(前回のコラムの続き)
■P2P 技術によるリアルタイムコラボレーションの可能性
Groove は広大な米国で開発されたということもあり、移動してわざわざ会いに行かなくても、 Groove 上でコラボレーションを実現できる機能が充実しています。
例えば、以下のようなコミュニケーション機能があります。
・インスタントメッセージング
いわゆる IM 機能です。 Windows メッセンジャーともやり取りができます。
・リアルタイムチャット
複数メンバーで同時にチャットしたい時に利用します。
・ボイスチャット
インターネット回線を通じて音声通話も利用することができます。
・プレゼンテーション機能
パワーポイントの資料などを使って複数のユーザーに同時にプレゼンテーションが行えます。
・ファイル同時編集機能
ユーザー同士がチャットをしながら、同時に一つのファイルを編集できます。
コラボレーションしたい内容や人数、お互いの状況に応じて、ユーザーは適切なコミュニケーション手段や機能を選択しながら、あたかもお互いが同じ会議室にいるかのように、リアルタイムに作業を進めることができるわけです。
これらは、まさに PC がお互いに直接データを送りあう P2P の仕組みを最大限に活用している機能、といえるでしょう。
もちろんこれらの機能は、クライアントサーバー型の仕組みでも、 IBM の Sametime や Microsoft の SharePoint などでは同様の機能が提供されています。
ただ、サーバー型の場合は、細かいセキュリティ設定が必要になる場合がほとんどのため、インターネットに接続さえしていればセキュアにつながるという P2P の特徴は、かなり有利に働くと考えられます。
■Microsoft の戦略のひとつとなるのか、独自路線を行くのか
Groove は、Microsoft との提携関係を生かして、様々な Microsoft 製品との連携も実現しています。
例えば Outlook のメールを Groove に取り込んだり、アドレス帳やカレンダー機能を連携させることができたり、 Microsoft オフィス製品である Word や PowerPoint ファイルのプレビュー機能や連携機能なども含まれています。
さらに、先ほどご紹介したサーバー型のコラボレーションシステムである Microsoft の SharePoint との連携を実現することもできます。
Lotus Notes を開発した Ray Ozzie が、 Lotus Notes の最大のライバルであった Microsoft Exchange を作っていた会社と手を組んだというのは皮肉な形ですが、逆に言うと、今回は Microsoft を敵に回さず味方にするというのが戦略であるといえるでしょう。
Microsoft としては、コンシューマー市場には、 MSN メッセンジャーや以前紹介した ThreeDegrees のようなソフトを投入し、企業市場には Groove や SharePoint を投入する、という戦略が描けることになります。
そういう意味では、今後 Groove はますます OS との連携を強めて、まったく新しい機能を提供してくれるかもしれません。
現在のところは英語版しか提供されていませんが、基本的な機能は日本語で利用することが可能です。 60日間無料で試用することができますので、皆さんも未来のコラボレーションの姿を体験してみてください。
Groove のサイト http://www.groove.net