日本のウェブの残念度を下げるために、私たちができそうな7つのこと+α

 火曜日の「日本のウェブは遅れているのではなく、急速に進みすぎたのではないかという仮説」には、久しぶりに多くの皆さんに、メールやブックマーク、コメント等、いろんなリアクションを頂きました。
 ありがとうございました。
 最近の私のブログは読書メモばかりを投稿しているのもあり、記事に対するリアクションをもらえる喜びをすっかり忘れていましたが、久しぶりにいろいろと脳みそを揺さぶられる一日でした。
seven_sins.png (本題と関係ないですが、七つの大罪のイメージ)
 普段、私のブログはそんなに大勢の方が来られるブログではないのですが、それが一本の記事がピックアップされて多くの人に見てもらえ、反応をもらえるというのが、やはり、はてなブックマークのようなミドルメディアの価値だなーと再確認しましたし、様々なブログでの議論の伝播といい、今回の「日本のウェブは残念」論争で、改めて日本におけるバーチャル・アテネの学堂の可能性みたいなものを垣間見たような気がします。
 私自身、2006年頃からAMNというブログをプラットフォームにしたビジネスをする会社に移り、日本のネットやブログをもっと面白くすべき立場の仕事をしているわけですが、今回の議論で、過去にやろうと思っていたことを全然やれていないことを改めて痛感しています。
 ちょっと物議をかもしそうな気もしますが、自分がやろうとしていたことを忘れないように、日本のウェブにバーチャル・アテネの学堂的な場所を作るために、私たちが貢献できるのではないかと思っていることを書き出してみます。


1.自分が考えていることをネット上にアウトプットする
 当然、みんなが考えていることが現状は文字になってネットに書かれない限り、見つけることはできないので、やはりまずはそれぞれの考えとか思いがネット上に書かれることがスタートだと思います。
 当然、仕事が忙しくてそれどころじゃないという方や、そんなことしている暇があったら他のことに時間を使うという人は多いと思いますが、そういう人も今までより、1割2割ネットへのアウトプットを増やしてもらうことで、ほかの人に役立つ日本語圏の情報の量や質は少しあがるはず。
2.参考になった他の人の記事や意見にはリアクションをする
 そうは言っても、せっかくアウトプットをはじめた人も、たいてい反応があまりにないために、やめてしまうというケースが多いと思います。
 そういう人たちにアウトプットを続けてもらうためにも、重要なのがやっぱりリアクションだと思います。今回の記事でも頂いたメールやコメント、トラックバックやはてなブックマークの数とかにずいぶん刺激をもらいましたが、このボリュームがもっとあると情報をアウトプットする人が続ける確率も上がるのではないかと。
3.参考になった議論の経過をまとめる
 今回の論争の経過を見ていても思いますが、私のようにそこら中のブログを見て回っている人間だと、議論の経過の全体像が見て取れて、議論の流れ自体が刺激になるものになりますが。
 やはり、普通の人だとどこかのブログで議論の一部だけをいきなり見ることになり、全体像が全く見えないということが多いように思います。
 そう言う意味では、このブログみたいに言及している記事を一覧化したり、議論の流れをまとめてくれる人というのは実は1つ1つの情報並み、ひょっとしたらそれ以上の価値があるかもしれません。
4.参考になった他の人の意見を紹介する
 議論の経過をまとめるという作業は、結構面倒な作業だったりもするので、なかなか全ての人ができるとは思いませんが、少なくとも参考になった意見にリンクを貼るという行為は、もっと積極的にできるのではないかと思います。
 特に自分もブログ黎明期に、ほかの人からリンクしてもらえたことが大いに励ましになっただけでなく、そのリンク経由で新しい人たちに自分の意見を読んでもらえることが大きなモチベーションになったことを思い出します。
 トラックバックという意見をリンクでつないでいた機能が、スパム等々の問題によって有名無実化しつつある今だからこそ、よりリンクをする行為の重要性が上がっている気がします。
5.もっと褒める
 意見表明とか議論というと、どうしても自分の意見を主張したり正当性を表明するために、相手の批判から入ってしまうイメージがありますが、やっぱりもう少し褒める方にハンドルを傾けていても良いのではないかと思います。
 批判ばかりされていると、やはり人間良い気分にはなりませんから、お互いに批判ばかりしていると、批判に耐性がある人とか鈍感な人しかネットに残ることができないという寂しい結果になってしまいそうです。
 これは何も議論とかの話だけでなく、ウェブサービスとか製品とか、そういったものに対する姿勢にしても同じような気がします。
6.周りの人と助け合う
 なんとなくインターネットを使うときはPCに一人で対峙しているので、何となく一人で何もかもしなければいけなくなる印象があります。ブログの地味な例で言ったらスパムコメントとかスパムトラックバックの対策とか、便利なウェブツールの使い方とか。
 そういうことが分からないけど、何となく自分で勉強しなければいけない雰囲気ってのはもったいないなーと思います。
 せっかくネットを通じてこれだけ多くの人と繋がっているわけですから、もっとお互いに助け合うような物々交換ならぬ行為の交換とか、知恵の交換とかが積極的にできると良いのではないかと思います。
7.日本のウェブの良い面の魅力を理解してくれる仲間を増やす
 先日の記事を書いてみて思いましたが、日本のウェブは一気に利用者が増えてしまったことによって、悪い面が大きく強調されてしまい、良い面を理解しないままでいる人たちがまだまだ多いのではないかなぁと感じます。
 当然、悪い面があるのは事実ですし、ネットが完璧だとは思いませんが、ネットの可能性を正しく理解してくれる人が増えれば、もっとネットの可能性も広がるのではないかなぁと、そんなことを思います。
 そのためには、面倒でも地道にネットの上手い使い方とか、可能性とかを啓蒙していくしかないのかなと。
 まぁ、ご推察の通り7つぐらいかなと思って出したリストで、論理的に考えた結果ではないので、足りない点やおかしい点があれば遠慮なくご指摘下さい。
 
 で、これで終わるとライフハックエントリみたいになってしまうので、言うだけでなくちゃんと行動するために、上記の項目に関連して、自分が個人的に&AMNを通じてチャレンジしたいと思っていることを開示しておきます。
1.自分が考えていることをネット上にアウトプットする
 ちょっと慣れない仕事でパニクっていることもあり、読書メモ以外の情報発信の頻度が明らかに落ちていたのですが、まずは自分のブログをちゃんと書くことから再開します
2.参考になった他の人の記事や意見にはリアクションをする仕組みを作る
 せっかくAMNのようなブログに関わる仕事をしているので、コメントとかはてなブックマークより、もう少しハードルの低いリアクションができる仕組みとかを模索したいと思っています。
3.参考になった議論の経過をまとめる仕組みを作る?
 こちらも当初AMNで、BlogRadarとかで目指していたところだったのですが、システムも追加開発が全くできてないので、ちょっともう一度手作業も含めて違うアプローチの仕組みを考えてみたいと思います。
4.参考になった他の人の意見を紹介する
 こちらもAMNでサイドバーのブログパーツにパートナーブログの相互リンクを導入して、ここから関連記事的なものに発展させていく予定だったのが頓挫している状況なんですが。もう少しシンプルな文脈別まとめから始めてみようかと思います。
5.もっと褒める
 ブログに関しては、2番のリアクションの方の仕組みでこういう要素が増やせればと思いますが、今回もう一つ思ったのは、日本のウェブサービスや製品を褒める機会がもっとあっても良いのではないかと言うこと。これについては、ちょっとイベント的なものから取り組んでみたいと思っています。
6.周りの人と助け合う
 これは私自身の反省ですが、AMNが最初にアドネットワークとしての生まれ方をしたために、ネットワーク参加条件が広告掲載媒体としての基準になってしまい、何となくクローズドな印象を一部の方にもたれてしまったのは本当に残念に思っています。
 本来、日本のウェブとかブログ自体が盛り上がらないと、AMNが作られた意味がないので、そう言う意味でも、もともとやろうと思っていた企業とファンをつなぐプラットフォーム的な仕組みとか、知恵の交換がされやすくなる仕組みを提供してみたいと思っています。勉強会もその一つですね。
7.日本のウェブの良い面の魅力を理解してくれる仲間を増やす
 これはAMNの本業だからというのも大きいのですが、やはりAMNの役割は企業の担当者の方々にネットとかブログとかの可能性を理解してもらうことだと思うので、そこのステップを地道に続けていきたいと思います。
 まぁ、こちらの7つはあくまでAMNで働く私のポジショントークであり、妄想的な今年の目標なので、正直やって意義のあるものになるのかどうかは、全く分かりませんが。
 もし、どれかの項目と同じようなことを考えていたよという方とか、そんな活動に興味があるという方は是非ご連絡下さい。
 せっかくこの刺激的な時代に生きているわけなので、日本のウェブの可能性を諦めずに、みんなで一緒にいろいろチャレンジできればなーと思います。
追伸
 上記に直接関連してと言うわけではないですが、来週の6月19日(金)に1年ぶりにブロガー勉強会を復活開催します。今回は「Webにおける記事の書き方」をテーマにITmediaの岡田有花さんとGoing My Wayのkengoさんに講師になって頂く予定です。
 早ければ今日中に締め切ることになりそうなので、興味がある方はお早めにお申し込み下さい

“日本のウェブの残念度を下げるために、私たちができそうな7つのこと+α” への3件のフィードバック

  1. [私の意見]続々《日本のWebは「残念」》について…梅田氏の原点・日米の違い・二人の提言

    [海部さんの記事<ここ>に刺激を受けて載せられたアテネの学堂のイメージ<ここ>より] ****************************…

  2. ブログの長さを検知するシステム

    ブログ記事の長さを自動的に検知するシステムをつくっぅ

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