 「サーバ型放送」とは、「放送番組に関する仔細な追加情報(メタデータ)とHDDなどの大容量記録装置を組み合わせることで実現される高度な番組蓄積機能サービス」のことを言うらしい。

 単純に言うと「サーバ型放送は通信、特にブロードバンドの取り込みを前提としたサービスの全体像を有しており、すでに放送という枠組みを超えている」ということだ。 
 結局のところ、放送と通信の区分と言うのはインターネット時代に至って完全に意味の無いものになろうとしているのに、法律や制度、ステークホルダーの意識がそれに追いついていないと言うことなのだろう。


 利用者からすると、例えばインターネット経由でPCで動画コンテンツを入手することは「放送」ではないはずだ。だが、どうもこのサーバ型放送の定義だと、テレビで放映されたメタデータを後から通信で見るというのもサーバ型「放送」の定義に入るらしい。(間違っていたらごめんなさい)

 動画の世界だからなのだろうか?

 音楽の世界と比較してみよう。
 例えばラジオ「放送」で流れていた音楽を、後からiTunesで手に入れたとする。
 これは「放送」か?
 利用者からすると明らかに違う。

 だがこのサーバー型放送の定義だとそういうことのようだ。

ブロードバンドのインフラ環境が整備されているものの、音楽や映画のノンパッケージ配信サービスで欧米に2歩も3歩も遅れている日本では、ハリウッド以上に「コンテンツ・イズ・キング」状態が続いている。ケータイまでも含めればインターネットの普及が全人口の80%を超えるこのご時勢ですら、放送局のサイトにある番組情報ページに写真さえ掲載を許さないタレント事務所も複数あるほどだ。


 なぜ日本でiTunesが始まらないのか、ちょっと分かってきたような気がする。
 どうも日本では、このあたりのインターネット時代のコンテンツに関する議論が完全に思考停止に陥っているようだ。

 放送事業者もコンテンツホルダーも、今がいいからそれで良いという状態なのだろうか。
 どおりで通信事業者や家電メーカーがいくら騒いでも、何も有力なコンテンツがインターネットに出てこないわけだ。

 前回の「ハリウッドを救う三つの指針 を読んで」でも書いたが、どうしてもこの分野だけはアメリカに負けて欲しくない。

 森さんが書いているように、今こそ「正論」に戻って未来を見つめた議論をして欲しいところだが・・・ 
 やっぱり難しいのかなぁ・・・

2004年8月 3日

[SNS]7万人の町「GREE」を一人で作ってる会社員 を読んで

7万人の町「GREE」を一人で作ってる会社員を読んで

 CNETの山岸さんのブログ経由でITmediaの記事を知るというのも変な感じだが、なんとなくmixiとGREEの違いが見えてきた気がする。


 実は友人とSNSの話になると、mixi派、GREE派に分かれることが多い。
 私はGREE派だが、先日の飲み会で会った人は多くの人がmixi派だった。

 この違いはどこから来るのだろうとずっと考えていたのだが、今回の田中さんのインタビュー記事も含めて下記の3つの記事を見ながら何となく全体像が見えてきた気がする。

・「それでいい、楽しいから」――7万人の町「GREE」を一人で作ってる会社員
・ソーシャルネット「mixi」、儲からなくても続ける理由
・Greeとmixiの違いを考えてみた(ネタフル)

 ネタフルのコグレさんが、「GREEはリアルライフの写し鏡であるという表現が適していると思います。逆にmixiは、クローズドな空間で完結するバーチャルライフであると言えるでしょう。」と表現している。
 この違いはどこから来るのだろうか。

 ITmediaの二つの記事は、一見非常に似ている。
 GREEの田中さんは「儲からないけど、楽しいからそれでいい」と言っていて
 mixiの笠原さんも「儲からない、でもユーザーは増やしたい」と言っている。

 でも、この二つの発言は本質的には違う。

 GREEの田中さんは某IT企業の社員であり、GREEは趣味や力試しの場所として発言しているように感じる。
 mixiの場合、笠原さんは社長であり、mixiはあくまで一つの事業の柱になるべき存在だ。

 だから、田中さんは自分が楽しければ良いと言い切れてしまうし、GREEの志向も忙しい合間を縫って友達とのつながりを維持する方向になるのだろう。田中角栄の名刺の例を出しているが要するにそういうことだ。リアルな世界の友達維持管理サービスと表現すればいいのだろうか。
 新しく始まった「GREEマガジン」に見られるように、出会いの場自体はリアルでいいじゃないかという方向性は、mixiにない明らかなリアルライフ志向だ。

 逆に笠原さんは、新しいオンラインコミュニティビジネスを模索する必要があるし、それを実践中だ。オンラインで収益をあげるという視点で考えると、いかに利用者をそのコミュニティの中に長時間滞在させるかと言うことがまず重要になるのだろう。
 GREEのようにオフラインに利用者が出会いの場を求めてしまうと、一番重要なトラフィックがオフラインに流れてしまう。そう考えればmixiが日記を中心にオンライン上だけでコミュニケーションが完結するような手段を多数提供しているのも納得だ。

 
 もちろん、これ自体どちらが正しいと言う話ではない。
 現在の利用者数は7万人、5万人と多いとはいえ、まだまだインターネット利用者の1%以下に過ぎない。
 現段階ではどちらかが生き残ると言うレベルではなく、どちらも共存しながらSNS自体の存在意義を増していくのだろう。(もちろんキヌガサやOrkutなど他のサービスが今後どうなるかも注目だ)
 今後が非常に楽しみだ。


 ちなみに、GREEの中核メンバーでもある山岸さんのCNETではなく、ITmediaが先にこのようなインタビューを実施したのは、なんとも変な感じだ。
(山岸さんがITmediaにリンクしているのに、田中さんのブログではリンク先がYahoo!ニュースの提携記事になっていたりする。) 

 山岸さん、是非CNETでSNSの濃いインタビュー特集を組んでくださいね・・・

2004年8月 2日

[IM]IM分野で「雪解け」--マイクロソフト、AOL、ヤフーが相互乗り入れへ を読んで

IM分野で「雪解け」--マイクロソフト、AOL、ヤフーが相互乗り入れへを読んで。

 てっきりもう相互乗り入れは諦めたのかと思っていたが、そうではなかったようだ。


 ようやっと、マイクロソフトの企業向けIMがAOL Instant Messenger、Yahoo Messenger及びMSN Messengerとの連携を実現するらしい。
 CNETの記事にも何と11件ものトラックバックがうたれているから、その注目度の高さが伺える。(私のトラックバックの遅さも・・・)

 ここのところ立て続けにヤフーとAOLが企業向けのIMシステムから撤退していたが、こういうシナリオだったのだろうかと穿ってみてしまう。
 (ちなみに、IMシステムのこれまでの経緯は、FPNで川島さんがわかりやすくまとめている

 正直コンシューマー向けのIMでどうやってAOLとYahoo!は利益をあげるつもりなのか良く分からなかった。あきらかに現段階のIMサービスの分野で収入を上げようと思ったら企業向けのシステムに力を入れるほか無いはずだ。
 インターネット上のサービスの常識として、コンシューマー向けの有料サービスはなかなかビジネスにならない。マイクロソフトのような大企業が率先して無料でなんでもかんでも提供してしまうから、他の会社が有料でやったところで無料サービスとの差別化が非常に難しいからだ。

 にもかかわらず、AOLとYahooは企業向けIMシステムを放棄していた。
 それに関連しそうなコメントがCNETの記事に出ている。

Microsoftは、AOLとYahooにロイヤリティを支払って、両社のクライアントからLCSへ接続できるようにする。この支払い金額の算定方法について、3社は詳しい説明を避けており、AOLやYahooに接続するLCSユーザーの数をベースに算定されるかどうかはわかっていない。


 要は、AOLとYahooは、自前の企業向けIMシステムでMicrosoftやIBMに挑むという無茶をせず、無料で配布したクライアントを元にMicrosoftからお金をもらうという現実的なビジネスモデルに転換したということなのだろう。

 このモデルなら、AOLとYahooは労せずしてそれなりの収益をMicrosoftから得ることができる。
 わざわざ金を払わないコンシューマー向けに相互接続するシステムを構築する必要も無い。
 戦わずしてコバンザメになるとは見栄えが悪いが、まぁ孫子の兵法と思えば悪くないかもしれない。
   

PROFILE



アーカイブ

Creative Commons License
   
 
■過去に執筆した本

デジタル・ワークスタイル
デジタル・ワークスタイル―小さなことから革命を起こす仕事術


アルファブロガー
アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから


図解P2Pビジネス
図解P2Pビジネス


www.flickr.com
tokuriki's photos More of tokuriki's photos
Notes移行に
アリエル・エンタープライズ

プロジェクト管理に
logo_proa.gif

スケジュール管理に
mulsche.gif

携帯電話で予定管理
airmobile.gif