2005年10月12日

ブログとジャーナリズム、メディアビジネスの微妙な関係

市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新--ダン・ギルモア氏 - CNET Japanを読んで。

 先日来日したダン・ギルモア氏のインタビュー記事がCNETにアップされましたね。

 ダン・ギルモア氏は、草の根ジャーナリズムの第一人者で、FPNのような読者投稿型ニュースサイトを運営している立場としては、非常に注目している人物の一人です。

 ただ、個人的にずっと引っかかっているのは、ブログ側の人とメディア側の人の、ブログとジャーナリズム論的なものに対する意識の違いの大きさ。


 個人的な印象としては、メディア業界のブログを中心としたCGMに対する危機意識の高さに比べ、一般的に一人ひとりのブロガーは、ジャーナリズムやメディアビジネス的なものに対して、それほど興味が無いのが普通だと思います。

 実際、自分としてもブログを日々書いている中、「ジャーナリズムたるには、中立性とか不偏不党がうんぬんかんぬん」とやられてしまうと、あまりに恐れ多いし、なんか話がややこしくなって、ブログを書く手も止まってしまうという感じがあります。


 そもそも「ジャーナリズム」ってどういう意味なんだろう?と思って、gooの国語辞典でジャーナリズムをひいてみると、

ジャーナリズム [journalism]
新聞・雑誌・テレビ・ラジオなど時事的な問題の報道・解説を行う組織や人の総体。また、それを通じて行われる活動。

 と書いてあります。うーん、やっぱりどうもこう定義されると、普通のブログがジャーナリズムな感じはありません。

 じゃあ、アメリカのjournalismが違うのか?と思ってwikipediaをひいてみたところ

Journalism is a discipline of collecting, verifying, analyzing and presenting information gathered regarding current events, including trends, issues and people. Those who practice journalism are known as journalists.

 と書いてあります。
 disciplineとか書かれると、やっぱりなんだか難しそうです。


 そんな中、先日のダン・ギルモア氏のイベントで、印象的だったのは、Jun Seita's Webにも書かれているギルモア氏のジャーナリズムの定義

 ギルモア氏曰く
 「あなたの提供した情報に、誰か(1人以上)が有益だったと感謝したとき、そこにJournalismが成立する。」

 CNETのインタビュー記事でも、ハリケーンカトリーナやロンドンのテロ事件における一般市民の写真などを例に挙げて「撮影した人が実際に何の仕事をしているかわかりませんが、その人はその写真を撮った瞬間、まさにジャーナリストでした。」と市民ジャーナリズムの定義をしています。
 なるほど、確かにこういう定義であれば多くのブログはジャーナリズムに当たるのかもしれません。  
  

 そんなことを考えながら改めて、メディア側の人の危機意識の根の深さが分かってきた気がします。

 メディア側の人とブログを書いている人の意識がずれているのは、ある意味当たり前ですよね。
 結局のところ、ブログを書いたり携帯電話のカメラで写真をアップしたりする一人ひとりは、それほどジャーナリズム的なものを意識して活動しているわけではなく、ジャーナリストとしての収入を欲しているわけでもありません。
 一般的に、ブログを書いている人はあくまで趣味の延長で、ジャーナリズムやメディアビジネスを日々意識する必要は無いわけです。

 ただ、この個人個人の生成した情報を集団として捉えると、メディア側にとっては見える世界が確かに変わります。

 シンプルに、この個人の集団を自分達のビジネスを脅かす新たなライバルとして捉えると、自分達のビジネスの収益のもとを、趣味で無料でやってしまう人たちとの競争という軸の思考回路になりますから、それはやっぱり大変です。
 

 やっぱり、ここは思考回路を切り替えるべきでしょう。

 ギルモア氏が言うように、「ユーザーが作り出すコンテンツがプロの作るジャーナリズムに取って代わるというより、両者は補完関係にある」という思考回路に立てば、逆にメディアビジネスのパラダイムが変わろうとしている今こそ、新しいビジネスチャンスだということが言えると思います。

 結局のところ、ブログを書いている個人個人が集団としてのジャーナリズムを意識しない限り、既存のマスメディアの役割をこの個人の集団が本質的に置き換えることは無いでしょう。
 マスメディア的なものの必要性というのは今後も存在するはずです。
 
 米国ではメディア産業がネット企業を買収したり、先日はAOLがブログ発行会社のWeblogs,Incを2500万ドルで買収なんてニュースもありましたし、多分メディアが挑戦できることって、もっといろいろあるんだろうと改めて感じる今日この頃です。

2005年10月 8日

全くオタクじゃない人なんて本当にいるのだろうか

ITmediaニュース:オタクは遍在する――NRIが示す「5人のオタクたち」 (1/2)を読んで。

 野村総研が、オタク市場について再定義をして、オタク人口を172万人、市場規模を4110億円と発表したそうです。

 何でも、昨年の調査結果の反響が大きかったので、今回は勢いに乗って調査対象を広げたとかで、そのテーマは12分野。

 昨年が「アニメ」「アイドル」「コミック」「ゲーム」「自作PC」だったのに対し、今回は「AV機器」「携帯型IT機器」「クルマ」「旅行」「ファッション」「カメラ」「鉄道」の7分野を追加。
 
 野村総研によると「オタク」はもうアニメやコミック、SF好きに限るものではなく、「オタクはすべての趣味分野に存在するというのが同社の考え」だそうで、こだわりの対象に対して、所得や余暇時間のほとんどを費やす「消費性オタク」と、「自分の趣味を周りに広めたい」「創造活動をしたい」と考える「心理性オタク」の2種類の特性を兼ね持つ人が真のオタクだそうです。


 この定義で行けば、私は昔はジャンプオタクやゲームオタク、今は世界遺産オタクにブログオタク、うちの嫁さんはカバンオタクというところですが。
 これだけ定義が広がってくると、オタクを定義しているのか深い趣味のことを言い替えてるだけなのか良く分からなくなってきますね。
 

 個人的には、この定義で全くオタクに当てはまらない人って本当にいるんだろうか?とか改めて思ってしまったりします。

 自分がはまれるものを見つけたときには、それに没頭したいと思うだろうし、その魅力を他の人に知ってもらいたいと思うもんだったりするもんなんじゃないのかなーとか思ったり。

 まぁ確かに仕事があったり、家庭があったりすると、何もかも捨てて長期間没頭するとかするのは難しいと思いますが、多かれ少なかれ人間なんだから、ある程度の趣味やはまるものってあるはずです。

 
 そんなことを考えていたら、ふと「定年退職したお父さんが、趣味が無いから家でやることもなくボーっとしている」なんて話を思い出しました。
 そういえば、現在定年退職を迎えるような世代は、自分の趣味どころか家庭も犠牲にして会社のために働いた人が多かったと言われる世代。

 確かに、その世代からすれば、趣味に没頭できる人間は確かに異質なのでしょうし「オタク」というのは少数派なんでしょう。
 でも、趣味がある人とない人を比べると、限度はあるものの、趣味がある人の方が人間として豊に見えるのは私だけでしょうか?


 これからライフスタイルが多様化してくれば、ひょっとしたら「オタク」の方が普通で、趣味に没頭する人たちをオタクと呼ぶ、「趣味無し人間」の方が変だったりする時代になるのでは?

 そんな変なことを思ってしまったブログオタクの3連休初日でした。

2005年10月 7日

アップルのバズマーケティングの凄さ

「ビデオiPodか、それとも?」--アップルの「発表」にさまざまな憶測 - CNET Japanを読んで。

 10月12日に、またまたアップルが何かしら大きな発表をするようです。

 9月7日のイベントの時には「Here we go again(またその時が来た)」だった招待状のメッセージ、今回報道陣あてに送られた招待状には「one more thing(あともう1つ)」と書かれているそうで。

 なんでもiPod情報局によると、この招待状にある「One more thing...」というのは「アップルコンピュータCEOのスティーブ・ジョブズ氏が新製品を発表するときのお決まりの文句だ」そうです。
 しかも招待状の画像は思わせぶりな赤いカーテン、これは気になってたまりませんね。


 すっかりブログ界は、この話題で盛り上がっているようで、「さっそく何千人ものブロガーがさまざまな可能性に言及している」模様。
 しかも、新型iPod説から、実は意表をついてMacじゃないかという話もあれば、ついには、「携帯電話のカメラで隠し撮りしたという「設定」」のビデオiPodの画像が流出していたり、BBCがフライングでアップルが10月12日にビデオiPodを発表するというニュースを流したとか、マスメディアも巻き込んでの憶測合戦が始まっています。
 

 それにしても、このアップルのバズマーケティング手法の上手さは本当に憎らしいほどですね。
 マスメディアを通じて発表するだけであれば、こんな回りくどいことをする必要はないんですが、事前にこういう噂を流すことによって、発表以前にも噂話によって世間の注目を発表に集め、発表と同時に口コミのエネルギーをさらに爆発させる。

 もちろん、そこで発表する製品の魅力が無ければ、二度と通用しない手法になるわけでしょうけど。
 アップルはこれまでのところ毎回期待を裏切らないどころか、たびたび期待を超える発表を続けてきていますから、非常に良いポジティブな口コミのサイクルが回り続けている感じですね。


 個人的には、これだけ口コミがまわってればテレビコマーシャル打たなくても良いんじゃないの?とか思っちゃったりもするんですが、アップルはテレビコマーシャルもまためちゃめちゃ上手いですからねー。
 本当にアップルのマーケティング担当者の爪の垢を煎じて飲みたいところです。

 そういえば、さすがに今度はソニーの同日発表は無いんでしょうか。

2005年10月 5日

Microsoft vs GoogleSun ?

グーグルとサンが提携へ--StarOfficeなどのウェブアプリ化を検討か - CNET Japanを読んで。

 GoogleとSun Microsystemsが提携を発表したようです。

 Sun Microsystemsといえば、長年マイクロソフトへの敵対心をむき出しにしてきたScott McNealyの印象が強くあったものの、てっきり昨年の4月の提携で丸く収まったのかと思っていましたが。
 やっぱりScott McNealyは、まだまだマイクロソフトに対する対抗心を収めたわけではなかった、というところでしょうか。

 実際の今回の発表は「Java技術とGoogle Toolbarの普及促進に向けた提携」とのことですが、今回のCNETの記事で憶測されているような今後についての想像をついしてしまいますね。


 なんといってもOfficeアプリケーションと言えば、マイクロソフトにとってOSと並ぶ2大収益源。
 ここにGoogleが宣戦布告となるのであれば、そのインパクトはなかなかに興味深いものがあります。
 

 まぁ、Googleとマイクロソフトは、ここ最近すっかり対立構造がはっきりしてきて、ブログでもいろいろ話題になってましたし、MicrosoftのバルマーCEOは、検索分野で同社のライバルであるGoogleとその広告事業をたたきつぶすと言った」ぐらいですから、お互いに相手の心臓を握りにいってるのは、ある意味当たり前の展開なのかもしれません。

 そういう意味ではSun抜きでもOffice事業への展開は十分考えられますが、長年マイクロソフトの強敵(?)を自認してきたScott McNealyですから、自分抜きの戦いに黙っていられなくなったというところでしょうか。


 さて、ここで気になるのがこの戦いの結末。

 個人的な印象では、ブログを書いている人はGoogleの勝利を語るけれども、ブログを書いていない人と話すと「やっぱりMicrosoftが勝つんじゃない?」という話になる傾向があるような気がしますが、はたしてどうなんでしょうか・・・

2005年9月22日

はてなとイーマーキュリーは、日本のGoogleとYahoo?

2005年9月21日 はてな、イー・マーキュリー共同勉強会を読んで。

 はてなとmixiのイーマーキュリーが、共同で技術勉強会を実施したようですね。

 議事録どころか講演の音声ファイルまで公開されているっていうのも、注目なんですが、やっぱり勉強会でここまで注目されるのはこの両社ならでは。

 何しろ両社とも、多くのファンに指示されており、過去の対談イベントでも「はてな対mixi?」なんて記事が書かれるほどの注目企業。
 技術勉強会とはいえ、「この次にくるもの」を期待してしまうのは私だけではないですよね。


 ちなみに、はてなとイーマーキュリーは、両社とも今注目のネット企業な上に、経営者の近藤さんと笠原さんが二人ともいわゆるU30の代表で、先日のWEB人にも二人とも選ばれたし、サービスに使っている言語もPerl、と似ているところが多いわけですが、実は冷静に比較すると結構特徴的な違いがあるような気がしてきます。


 はてなは、いわゆる「イノベーター」をターゲットとして、最新技術を使ったサービスをこれでもかというぐらいに次々と繰り出す、明らかにエンジニアの会社。
 もちろんバックに川崎さんという凄腕のマーケッターがいるわけですが、基本的に前に出てくるのは自身がエンジニアでもある社長の近藤さんとCTOの伊藤さん。会社としてアピールするのもほとんどが開発周りの活動が中心です。

 それに対してイーマーキュリーは、最近のmixiの傾向にあるように、はてなに比べるとターゲットは比較的普通の人。(もちろん、利用者にネットに詳しい人が多いのは間違いありませんが)
 1年半で100万人を超えるサービスに急成長したmixiですから、当然そのサービスを支えるエンジニアのレベルも相当高いはずなのですが、メディアやイベントなど、表に出てくるのは基本的に笠原さんやふぁるさんで、はてなに比べると意外なほど、サービス開発者のバタラさん達が前面に出てくる機会は少ない気がします。


 そう考えてみると両社の違いとかぶって思い出されるのがGoogleとYahoo。
 
 以前CNETで「グーグルvsヤフー--勝負を左右する企業文化の違い」なんて記事もありましたが、強力な開発陣を前面に押し出しエンジニアの理想の会社として君臨するGoogleに対し、Yahooは比較的メディア企業への道を歩みつつあると言われていて、その高いであろう技術力のわりにはエンジニアに脚光があたることは無いような気がします。


 もちろん、はてなとイーマキュリーは、そもそもバックグラウンドも全く違う会社なわけですし、はてなは何でもオープンにするスタイル、mixiは招待制で閉じられた空間と、サービス自体にも違いがあるわけですから、違って当然なわけですが、

 そういえば、はてなの人たちが社外取締役の梅田さんを含めてGoogleをよく例え話に出すのに対し、笠原さんがセミナーや取材でよく引用する「インターネット上であらゆるサービスが出尽くしたと誰もが感じている時に、今までのルール自体を変えてしまう企業が登場する。」という発言は元Yahoo!のCEOであるTim Koogleの言葉だったりするなぁ・・・となんだか気になりだすと止まりません。 


 まぁ、はてなが技術力を買われてGoogleに買収されて、イーマーキュリーがYahoo360日本展開のベースとしてYahooに買収される、なんてオチも十分ありえる訳ですが、最近はすっかりネットの話題はGoogleを初め米国の巨大ネット企業に独占されている感もありますから、是非はてなとイーマキュリーには日本を代表する世界のネット企業になってもらいたいです。
(とか他人事にしてないで自分もがんばれよ、という話なんですけど・・・)

2005年9月21日

セミナーをブログで公開する価値と、非公開にする価値

My Life Between Silicon Valley and Japan - 情報の伝播の新しさと、それを苦々しく思う人たちの存在を読んで。

 先週フォーサイトが主催で梅田さんのセミナーがあったようです。
 私は残念ながら参加できなかったのですが、週末ブログを見ていたらびっくり。
 はてなブックマークの人気エントリに、梅田さんの講演の議事録がそのまま掲載されてるじゃないですか。

 フォーサイトクラブ・セミナー「ウェブ社会『大変化』への正しい対応・間違った対応」梅田望夫さん講演ログ

 適切な過去ログにリンクも張ってある実に濃い議事録で、まるで参加したかのように得した気分に浸っていたわけですが。


 梅田さんのブログにも書いてあるように、実はこれって結構グレーゾーンです。
 少なくとも、梅田さんにおいては今回のように適切なフォローが入るわけですが、通常の有料セミナーってセミナーのコンテンツ自体が価値で、それをもとに参加料が正当化されているわけなので、無料でこうやって内容を公開されると困る人も多いことでしょう。

 実際、困るのはセミナー主催者だけでなく、いわゆる講演料を収入の一つの柱にしている「閉ざされたエスタブリッシュメント世界の住人」に取っても大問題になる可能性があります。

 梅田さんが言っているように、「主催者側が、講演開始前の注意として「携帯の電源をお切りください」だけでなく「この講演内容をBlogで公開するのはご遠慮ください」なんて話になってしまう可能性」は十分あるように感じます。


 ただ、「本当にイベントの内容が公開されると、有料セミナーやイベントはその価値を失うのか?」という疑問がここで浮かんできます。

 例えば、これを上手く逆手に取っているのが、百式の田口さんが開催している無敵会議やアカデメディア。(ちなみに今月は第三回検索会議が開催される模様
 このイベントでは、最初に田口さんの「今日の内容はすべてオープンなので、ブログに遠慮なく書いてください」という趣旨の発言で幕を開けるのが非常に特徴的。


 その姿勢が呼び水となって、多くのブロガーをはじめとする参加者を集め、募集一日でほとんどのイベントが満員御礼になるうえに、終わってからもブログ上でたくさんの議事録が公開され、それがまた次の参加者を呼びこむというポジティブなサイクルが回っています。

 議事録を見れば、当日の内容は大体把握できるのに、それでも即効で満員になるのは、議事録を読むだけでは得られない価値がイベント自体に参加することで得られるからでしょう。

 もちろん参加費が安いというのはあると思いますが、このモデルは、通常の有料セミナーや講演でも参考になるはずです。


 例えば、今回の梅田さんのように、講演の議事録が毎回ネットで公開されるものだと思われた場合、はたしてその人の講演をお金を払ってでも聞きたいという人は減るのでしょうか?

 少なくとも、まだその人の講演を生で聞いたことが無い人は、逆にネットの議事録を読んで、これを生で聞いてみたいと思うかもしれません。当日生で話を聞いて感動した人も、また聞きたいと思った人もまた参加するでしょう。
 必ずしも、議事録が公開されることは、その講演者にとって負の効果をもたらすばかりでなく、宣伝効果を考えると実はプラスではないかと思えてきたりもします。
  

 こう考えてみると、この話は結構ミュージシャンの話と近いところがあるような気がしますね。
 CDを買っているファンがコンサートに来ないかと言えば、全くそうではないですし、テレビやDVDでコンサートが見れるからそれで満足するかというと、それもまた別。
 もちろん無料のファイル交換ソフトで音楽を入手して満足している人もいるでしょうけど、逆にそこで初めてそのミュージシャンの音楽と出会ってファンになる人もいるでしょう。


 やっぱりネット時代においては、非公開を前提ではなく、公開されてしまうことを前提で、コンテンツやビジネスモデルを設計する必要があり、そうできる人が強い時代になるということかなぁと改めて思います。


 ちなみに、何でもかんでもオープンにすれば良いかと言えば、もちろんそういう話ではなく、そういう意味で印象的なのが昨日CNETに掲載されていたグーグルの非公開イベントの記事。

 グーグル、「秘密イベント」を開催--報道関係者やブロガー400人を招待

 なんでも「Zeitgeistで行われるすべての講演や説明を公表してはならない。講演者や参加者らが確実にオープンに話せるようにするため、報道もブログへの掲載も一切を禁止する」とのことだそうで。
 喋りたがりのブロガーをわざわざ集めておいて「秘密イベント」って何だよー。とつい思ってしまうわけですが。

 この辺の緩急の使い方がグーグルという会社は絶妙だなと、改めて思ったりします。


 まぁ、こんな緘口令をひいて効果があるのは、検索結果をコントロールできるグーグルだけかもしれませんけど・・・
(公開したら、お前のブログ、検索エンジンで引っ掛けないぞ、と脅されたりとか)

2005年9月15日

iPod nanoで独走のアップルにソニーはついていけるか

BCNランキング :: 売れ筋速報 :: iPod nanoが垂直発進、初登場1位で早くも市場塗り替える勢いを読んで。

 iPod nanoがまさにバカ売れ状態のようですね。

 個人的にも、先月MP3プレイヤーを買ったばっかりなんですが、iPod nanoのあまりの衝撃に言葉もありません。

 いや、本当にこれは物欲を刺激してくれます。


 BCNのシェア推移を見る限り、iPod nano効果はまさに火を見るより明らか。
 まさに「垂直発信」というのもうなづける綺麗なピークです。



 こうなってくると気になるのは他のメーカー、特にソニーの動向でしょう。
 ソニーがiPod nanoの発表当日に、新製品の発表を合わせてきたという点に対しては、賛否両論があるようですが、個人的には悪くない手だと思ってます。

 ある意味、自民党に対する民主党の「二大政党」みたいなもので、アップルのライバルはソニー「だけ」という認知をまずさせるという意味はあります。

 実際、当日に発表を重ねたことで、ワールドビジネスサテライトをはじめ、多くのメディアは「アップル対ソニー」と取り上げていましたし、ブログでもアップルとソニーを対比して書いている人が多かったようです。

 
 ただ、問題はマーケティング上はそうやって何とかライバル色を出せても、製品の魅力の面では iPod nanoのインパクトが明らかに大きくなってしまっている点。
 何しろソニーの新製品はまだ発表されただけで、店頭に並ぶのは11月。まぁ、正直、同じ土俵で比較ができる状態ではありませんね。
 2番手を確実にするだけでは、アップルの背中が遠くなっていくだけの状態に陥ってしまいそうです。

 ただ、唯一興味深い点があるとすれば、ソニーが「オープン」な方向性を選択し始めたこと。
 NIKKEI NETに津田さんがコラムを寄稿されていましたが、その中でも触れられているようにWMA対応は結構意味があるような気がします。

 アップルは独走中とはいえ、そのエコシステムに参加できている企業は実は一部。
 それ以外の企業を束ねて別のグループを形成できれば、ソニーもアップルに追いすがっていけるかも・・・と思ったりもしますが、はたしてどうなるんでしょうか・・・?

グーグル参入でブログ検索「市場」は広がるのか消えるのか

グーグル、噂のブログ検索サービスを公開--4つのインターフェース - CNET Japanを読んで。

 グーグルが、いきなりブログ検索サービスを公開してきましたね。

 ブログ検索サービスについては、ここ最近テクノラティが選挙特集コーナーを開設して話題を呼んだり、Feedsterが三井物産と組んで日本進出というニュースが流れたり、今日はアスクジーブスがブログ検索サービスのベータ版を開始したりと、日本でも結構動きが出てきた分野ですが、いきなりの本命登場に業界も騒然と言う感じです。
 
 
 いきなり出てきたから、まだまだレベルが低いかというと、そこは流石グーグル、どうやらそうでもないらしく。
 メディア・パブさんのリサーチによるとテクノラティと比較しても、量的には既にGoogleが圧勝で、総合的に見てもかなり使えそうとの感触とのこと。
(ちなみに、Going My Wayのkengoさんによると「Blog専用の検索がでたことでひょっとしたら通常の検索結果からBlogが除かれるかもしれないですね。」という読みもあるようです)

 なにしろ「英語の他、日本語、中国語、韓国語、仏語、伊語、独語、スペイン語、ブラジルで使われるポルトガル語など」に対応していて、4つのインターフェースまで用意するほどの余裕ぶり。
 何かに影響されて作ってみたというものではなく、プランどおりに積み上げていたというのが嫌と言うほど伝わってきます。


 はてなのnaoyaさんも、ブログで「RSSサーチの要点になる価値の重み付けのアルゴリズムとスケーラビリティの確保ってのは、Google が世界で一番得意とするところなんですよね。」と書いてますが、まぁいわれてみればGoogleがブログ検索をやってなかったのが不思議な話で、来て当然のものが来たというのが正確なところでしょうか。


 まぁ、改めてブログ検索という行為自体を考えてみても、あくまで検索行動の一種類なワケで、最終的にはGoogleやYahoo!などの検索サービスの1メニューになっていくと考えるのが普通でしょう。

 こうなると気になるのが「ブログ検索」というものが一つの市場としてどうなるのかという点です。
 テクノラティのようにリサーチなどのB2B的なビジネスを実現できる事業者はまだ良いとして、ライブドアの未来検索のような単純な検索だけを売りにするサービスは、かなり厳しい戦いを強いられそうな印象があります。
 他の事業者の打ち手を見たいところですが、naoyaさんが書いているように「「Why couldn't Google do what you're doing?」に対する決定的な答えが出せるかどうか、改めてそれを考えさせられる」という視点の大事さを痛感します。
 

 昨日書いたイーベイ+スカイプの話にしても、ネット上の新サービス、新市場に見えたものは、なんだかんだいって結局GoogleやYahoo!に上手く買収してもらうか、彼らが狙わないニッチ市場で生きていくしかない蜃気楼だったというのが毎度の結論になってしまうような気がしています。

 もちろんGoogleがすべてをカバーできるわけではないとは思いますが、何ともいえない無力感を感じてしまうのは私だけでしょうか・・・


 

2005年9月14日

スカイプはイーベイに買収されて幸せか不幸せか

イーベイによるスカイプ買収詳報--動機に疑問の声 - CNET Japanを読んで。

 先週末から取り沙汰されていたイーベイのスカイプ買収ですが、26億ドル+成功報酬という驚きの金額で決着したようですね。

 イーベイは日本ではほとんど存在感が皆無に近い会社ですから、スカイプファンを中心に残念がる声が多いようですが、個人的にはスカイプにとっては非常に良いディールだったと感じてます。

 
 たしかに、ここまでのスカイプの急成長はすべての人の予想を上回るすさまじいものでした。なにしろたった2年で5000万人の登録者を集めてしまったわけで、その勢いは今も衰えていないといいます。

 ただ、これからは、明らかに違う次元の競争が始まります。

 なにしろ音声通話というサービスが、インターネットにおいても十分魅力的だということをスカイプが全世界に知らしめたわけで、それをきっかけにMicrosoft、Google、Yahoo!という御三家が動き始めているわけです。


 そういう意味で、渡辺さんにブログに書いてもらったように、先日のSkype Conference 2005では、スカイプは「会社としてちょうど分岐点なのではないか」と発言しました。

 まぁ、個人的には、スカイプのベストな選択肢は、Microsoft、Google、Yahoo!のいずれかに買収されることだと思っていたわけですが。

 ただ、Yahoo!のスカイプ買収話は金額面(10億ドル以下?)で折り合わなかったようですし、噂ではGoogleとも上手くいかなかった模様(まぁ、梅田さんの考察によるとGoogleはそもそもスカイプの買収には興味が無いだろうという説もあるようですが)。

 併行して、それぞれの企業がスカイプの対抗策にあたる打ち手を打ってくる中、実は、スカイプを高値で買収してくれる会社はもうほとんど残っていなかったというのが正しい評価かもしれません。


 もちろん、スカイプ単独でしばらく頑張るという選択肢もあるにはありますが、その場合は資金力が問題となります。
 CNETの記事によるとスカイプの売上高はまだ今のところは6000万ドルで、「まだ黒字転換を果たしていない」状態。

 もちろん、P2P技術を最大限活用したコストのかからないネットワークを武器に、売上高が無い状態でもサービス拡大はある程度できるわけですが、最近はサーバーで提供されている部分のボトルネックが明らかになりつつありったのも事実です。

 例えば、今後スカイプの収益源を、他社が逆に無料で提供してきたらどうなるでしょうか?
 現在、スカイプはボイスメールを利用者に有料で提供していますが、例えばGoogleならそもそも1GBのストレージを無料提供しているわけですし、Gmailと同様おそらくボイスメールも無料で提供することが可能です。
 
 つまり、既存の電話産業のコスト構造に対しては非常に強かったとしても、自分と同じ手法で来る相手、しかも資金力も技術力もあり、広告やOSのような他の手法で売上を上げれば良い会社との競争に強いかどうかは別問題なわけです。

 
 そういう意味では、スカイプにとってはイーベイは悪くない選択肢、というよりもひょっとしたら最後に近い選択肢だったかもしれません。
 Alexaの Top English Language Sites を見ても分かるように、イーベイは、Yahoo!、MSN、Googleについで4位(間にMicrosoftのPassport.netが入りますが)と、ネット上のトラフィックで見ても第四勢力にあたりますし、資金力も十分。
 実際の効果は別にしても、オークションやPayPalとの連携など机上のストーリーも描けます。


 もちろん、だからといってイーベイにとってスカイプが26億ドル~というのが、お得な買い物だったかどうかは別問題。
 投資家向けプレゼンテーションにあるような、オークションとの連動なんてのは、別にSkypeAPIを使えばどの事業者でも可能ですから、本質ではないでしょうし、スカイプの5000万登録のうち同時起動数が320万程度であることを考えると、ユーザーベースも割り引いてみた方が良いはずで、投資家向けの建前という印象があります。

 結局、イーベイも「ただのオークション屋」のままでいたら、将来どうなってしまうんだろうという恐怖感から動いたのでは?と感じてしまうのは私だけでしょうか。


 個人的には、インターネット上の戦いというのは、既に利用者の「アカウント」をどれだけ抑えられるかという、一部のプレイヤーによる頂上決戦に入ってしまっているような感じを受けていますが、今回のイーベイのスカイプ買収は、イーベイもその戦いに参加するという宣言と受け止めた方が正しい気がします。

 はたしてその頂上決戦において、スカイプがイーベイにとっての「聖なる剣」となるのか、高いなまくら刀だったと言われるようになるかは、数年後に結論が出るというところでしょうか。 


 ちなみに、CNETの記事によると一部のブロガーの間では「Skypeが脅威とはならないことが分かったのだから、通信企業各社は安堵の溜息をついているかも知れない。」なんて笑い話もあるようですが、もしそう考えているなら大きな間違いですよね。

 御手洗さんがブログに書いているように、通信やネット企業における「競争のフェーズは完全にシフトした」というのが事実であって、この流れはもう巻き戻らないでしょう。

 超低コスト体質で勝ち組であったはずのスカイプですら、単独での音声通話のサービス提供をあきらめた。と、受け止めた方がいいように思います。


 それにしても2年で26億ドルは凄いですよね・・・

2005年9月13日

Flowmapでブログのつながりが地図になる?

[R30]: Flowmap導入を読んで。

 一週間ほど前にR30さんのブログ経由で知ったのですが、Flowmapというサービスが実に面白いです。

 Flowmapとは何かというと、アクセス解析のリファラデータをつないで、サイト間の人の流れを図にしてくれるサービス。
 まぁ、こうやって文字にしてしまうと何だか良く分からないと思うんですが、百聞は一見にしかず、とにかく下の図を見てください。



 分かりますでしょうか?

 つまり、それぞれのブログからどれだけの人が出たり入ったりしているか一目瞭然なわけです。

 R30さんが結構大きなハブになっているとか、R30さんとSOUL for SALEが絡み合っているとか、ネタ帳さんから多くのトラフィックが流れているとか。
 もちろん、日々のアクセス解析をしていれば、何となくは分かっていたことではあるんですが、こうやって可視化されると全然また見え方が違ってきます。

 Flowmapでは上記の図だけでなく、流量別にレベルA~Cまでの図が掲載されてますので是非見てください。なかなか面白いです。

 
 このサービス自体は、個人の方がボランティアで実施されていて、説明ページの解説が「つぶれても笑って許す心をお持ちのかただけ、ご参加ください」というのが思わず笑ってしまいますよね。

 でも、こうなると俄然ブログ界全体の地図を見てみたくなってしまうのは私だけでしょうか?

 是非この仕組みは、はてなさんとか、忍者ツールさんとかがバックアップして大規模にやってみて欲しいものですが・・・
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