P2P で何が変わるのか:グリッドコンピューティング――その1

これまで紹介したアプリケーションは一般ユーザーにも直接関係のあるアプリケーションでしたが、今回紹介するグリッドコンピューティングは少々毛色が異なります。


グリッドコンピューティングはよく分散コンピューティングとも言われます。従来、大規模な演算能力を必要とする計算処理では、スーパーコンピュータと呼ばれる高価な高性能コンピュータを利用するのが一般的でした。しかし近年では、サーバーを複数並べて分散処理をすることにより、スーパーコンピュータ並みの処理をさせることも多くなってきています。

グリッドコンピューティングは、これを一般ユーザーが使っているパソコンの世界にまで対象を広げています。スーパーコンピュータと比較すると処理能力で格段に劣るパソコンを数千台、数万台と接続することで、はるかに大きな処理能力を実現することができるのです。

これまでの P2P アプリケーションと比較すると、企業システム向けのイメージが強いかもしれませんね。実際問題、グリッドに取り組む企業は IBM やサンマイクロシステムズをはじめ、そうそうたる面々が揃っています。

実際、グリッドコンピューティングの仕組み自体は、バイオの研究や金融の数学的計算など、高速で処理する能力が必要な企業の中で使われることが多いのですが、最近グリッドコンピューティングで注目されているのは、インターネットを経由して一般ユーザーのパソコンも接続して利用させてもらおうというプロジェクトです。

これは非常に注目を浴びている分野なので、雑誌などで読んだ人も方も多いかもしれませんね。

代表的な例としては、SETI@home によるプロジェクトがあげられます。 SETI(The Search for Extraterrestrial Inteligence)とは地球外知的生命体探査で、宇宙から来る電波を解析して宇宙人を見つけようという、非常に夢のあるプロジェクトです。

既に300万人以上の参加者がいると言われており、日本向けのサイトも開設されています。

特筆すべきなのは、このプロジェクトが非営利で運営されていることです。なぜ非営利で運営できるのか、それは次回のお楽しみ。