2006年4月 7日

YouTubeにみるチープレボリューションの凄さ

ハリウッドの注目を一身に集める「YouTube」とは - CNET Japanを読んで。

 ビデオ共有サイトのYouTubeの勢いが凄いです。
 まだ開設されてから一年ちょっとにもかかわらず、1日の視聴者数が3000万人というお化けサイトになっているそうです。

 
 短期間で急激に利用者を増やしたサイトと言えば、日本では2年で300万人の利用者を獲得したmixiが代表ですが、AlexaでmixiとYoutubeのグラフを比べてみて更にびっくり。

youtube.png

 mixiの急増すら比べ物にならない角度で突き抜けています。

 もちろんグローバルに利用者がいるYouTubeと、日本だけのmixiを比較するのはあまり意味がないんですが、それにしても凄いですよね。

 デジタルARENAで佐藤 信正さんがYouTubeについての詳細の記事を書かれていますが、まぁ何しろ動画が無料で掲載してあるというだけではなく、動画自体は利用者が自由に投稿できて、なつかしのアニメまで山のように揃ってるみたいですから、一日YouTubeで時間をつぶしている人もいるというのも理解できる充実度です。


 それにしても、個人的に凄いと思うのが、これだけの利用者の増加をこなしているYouTubeの仕組み。

 なんつったって動画ですよ。
 ブログとかmixi日記のようなテキストレベルのコンテンツに比べて、はるかにサーバーにかかる負荷は高いはずです。

 おまけに現在のところYouTubeは有料メニューもなく、広告すら貼っていない状態で知る限り収入は無いはずです。
 会社概要をみるとPaypalによって創業され、VCの資本が結構入っているように見えますが、それにしてもこれだけのトラフィックの急増を、それほどトラブルなくさばいているんだからすごいです。
 
 
 個人的には、動画だけは唯一P2P技術のような分散技術が重要になってくると思っていましたが、こうもあっさりとサーバーで提供されるとは、本当にびっくりです。

 Napsterが話題になった1999年には、音楽の配信ですらNapsterの規模のものをサーバーで構築使用とすれば非常にお金がかかって割に合わないという話でしたが、YouTubeは動画ですからね。
 この5~6年にいろんなもののコストが下がってきているということでしょうか。

 もちろん、動画自体Flashを使うことで相当圧縮して小さいサイズにしているようですから、いわゆる普通の動画に比べたら負荷はかなり下がっているんでしょうが、それにしてもサーバーや回線にかかるコストはかなりのものがあるはずです。
 でも、それをGoogleやYahoo!のような大手ネット企業ならまだしも、1年前には無名だったベンチャー企業が実現できてしまっているわけですから、梅田さんが言っていたチープレボリューションの恐ろしさを改めて感じます。


 もちろん、動画の著作権がらみの問題はあいかわらずグレーのままではありますが、米国では、YouTube人気を受けて、似たようなサイトが次々に開設されているようですし、YouTubeが厳しくなれば他のサービスに移るだけでしょう。
 今はまだ画質は悪いですが、この調子で技術が進歩すると個人やベンチャーレベルで、品質の良い動画共有サイトを作れてしまうのも、そう遠い先の話ではないような気がしてきます。

 コンテンツ事業者の側も、ある程度の違法コピーは見込んだ形でビジネスモデルを組んでいかないといけなくなりそうですね。


 まぁ、少なくとも今年は完全に日米共に動画配信元年ということになりそうです。
 せっかく日本もブロードバンド大国なわけですから、この分野では日本発で世界で話題になるサービスに出てきて欲しいところですが・・・どうなんでしょう?

2006年4月 5日

Winnyウィルス問題を、政府が本気で解決したいならできること

マスコミと情報収集家が悪化させる「Winny問題」:ITproを読んで。

 ITProに、Winny問題がいかにマスコミの報道とそれによる野次馬の増加で悪いスパイラルになっているかという解説記事が掲載されていました。

 実際、impressの記事によるとWinnyのノード数は12月に約30万ノードだったのが、3月10日には54万ノードにほぼ倍増しているそうで、一連の情報漏えい事件が利用者を増やす結果になっていることが見て取れます。


 先日、「Winnyに関する議論が噛み合わない5つの理由」なんて記事を書きましたが、自分なりの問題解決策を書かずに投げっぱなしにしてしまったので、改めてWinnyウィルス問題を解決するための方法を自分なりに考えてみたいと思います。

 ちなみに以下の案は、あくまで安部官房長官に「Winnyを使わないで」とテレビで発言させるぐらいなら、ここまでやればという趣旨の国家レベルでの強攻策案です、念のため。


 先日の記事に書いた5つの論点は下記の通りです。

1.著作権問題 (コンテンツ事業者 vs Winny利用者)
2.インターネットただ乗り問題 (ISP vs Winny利用者)
3.ウィルス問題 (ウィルス開発者 vs Winny利用者)
4.情報漏えい問題 (システム担当者 vs Winny利用者)
5.ソフトウェア開発の責任問題 (警察 vs 開発者)

 これだけ、問題がこじれると根本的に問題を解決するのは不可能に思えてきますが、シンプルに考えると解決策は簡単です。

 国として「Winnyの利用を禁止する」

 これだけです。

 そもそも、Winny利用者が減れば、コンテンツ事業者もISPもシステム担当者も警察もハッピーなわけで、悲しがるのはウィルス開発者ぐらい。
 議論軸は、5つあるものの、目下の国民にとっての深刻な問題というのはなんといっても情報漏えい問題です。


 で、その対策も、利用者側ではなく根本的なレベルで実施します。
 
 つまり、インターネット上でのWinnyトラフィックの遮断です。
 ぷららが実施しようとしているようなISPレベルでのWinnyトラフィックの遮断を、全ISPが一斉に実施。

 この手の対策は、利用者がアンチウィルスを入れるとか、セキュリティソフト会社がWinny特需と喜ぶような中途半端なものではだめです。
 ITProの記事にも書かれているように「自分はそこそこスキルがあるからウイルスに感染することはない」と考えている人ほど危ない」わけで、利用者のリテラシーに頼っている限り、必ず誰かがウィルスにひっかかってしまいます。

 ISPレベルで遮断してしまえば、誰もインターネット経由でWinnyが利用できなくなるわけですから、ウィルスも活躍の場を失い、情報漏えいしたファイルもこれ以上広がることはなくなります。

  
 ただ、ここで当然問題になるのが「Winny利用者の権利」です。
 そこで、「Winnyを改良し、情報漏えいを防ぐことも技術的には可能と主張」している金子氏に国策として改良版Winnyを開発し、配ってもらいます。

 もちろん、改良版Winnyが現在のWinnyの変わりになるのが前提なので、ウィルス対策以外の変更はあえてしません。

 とにかく暴露ウィルスによる情報漏えいを防ぐのが目的。
 つまり、現状の適法なWinny利用者の皆さんに、改良版Winnyに移ってもらうわけです。
 で、現在のWinnyの利用はとにかく完全禁止。

 ISPによる完全遮断が難しいなら、YahooやGoogleに依頼して、旧Winnyに関する検索は全て強制的に改良版Winnyの国営サイトに誘導するようにしてしまえば似たような効果が得られます。


 とにかくそこまで徹底的にやって、Winnyウィルスによる情報漏えい問題はとりあえず解決しましょう。

 違法コピーは減らないかもしれませんが、なにしろ情報漏えい問題さえなければ、とりあえず防衛庁や企業の機密情報や私たちの個人情報が収集家の手に渡ることは減るでしょうから、一安心。
 もちろんメールベースの暴露ウィルスの問題は残りますが、まぁそれはメールソフトにがんばってもらうとして。

 あとは、のんびり著作権問題や開発者責任問題を、気の済むまで関係者の方々に議論してもらいましょう。


 そんな無茶苦茶な、と思う人も多いと思いますが、書いてる本人は結構マジメです。

 仮に、今回の問題がソフトウェアではなく、ロボットだったらと思って下さい。

 利用者の見たい映画やテレビ番組を、利用者の好きなときに映し出してくれるテレビロボ。
 著作権問題の観点から、コンテンツ事業者は大反対しているんですが、利用者には大人気で、大量に無料で配布されているテレビロボです。

 で、このテレビロボの開発者のお茶ノ水博士が、著作権法違反幇助の罪で警察に逮捕されてしまったとしましょう。
 テレビロボの改良自体は止まってしまったわけですが、これに目をつけたウィルス作者がテレビロボに感染するウィルスロボットを開発します。

 このウィルスが厄介で、利用者のプライベートなことを他のテレビロボットにしゃべりまくる恐ろしい暴露ウィルスロボ。
 防衛庁や電力会社の情報までテレビロボ経由で漏れてしまい、社会問題化しています。

 この場合、果たしてこのロボットは放置されていて良いのでしょうか?
 当然、政府はこのテレビロボを回収するための手を打つでしょうし、お茶ノ水博士に対策を指示するのではないでしょうか?

 どうもソフトウェアの世界だからという理由で、問題が自己責任で放置されているような気がしてなりません。


 もし、本当に暴露ウィルスによる情報漏えいが、安部官房長官にテレビで発言してもらわなければいけないぐらい深刻な問題だと思っているのであれば。
 いたずらに報道を過熱させて野次馬を増やすだけの対策をするよりも、Winnyの利用禁止まで踏み込んだ根本的な対策をするべきなのではと思ってしまう今日この頃です。


 まぁ、この記事は、エイプリルフール用に準備していたのが、思ったより面白くなかったので、マジメな感じにかき直してみたというのが正直なところではあるんですが。

2006年3月31日

Winnyに関する議論が噛み合わない5つの理由

情報非公開があだ?--トレンドマイクロもWinnyの餌食に - CNET Japanを読んで。

 安部官房長官の「Winny使わないで」宣言以降、Winny問題は収束するどころかますます盛り上がりを見せていますね。

 セキュリティソフト会社にWinny特需がみたいな話があるかと思ったら、アンチウィルスソフトのトレンドマイクロ自体がWinnyウィルスで情報漏えいしていたという話がでてきたり、JASDAQもだったという話がでてきたり、ぷららのWinny全規制に続いてNiftyもWinnyの規制を発表したりと、ここ数ヶ月Winny関連の記事は増える一方です。

 もちろん、今発表されている情報漏えいは過去のものなので問題は収束しているという説もあるんですが、なぜ、これだけ大勢の人が問題だと思っているのに、開発者逮捕から2年も経過して一向にWinnyをめぐる議論は収束の気配を見せないのでしょうか。
 個人的には、Winny問題が実に複数の議論軸を抱えてしまっている点が、大きな原因になっていると思っています。


 Winnyが日本に投げかけている問題は、整理してみると下記のように5つもあります。


1.著作権問題
 インターネットの普及と、コンテンツのデジタル化によって、無料での大量コピーが容易になってしまったというのが本質的な問題。
 Winnyは、ファイルの自動キャッシュや匿名性の担保により、利用者が非常に手軽にコピーを入手する手段を提供しており、著作権をコアにしたビジネスを行っている人にとっては大問題。

2.インターネットただ乗り問題
 インターネットの利用において、現在は利用者があまり利用しないということが前提の定額料金制が基本になっており、実質どれだけ利用しても最低料金のままで、使ったもの勝ちの状態というのが本質的な問題。
 Winnyによって、利用者はブロードバンド回線さえあれば、無料で好きなだけ動画ファイルを入手することができてしまう。そのためにISPはバックボーンを圧迫されてビジネス的にも大問題。

3.ウィルス問題
 人気のあるプラットフォームにおいては、そのプラットフォームを利用する悪質なウィルスが登場するというのが、本質的な問題。
 Winnyが人気を集めたことで、Winnyはウィルス開発者のターゲットとなりやすくなり、しかも、ファイルが自動的にコピーされていくという性質とあいまって、ウィルスの効果が増幅されやすい。しかも話題になれば模倣犯も増えて、Winny利用者にとっては問題。

4.情報漏えい問題
 情報のデジタル化によって、情報が紙時代よりも手軽にコピー、流出しやすくなっているというのが、本質的な問題。
 ファイルをコピーするというソフトウェアであるWinnyにウィルスが流行してしまったことで、従業員が意識していなくても情報が漏洩しやすくなってしまったということで、システム管理者にとっては大問題。

5.ソフトウェア開発の責任問題 
 インターネットにより、個人でも大勢の人に利用される影響力の高いソフトウェアを手軽に提供することが可能になっているというのが、本質的な問題。
 Winnyも、P2P技術を活用することで、ほとんど開発者がコストをかけずに利用者がファイル交換をできる仕組みを構築できてしまった。もちろんソフトウェアを開発したこと自体が問題なわけではないと思いますが、それで罪を問われてしまう可能性があるのであれば、開発者としては大問題。


 まぁ、これだけ議論の軸があるんですから、Winny関連のメディアの報道や議論のポイントが拡散するのも良く分かりますね。
 ある人が情報漏えいは自己責任だといえば、ある人は会社のパソコンを使うのが馬鹿だといい、ある人はコピー目的に使う人が悪いという話になれば、ある人はウィルス作者が悪いといい、ある人はメディアの報道が悪いといえば、ある人はソフトウェアとしては価値があるという感じで、議論が噛み合うわけがありません。


 そもそも世界中のファイル交換ソフトが巻き起こした議論は、1の著作権問題ですが、ただこれだけの問題だったら、NapsterやGroksterのように事業者に対して訴訟をして事業を停止させれば良い話。
 実際、日本でもファイルローグは訴訟によりサービス停止に追い込まれています。

 また2のトラフィックの問題は、そもそもはISP側のビジネスモデルの問題です。
 結局、Gyaoが人気が出て「ただ乗り問題」が話題になってしまったように、現在のバックボーン側のISPのビジネスモデルは、結局動画のような大容量コンテンツが頻繁に利用されると破綻するというのが現状。
 まぁ、今回のぷららやNiftyのように制限をするというのが無難な対応に思われます。

 3のウィルスの問題は、4の情報漏えい問題とセットになっている点が、問題を複雑にしていますが、普通に考えれば利用者の自己責任の問題です。
 本来は、ウィルスの対象になっているソフトウェア自体を改善するとか、利用者が勉強してウィルスらしいファイルは開かないとか、利用者が仕事と私用のPCは分けるとか、そういう防衛策をしくのが当然の流れでしょう。

 
 そうやって、一つ一つの問題を個別に見ると、それぞれに対する対応策は明確になるはずなのですが、Winnyの場合には全てが同時に発生しているのが最大の問題です。


 そもそも、最初は1の著作権問題が最大の問題だったはずです。
 Winny開発者が企業であれば、コンテンツ企業からの訴訟という形でGroksterと同じような民事の法廷闘争になったはずです。
 ところが、Winnyが匿名の開発者によるソフトウェアだったため、民事の法廷闘争の道が閉ざされます。

 そこで、警察が登場することになり、著作権法違反幇助という罪で開発者の金子氏が逮捕される形になり、5の開発者の責任問題が急浮上するわけですが、結果的にはここで問題は終わりませんでした。 


 当然、開発者の金子氏が逮捕される形になって、問題が一段落することを期待する人は多かったはずです。
 なにしろコンテンツ事業者も、ISPも、システム管理者も、警察も、Winny利用者以外の誰もがWinnyの利用者が減ることを望んでいたはずで。

 ただ、結局、開発者の逮捕にもかかわらず、Winnyの利用者が思ったよりも減らないという結果になります。


 本来であれば、開発者が逮捕されたソフトウェアを、利用者が使い続けるのは実に不思議な話です。
 海外の事例では、大抵訴訟に負けた事業者のファイル交換サービスは、サービスを停止されるなり、人気を失うなりして失速しています。
 ところが、Winnyはピュア型のP2Pのサービスのため、サービスが止められないという要素も影響し、開発者の逮捕後も利用者は思ったより減りませんでした。
(一部のデータでは、その後増えたというデータもあったようです)

 利用者が減らなかった理由がなぜなのか、本当のところは良く分かりませんが、Winnyによる情報漏えい事件があいつぎメディアで報道されたために、野次馬的にWinnyを利用する人が増えたという説もあります。
 日本の法律では、ファイルを不特定多数へのコピー目的でアップロードするのは違法だけどダウンロードは合法というグレーな線引きが、利用者の違法コピーに対する問題意識をあいまいにしてしまったのではないかという説もあります。
(ちなみにフランスでは、アップロードもダウンロードも違法で罰金がかかるようです)


 ソフトウェアの開発が停止しているのに、利用者が減らないなんて、改善を止めたらお客さんがすぐに離れてしまう世界で生きている人間からするとウラヤマシイ話ですが、結局、その利用者が減らなかった事実がWinny問題にややこしさを増すことになります。
 
 利用者が減らないために、あいもかわらずISPはWinnyによるトラフィックに苦しみ、ウィルス開発者はWinnyをターゲットにしたウィルスを開発し、それによって情報漏えい事件が引き起こされ、それがメディアで報道され、野次馬がまたWinnyの利用者になる。
 そんな余計な問題を誘発したスパイラルが続くことになってしまったわけですから、実に皮肉なことです。


 ちなみに個人的には、Winnyの利用者が減らなかったのは、他に類似のサービスがあまり生まれなかったのも、結構要因として大きいのではないかと思っています。
 もちろん、海外のサービスを含めWinny以外のファイル交換サービスというのは多々あるんですが、やはり日本では日本語のサービスでないと流行りません。

 ところが、Winnyの際に「開発者自身が逮捕される」という開発者のリスクに注目が集まったために、日本ではその後ファイル交換サービス系の開発は一気に影を潜めるようになった印象が強くあります。
 海外には山のように類似サービスがあり、人気の流行り廃りがあるのに、未だに日本では2年前に開発が止まったWinnyが注目されてるわけです。


 あえて誤解を恐れずに、穿った見方をすると。
 Winnyによる著作権問題を何とか沈静化させようと、開発者の逮捕に踏み切ったことが、結果的に類似日本語サービスの登場を阻み、それによってWinny自体を生き延びさせることになり、改善の止まったWinnyをインフラとしたWinnyウィルスによる情報漏えい事件が社会問題化するようになってしまった可能性があるわけです。
 
 どうも最初の開発者逮捕という打ち手が、結果的にみると大きく裏目に出てしまったように感じてしまうのは、私だけでしょうか・・・
 (もちろん、今になってそんなことを言っていても意味は無いんですが)


 まぁ、安部官房長官の記者会見以降、一説によるとWinnyのトラフィックが3割とかいうレベルで減ったという噂もあるようですし、セキュリティソフト各社はいろんな対策は打ち出してきてますし、金子さん自身もオズテックという新しいファイル交換ソフトの開発に携わっていることを発表したりといろいろあるようですから、これで少しは問題解消に進展があるのかもしれませんが。

 ダラダラ書いていたら、ちょっとあまりに長くなってしまったので、続きはまたの機会にしたいと思います。

2006年3月29日

ウェブ進化論は教科書としてではなく、議論の素材として読むべきだと思う

RTCVol.10 『ウェブ進化論』 後録 | 近江商人 JINBLOGを読んで。

 先日のウェブ進化論をテーマにしたRTCカンファレンスのまとめで、上原さんが「「不完全さ」が事後の議論を起こしやすくして、結果「群集の叡智」が集まりやすくなっているのだなぁ」とまとめていますが、個人的にもいろいろ共感するところがあります。
 

 先日、「ウェブ進化論自身が、ネットとマスメディアの融合の成功事例?」というタイトルで、ウェブ進化論の成功自体がブログマーケティングの見本みたいな話をちょっと煽り気味に書きましたが。
 じゃあ誰でも手法を真似すれば、同じように書籍を大ヒットさせることができるかというと、もちろんそういう話ではありません。

 今回のウェブ進化論の大ヒットは、梅田さんが日本のブログ界のファシリテーター的な役割を担っていたからこそですし、個人的には「梅田望夫メソッド」とでも呼ぶべき、梅田さん独特の議題設定能力が大きいと思っていたりします。


 そもそも、私がビジネスの時事的な話を綴るブログを始めたのは、CNETで連載されていた梅田さんに影響されたのが一つのきっかけです。(そんなわけで、CNET主催の梅田さんセミナーに参加したり、FPNで梅田さんとの座談会を企画してみたりと、まぁ追っかけに近いポジションだったりするわけですが。)
 個人的に梅田さんが凄いと思うのは、自分のブログを通じた発信もさることながら、その発信したものが実に頻繁にブログ界で話題に、しかも「議論」になること。

 読者が多いブログだから、当然と言えば当然なわけですが、梅田さんを中心に発生した議論は、キーワードが残るのが一つ特徴だと思います。
 
 
 ここで、勝手に(本人にも無断で)、「梅田望夫メソッド」を定義してしまうとこんな感じ。

・ばーーーーっさりと、個人や企業を二つのグループに分ける。
・それぞれのグループにわかりやすいタイトルをつける。
・議論を皆に振る。

 例えば
 「PC世代」と「ネット世代」
 「こちら側」と「あちら側」
 「エスタブリッシュメントな層」と「若い人たち」とか。


 こんな感じで、ばっさり切られると、大抵の人は自分がどっち側なのかを考え、自分がどっちなのかで一喜一憂します。自分のサイドがポジティブだと思えば喜び、自分のサイドがネガティブだと思えば不安を口にし、自分なりの考えがある人は梅田さんにトラックバックで議論を挑みます。

 また、切られた線上や中間にいる人たちは「そんな二つで分類なんて単純に出来ない!」と怒る人も発生します。ある人は議題設定自体に問題提起をしたり、時には梅田さんがいかに分かっていないかというのを、とうとうと書いていたりするわけですが。

 そういう光景を見ながら、梅田さんは、議論自体に勝とうとしているわけではなく、議論自体を楽しんでいるんだなーと思うときが良くあります。


 私なんかは、普通どうしても、ブログに意見を書いてそれを他の人に否定されると、その否定自体が人格否定みたいな気がして、落ち込んだりしてしまうものですが。  
 梅田さんは、時に嬉々として反論に応えていたりするわけです。

 まぁ、考えてみたら上の手法ってディベートの手法に似てますよね。
 二つのサイドを決めて、自分がどちらかのサイドを取って議論をする。

 良く考えたら、ブログで反論されること自体、今後の自分のための知恵の一つになっているわけで、まさにブログでの議論は、不特定多数の人を相手にディベートを行っているようなもの。
 議題設定を行った梅田さんからすると、賛成も賞賛も反論も批判記事も、すべて議論を誘発することで生まれた「群集の叡智」なわけで、自分が提示した理論を議論を通じて更に強化されている感覚なのかもしれません。

 ケースバイケースで話をしたら、そんな世代論とか二元論にすべてが当てはまらないのはある意味当たり前なんですが、梅田さんはそこをあえて、ばーーーっさりと二つに切ってしまうことで、議論をしやすくしているような感じすら受けます。

 
 そういう意味で、あらためて「ウェブ進化論」を振り返ると、やっぱりこの本は上原さんが書いているように「「不完全さ」が事後の議論を起こしやすくして、結果「群集の叡智」が集まりやすくなっている」ようなブログ的な本なんですよね。

 ついつい書籍という形になっていると、何かを教えてくれる「教科書」として読んで、何となく分かったような気分になって終わりにすることになってしまいそうですが、この本はそこで終わったら実にもったいない気がします。

 組織単位でまとめ買いをする会社も増えているそうですが、せっかくそうやって組織全員で読むのであれば、その組織の中で議論をしたり、感想を交換したりして欲しいですし、是非自分のブログを始めてみるとか、ソーシャルブックマークサービスを使ってみて不特定多数無限大の世界とか群集の英知とかを体感してみるとか、そういう何かのきっかけにする本なのかなーと思います。


 というわけで、とりあえず自分はウェブ進化論をきっかけに、もう少し他の人の批判にひるまずに議論を楽しめるようになるように、自分なりの結論をちゃんとブログで書いていくようにしたいと思う今日この頃です。

2006年3月23日

ウェブ進化論自身が、ネットとマスメディアの融合の成功事例?

『ウェブ進化論』は何故キャズムを越えたのか? | 実践!Webマーケティング:Blog | ミツエーリンクスを読んで。

 ウェブ進化論が凄い勢いで売れているようですね。
 なにしろ、「発売から4週間で六刷。累計15万部突破」というんだから凄いです。


 ビジネス書で、しかもネット関係の本でこれだけ短期間に売れるというのは、間違いなく初でしょうね。
  
 冒頭に紹介したミツエーリンクスさんのブログで、ウェブ進化論の評判が伝播していく様子が分析されていますが、正直、自分がウェブ進化論の出版記念イベントにパネラーとして参加させてもらったのが遠い昔の出来事のように感じてしまうほどです。

 昨日、RTCカンファレンスでウェブ進化論についての議論を聞いてきたこともあり、kwmrさんに書けばといわれたこともあり、もう裏話を暴露しても良い頃だと思うので、自分なりにウェブ進化論の歴史(?)を振り返ってみたいと思います。

 
 私が梅田さんの出版記念イベントについて最初に聞いたのは、確か去年の12月です。
 ただ、その後詳細の説明も何にもなかったので、すっかり忘れていて1月12日にいきなり梅田さんのブログで告知があり驚いたぐらいでした。
 さらに驚いたのが1月30日に梅田さんのブログで発表された「第一部 これからのメディアについて」という議題設定。
 
 えーー、そのテーマにパネラーが私で良いんですか?というのが正直な感想。
 いくらFPNでメディアの真似事をやっているとはいえ、自分のメディアに関する知識なんて梅田さんやR30さんに教えてもらったことがほとんどなので、当日貢献できなさそうだと思っていたのが事実です。
 
 おまけにブログとメディア論みたいなのは、いわゆるブログコミュニティにおいては1年前に激しく議論されたテーマ。梅田さんやR30さんとは、ある程度共通の結論みたいなものを共有している感じはあるので、今更感を感じてしまっていたのも正直なところです。
 
 で、当日、始まる前にR30さんと「メディア論は早めに終わらせて別の議論しましょう」的な画策をしていたりもしたのですが、結局、梅田さんとそういう話をする暇はなく、ポッドキャスティング収録のために不規則発言を封じられたのもあり、メディア論の議論をある意味淡々と収録する形になります。

 実は当日まで、梅田さん本人とやり取りは無かったので、ご本人の意思を確認する暇もなく当日に突入してしまったのですが、予想通り当日のメディア論の議論にはあまり貢献することもできず、ちょっと凹み気味で当日を終えたというのが本当のところでした。

 
 これはあくまで個人的な印象ですが、会場に参加することができたブロガーの皆さんも、結構戸惑っていたように思います。
 何しろ、せっかく濃いブロガーが20人以上集まっているのに、会場を巻き込んだブログ的な議論が行われるわけでもなく、収録を黙って見守る形になってしまったわけで。
 皆さんいずれ劣らぬ論客ばかりですから、結構消化不良になっていた人も多かったようです。(確か会議1.0と比喩する人もあったと記憶してます)
 まぁ、その分、その後の2次会では、ブログ的にいろんな議論が白熱していたわけで、皆さん満足して帰ったわけですが。

 
 ただ、今となっては、このイベントの意図を自分が大きく勘違いしていたのが良く分かります。
 私個人は、ブロガーを集めてパネルディスカッションをするということで、てっきりいつもブログ上でやっているような濃い議論を、濃いブロガーを巻き込んで行うイベントなのかと勘違いしていたわけですが。

 このイベントはあくまで、メディアやブロガーの人たちに「ウェブ進化論」について書いてもらうためにあったわけです。
 まぁ、出版記念イベントなんですから、当たり前の話。
 今思えば、我ながら、ひどい勘違いをしたものです。

 
 特に今回のイベントのメインのターゲットは、やはり既存マスメディアの人だったのだと思います。

 ついつい私たちは梅田さんをCNETブログの頃から知っているので、超有名人だと勘違いしてしまいますが、一般的な基準から言えば梅田さんはそれほどマスメディアに頻繁に登場する人ではありません。
 ウェブ進化論という書籍を出したところで、普通に行けばブログには取り上げられても、それほどマスメディアに取り上げられることは無かったはずです。

 そもそもこの書籍「ウェブ進化論」のメインのターゲットは、ちくま書房のインタビューでも書かれているように「リアル世界の四十代~五十代の人たち」に「ネットの世界をきちんと伝えよう」ということ。

 ブログでいくら話題になっても、そのままではリアル世界の四十代~五十代になんて伝わりません。
 そのためには、なんといってもマスメディアに取り上げられることが必要なはずです。


 そこで一つの象徴的な役割を果たすのが今回の出版記念イベント。
 20名以上のブロガーに事前に書籍を配布し、「発売直後に一斉に」ブログで書いてもらうというバズの集中化を行った上に、IT系のニュースサイトにも記事を書いてもらい、書籍発売直後の話題づくりを行います。

 そういう意味では、出版記念イベントのターゲットが既存メディアの記者の方と考えれば、第一部が「これからのメディアについて」というテーマ設定だったのは今考えれば自然です。
 記者の方々にとっては、ネットと既存メディアがどのような位置づけになっていくのか、どのように融合していくのかというのは非常に興味深いテーマのはず。
 多くの記者の方が、梅田さんの発言に注目していたはずで、もっとこの人の話を聞きたいと思ったはずです。

 結果、書籍販売後1週間~2週間で、おおくのオンラインメディアに梅田さんのインタビュー記事が掲載されることになります。考えたら、書籍出版をきっかけにメディアにインタビューされるというのはそれほど普通のことではありません。書評コーナーに掲載されるならまだしも、梅田さん本人のインタビューが連発したわけですから。
 これらの中には当然事前に仕込んでいたものもあるはずですが、出版イベント直後のブログでの盛り上がりが好影響を与えたものも多いように想像します。
 
 ただでも、ブログを中心に話題になっている上に、オンラインメディアでも大量に紹介され、「ウェブ進化論」は見事なスタートダッシュを成功させます。
 それがAmazonのランキング急上昇や、品切れ続出をひきおこし、それが更なる話題を誘っていくのは皆さんご存知の通り。
 3月4日に 「王様のブランチ」のベストセラー紹介コーナーで第一位で紹介された時点で勝負アリ、ですよね。
 この時点ではブログやオンラインでの盛り上がりは一段落しているわけですが、すでにウェブ進化論の話題はマスメディアまで突き抜けて行っているわけで、もう役割は終了です。


 まずブロガーを中心に話題を盛り上げ、それをオンラインメディアにつなげ、最終的にマスメディアに届け、(その後ようやく新聞広告をうつ)、という形で見事にクチコミの連鎖が発生したわけで。
 発売前に梅田さんが、ここまでの大ヒットを想定していたのかどうかは分かりませんが、事前に緻密に計画された、見事なブログマーケティングの成功事例ということができるのではないでしょうか。

 もちろん、この成功はウェブ進化論という書籍自体がクチコミを発生させるクオリティだったからこそです。
 そういった仕掛けが無くても単純に書店に並べただけでも大ヒットしたのかもしれませんし、ライブドア騒動と重なって、ネットやウェブの今後を冷静に考えたい人が増えたのかもしれないとか、他にこういった本が無かったので丁度ニーズにマッチしたとか、いろんなことは考えられますが。

 ネットの世界のことをいかに「リアル世界の四十代~五十代の人たち」に伝えていくかということを、考え続けてきた梅田さんならではの成功だと言えると思います。

 企業で社員向けにまとめ買いする事例も増えているようですが、今後ウェブ進化論のおかげで、多くの企業でウェブの力を理解してくれる管理職の人が増えてくれれば、ウェブを上手く活用したい我々のような世代の追い風にもなるわけで。

 私たちブロガーも、そんな記念すべき成功事例の最初の盛り上がりに少しでも貢献できているんだとすると、何だかちょっと嬉しくなりますね。

 相変わらずなんだかちょっとまとまらないエントリになりましたが、長くなってしまったのでとりあえずこの辺で・・・
(つづく、かもしれない)

2006年3月17日

Winny問題は、開発者逮捕から2年近くも経つのに・・・

安部官房長官が国民に異例の呼びかけ--「パソコンでWinnyを使わない」 - CNET Japanを読んで。

 一国の官房長官が、記者会見でフリーソフトの使用禁止を国民に訴えるというのは実に異例の光景でしたね。

 
 Winny問題というのは、ファイル交換ソフト自体の著作権を巡る問題に加え、トラフィックの問題や、情報漏えいウィルスの問題も絡んでしまっていますから、普通の人に理解するのは不可能なレベルになってしまっている気もします。

 そんな中、官房長官がわざわざ記者会見で「Winnyを使わないでくれ」と宣言して、どれぐらいの効果があるのかは正直微妙です。

 なんだかかえってWinnyの注目度を増してしまい、模倣ウィルスの増加や興味本位の利用による被害の拡大を招いてしまいそうな気がするのは私だけでしょうか。
(安部官房長官の発言にバックアップされる形で、早速ぷららはWinnyの完全規制を打ち出しており、Winnyのトラフィックに悩むISPにとっては助かる宣言になったようですし、Winny対策の便乗商売は数々生まれてきているようですが)


 先週丁度「Winnyは悪くない、悪いのはウイルスであり、感染する人だ」という開発者の金子さんのコメントが記事になっていましたが、改めてWinnyを巡る騒動を振り返ってみると、Winnyの開発者である金子さんが逮捕されてもうすぐ2年になろうとしていることに驚きます。

 開発者が逮捕されて2年になるのに、いまだにWinnyをめぐる問題は収束するどころか、むしろ情報漏えいウィルスに関しては日々悪化しているような印象すらあります。

 先日の記事で、特に個人的にひっかかっているのは開発者の金子さんが「Winnyの改良を行わないことを警察側に誓約した」という点。
 これが問題を悪化させているように思ってしまうのは私だけでしょうか?


 Winny及び金子氏が、そもそも問われている問題は著作権法違反幇助の罪です。
 手軽に音楽や映画のファイルをコピーできるために人気を博したWinnyですが、コンテンツ業界からすれば当然これは大問題で、そのソフトウェアが改良されることを望まないのは当然でしょう。

 ただ、残念ながら金子氏の逮捕以降もWinny利用者はそれほど減っていないらしいという現実があります。

 
 英語圏では、複数のファイル交換サービスが存在するため、どれかが閉鎖されるとすぐ次のサービスに人気が移るという遷移がおこっているようなのですが、なぜか日本ではメインで利用されているのはいまだに昔ながらのWinMXとWinnyがほとんどのようです。

 そういう意味ではウィルス開発者からすると、ファイルを自動的にコピーするためウィルスを伝播させやすい性質を持っており、ある程度の利用者もいるため影響も大きいことが想像でき、しかも開発者による修正や改善が停止しているWinnyというのは格好の標的です。


 結局、情報漏えいウィルスのAntinnyの問題というのは、Winny自体にセキュリティホールがあって、ウィルスが伝播しやすいという仕組みを突かれているわけですから、本質的にはソフトウェアの問題。
 ソフトウェアに問題があるなら、それを修正すれば被害はある程度防げるはずなのに、修正版が出てこないから利用者は未だに問題のあるままのバージョンを利用し続け状況が悪化するという状態にあるようです。

 なんで、警察は金子さんに修正プログラムを書かせないのでしょうか?


 ただただしさんも「Winnyを改善させて損をする人がどこにいるのか」という記事のなかで、「問題を起こして業務停止命令下にある自動車メーカーに、リコール対策すらも禁じているかのようなものです」と書かれていますが、私もそう思います。

 もし今回の問題がハードウェアだったら、警察も当然その機器の改善を開発者に指示したんじゃないでしょうか?
 なんだかソフトウェアだから良く分からないからという理由で、そのままにされているような気がしてなりません。 


 まぁ、そもそもの著作権法違反の視点で考えれば、Winny利用者がウィルスで苦しむこと自体は、警察側やコンテンツ業界としては実は追い風と見ることもできます。
 Winnyの利用者がウィルスを恐れて減ってくれれば、著作権違反も結果的に減るわけで、そういう意味でもWinnyを改善する理由などないわけです。
 そういう意味では、「Winnyを使わないで」というお願いぐらいしかやることはないというのも分からないでもありませんが。


 でも、そもそものWinny利用者が未だに存在するという事実自体を踏まえて根本的な問題を解決をしないと、情報漏えい事件発生→メディアが報道→認知度が上がってウィルスを作る人や、興味でWinnyを試す人が増える→また事件発生というスパイラルは終わらないような気がしてなりません。

 

2006年3月15日

経産省部長のブログ炎上で職務専念義務違反はひどくないですか?

asahi.com: 経産省部長ブログ「炎上」 PSE法巡り書き込み殺到 - 社会を読んで。

 御手洗さんのブログ経由で知ったのですが、PSE法の関連で経済産業省の谷部長のブログが「炎上」して、閉鎖に追い込まれていたそうです。

 
 御手洗さんもブログで「行政に携わる方と非常に近い対話の機会が増えることは、住民のニーズに近い行政サービスを実現する上で、非常に価値のあることでしょう」と書いていますが、国の省庁の生に近い意見を聞けるブログがあるなんて実に画期的なことだったと思います。

 私個人はPSE法について無知なので、法律自体の是非は分かりませんし、谷部長がどういう人だったのかは良く分かりませんが、それにしても対話をしようと努力をしてくれる窓口があったのに、そういうブログが存在したのに、その窓口が炎上して閉鎖に追い込まれてしまうというのは実に悲しいことです。

 こういうことがあればあるほど、「結局ネットとかブログなんか使って国民の意見を集めても意味ないよね」と官僚の人たちに思われてしまうわけで。
 結局、国民の意見なんて聞く必要はないという話に帰結してしまいそうなのが個人的には非常に残念です。


 特に個人的に引っ掛かったのが「ブログ更新が平日の勤務時間内だったため「公務中の更新は問題」と議論は思わぬ方向に飛び火した」という部分。

 もし、これが電話による苦情を対応という話であれば、苦情郵便に対する返事を書いているという話しであれば、抗議者が庁舎に押しかけてきたのを対応という話であれば。
 勤務時間内の対応に、こんな指摘が出るでしょうか?

 PSE問題に関わる谷部長のブログ更新というのは、行為としては不特定多数の人たちに経産省の施策への理解を求める、まさに電話対応や対面対応と同じ説明行為だったはずなのに。
 人々の非難の矢面にたった行為が褒めらるべきぐらいのところを、「国家公務員法の職務専念義務違反」なんて懲罰をもらうなんて悲しすぎますよね。

 しょせん今の官庁におけるブログの位置づけなんてこんなもんなんだというのが良く分かる一文ですが。
 今回、谷部長のブログを炎上させてしまった人々は、聞く耳をもってくれたかもしれない谷部長を攻撃して、その後ろにいる手を汚してない人たちに谷部長を後ろから刺させた上、象牙の塔に閉じこもる言い訳を与えてしまったかもしれないわけで。

 何とも、いろんなことを考えさせられる出来事です。


 ちなみに、御手洗さんも書いていますが、「炎上」という言葉が一人歩きすると、いかにもネットならではの特殊な出来事のように見えてしまうのを個人的には非常に懸念しています。

 今回のPSE法問題にしても、結局ブログの「炎上」というのは、人々の間でPSE法に対する疑念や不満が渦を巻いているから、リアクションの出やすいブログやネットが「炎上」という形で盛り上がるわけで。
 
 これまでは人々の声が見えにくかったから「炎上」という分かりやすい現象が出なかっただけだと思います。(それが本当にたまりにたまるとデモとかストライキのような実力行使になるんだと思いますが)

 官僚の皆さんには、是非ネットのボヤで済んでるうちに、本質的な問題を踏まえた議論をしていただきたいと切に願います。

2006年3月 7日

携帯電話業界という定義の終わりの始まり

[R30]: ソフトバンク×ボーダフォン関連まとめを読んで。

 ソフトバンクのボーダフォン買収をめぐって、様々な議論が始まっています。

 ソフトバンクが日本テレコムを買収したときから、一部の人の間ではそのうちボーダフォンもソフトバンクに買収されるんじゃないのという憶測が流れていましたから、まぁ想定の範囲内と言えば想定の範囲内なんですが、実際に決まるとやはりインパクトは相当大きいですね。


 私自身も、昔「通信会社は最終的には3位までしか生き残れない?」なんて記事を書いたときにソフトバンクは「ボーダフォンなりウィルコムなりを買収して、移動通信もトップ3入りを目指すべき」とかって無責任に書いてたんですが、今回の買収決定には素直にびっくりです。


 また、あらためて買収劇を巡るブロガーの皆さんの反応を読んで回ると、さらに考えさせられるものがあります。

 ボーダフォン自体は、Jフォン時代の写メールは脚光を浴びたものの、最近はすっかり安売り携帯になりかけていたわけで、「そんな負け組を買収したところで何ができるのか」ということを言うことはできます。

 ただ、ソフトバンクのこれまでの通信産業参入のステップを振り返ると、今回の買収がそれにとどまらないのは火を見るより明らかでしょう。


 ヤフーBBでADSLに参入したときも、業界の度肝を抜く低価格で参入し、ISP業界を仰天させたのに始まり。
 BBフォンでは利用者間無料や全国統一料金を当然のように打ち出して、利用者にとっての長距離電話事業者の存在意義を消してしまい。
 日本テレコム買収後には、固定電話の基本料金という聖域部分にまで参入を表明して、既存通信事業者の度肝を抜きました。

 今回のボーダフォン買収をきっかけに、ソフトバンクが携帯電話業界に置いても同様のアプローチに出ることはほぼ間違いないでしょう。


 R30さんなんかは「SBが引き金を引く、携帯電話業界の「大殺界」」と表現していますが、そうなる可能性は十分あります。
 
 通信会社の視点からすると、そんな誰も儲からない戦略なんてなんでわざわざとるんだという話ですが、やはりそうやって個別の事業単位で収支を考えてしまう時点で、規制産業に慣れてしまっているということなんでしょう。


 思い返せば、ヤフーBBが始まったときにも、ソフトバンクの超低価格戦略に対して「すぐにガス欠するよ」とうそぶく通信事業者は少なくなかったのを記憶しています。
 結局、ARPUをベースに事業を考えていると、通信事業自体での利幅を無駄になくしてしまう低価格戦略というのは、論理的に考えればどう見ても異常にしか見えないわけです。

 ただ、多くのブログで書かれているように、一歩引いてみると、ソフトバンクの戦略は実にシンプルです。
 
 通信事業自体で仮に利益が出なかったとしても、Yahoo!を中心としたポータルの広告やコンテンツで利益が出ればよいわけで。
 消費者一人ひとりからもらうお金のARPUで考えているから、どうしても個別の事業の収支に目が行きがちですが、グループ全体の収益性で考えればありなわけです。

 これって、まさにGoogleがAdsenseを中心とした広告費による収益を元に、周辺のサービスを無料で提供しまくっているのと同じ構図。
 渡辺さんが書いているように「Yahoo! JAPANのGoogle化」というのが、しっくり来ます。


 改めて考えると、これまでの携帯電話業界というのは激しい競争をしているようでいて、結局同じ考え方の同じビジネスモデルの既存3事業者(+ウィルコム)の戦いだったわけで、携帯向けコンテンツ産業なんてのもその定義の中で成り立っていた産業。

 ソフトバンクという業界の異端児のボーダフォン買収によって、業界の壁が取り払われてしまった今、今後の携帯電話業界という定義があいまいになってくるのは間違いなさそうです。


 おまけに、今後はFMCとかトリプルプレイとかソフトフォンとか、技術的には業界の壁が更に無くなっていくのが明らかなわけで。
 現在の既存企業はどのようにこの変化を捉えるべきなのか。

 あらためて、御手洗さんの「競争のフェーズは完全にシフトした」という話を思い出しながら、はたして通信企業とは何かネット企業とは何なのかというのを考えずにはいられません。

2006年3月 3日

なぜソフトバンクはdigg型ではなくオーマイニュース型を選んだのか?

韓国「オーマイニュース」にソフトバンクが出資--3月には日本法人も設立 - CNET Japanを読んで。

 ちょっと前の記事になりますが、韓国の参加型ニュースサイトとして有名な「Ohmynews(オーマイニュース)」にソフトバンクが出資して話題になりましたね。

 
 3月に設立されるオーマイニュース・インターナショナルという日本法人にいきなり6億円以上出資するというのも驚きですが、本体に出資しつつ日本法人を設立するという手法は、インターネットブーム前のYahoo!への出資を彷彿とさせますから、いろんなことを想像してしまいます。

 個人的にも、1年半前FPNニュースコミュニティを手探りで始めた頃にオーマイニュースの存在を知り、非常に影響を受けたのもあり、いろいろと調べた経緯があります。
 なにしろ韓国でのオーマイニュースの盛り上がりは非常に大きなものがあり、いろんなところで取り上げられていましたし。


 ただ、いろいろ調べた結果、日本ではオーマイニュースのようなものは投稿型のニュースサイトはブレイクしないのではないか、という結論に至ったのも事実です。

 時事通信の湯川さんもブログにかかれていますが、オーマイニュースの成功は、その当時の韓国で変革を求める人々のエネルギーが大いに蓄積していて、保守的な既存メディアに変わる存在としてオーマイニュースがそのエネルギーのはけ口になったという政治的な背景をなくしては語れません。

 日本では、なんだかんだ言って既存メディアにも様々な立場のメディアがありますし、2ちゃんねるのようなオーマイニュースとは違う形での消費者参加型メディアも存在しましたし。

 最近は、ブログなりmixi日記のようなもので、個人個人が自分のサイトで書くという行為の方が広がっていますから、そういう意味でも勝負ありと言う印象があります。
 (逆にオーマイニュースの人気が高い韓国では、ブログはそれほど人気がないんだとか。アバター型SNSのCyworldの影響も大きいのかもしれませんが)

 ただ、ヤフーもグループに存在するソフトバンクがてこ入れするとなると、ちょっと話は変わってきますね。はたしてどういうビジネス展開になるのか興味津々です。


 ちなみに、個人的に気になったのは、diggのようなコミュニティ型ニュースサイトが注目を集めている中で、あえてソフトバンクが旧式のモデルにも見える投稿型ニュースサイトに出資したという事実。

 Web2.0の視点から考えれば、今クールなのは当然diggのようなコミュニティの集団によって編集がなされるニュースサイトの方でしょう。

 特にベンチャー企業や個人にとっては、diggのような仕組みの方が数人のエンジニアで手軽に開発できる上、コンテンツは他のサイトやブログのものを無料で流用する形ですからリスクも低く簡単に始められます。

 実際、diggは数人で始めたにもかかわらず1年であっという間にSlashdotに迫る人気サイトに成長しました。
 日本でも、はてなブックマークのポータルが同じようなポジションにあるかもしれません。 


 ただ、この手のサービスはあくまでコンテンツのフィルターを行っているだけで、実際の記事コンテンツを作り出したり保有しているわけではありません。

 もちろん、人気が出ればフィルター部分のページビューは稼げますから、diggやはてなブックマークのように、フィルター部分やコメント部分にGoogle Adsenseを貼り付けて広告収入を得るようなビジネスはできますが、肝心の記事コンテンツを流用したビジネスや、記事の広告や記事を読んだ後に発生する行為から収入を得ることは難しいわけです。 

 当然、それが良いとか悪いとかいう話ではありません。
 ただ、この場合、既存メディアはdiggやはてなブックマークに編集部分は取られても、最終的な記事へのトラフィックは得られるというのが重要なポイントです。


 今回のソフトバンクのオーマイニュースへの投資は、それとは逆に記事というコンテンツ自体を生み出す仕組みに投資したといえるわけで、そういう意味ではおおげさに言えば既存メディアとバッティングする存在に投資しているように見えてきてしまいます。

 湯川さんのブログでは、今回のオーマイニュースへの投資は、ソフトバンクの「2010年の、世界中のインターネットニュース・インフラ「情報ハブ」の地位の確立」という目標への第一歩に過ぎないという見方も紹介されていたりして、そういえば、孫さんは以前日本のメディアを買収しようとして断念した歴史があったなぁーとかいろんなことを考えてしまったりします。 
(ライブドアのPJニュースの後から満を持して本命登場という意味では、球団買収のときのライブドア落選→ソフトバンクのダイエー買収ともかぶったりしますが)

 とりあえず湯川さんがソフトバンクに取材に行かれるようですから、インタビュー記事を楽しみに待ちたいです。

2006年3月 1日

ブログでトラックバックの方法を練習するために

 この記事は、All Aboutのトラックバック記事の関係で作成しました。
 ブログは書いているけど、まだトラックバックを送ったことが無いという人に、手軽に練習をしてもらうために作成した記事です。

 実は私も始めてブログからトラックバックを送ったときに、やり方が良く分からなくて5回ぐらい同じ事を繰り返してしまい、相手に慌ててお詫びのメールをしたという恥ずかしい過去があります。

 この記事については遠慮は要りませんので、気が済むまでトラックバックの練習をしてみてください。

 なお、この記事のトラックバックURLは下の方に書いてありますので、そこをマウスでドラッグして右クリックでコピーしてください。

※トラックバックする記事からこの記事にリンクを貼ってください。
 スパムトラックバック対策で、リンクがない記事のトラックバックはエラーが出ます。

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