前回は P2P 型のインターネット電話 Skype をご紹介しましたが、今回は P2P 型インスタントメッセージングソフトの「3°」(ThreeDegrees)を紹介します。
Skype にもインスタントメッセージング(IM)機能がついていましたし、過去に「P2Pで何が変わるのか」というシリーズを掲載した時に具体的なアプリケーションの一つとして IM を紹介しましたので、何でいまさらと思われるかもしれません。
ただ、今回ご紹介する threedegrees には、他の IM に比べて P2P 技術の特徴を生かした新たな機能が加わっています。
■ThreeDegrees の概要
ThreeDegrees は、実は Microsoft の若手技術者チームによって開発されています。 Microsoftには、皆さんもご存知の MSN メッセンジャーや Windows メッセンジャーという製品がすでにありますから、何でさらに別のメッセンジャーもやっているんだ、と思う人も多いかと思います。
なんでもThreeDegrees のターゲットは、真のインターネット世代(年齢的には13~20歳代の若者)だそうです(そういう意味では私もターゲット外なのですが)。本当の意味でインターネットに慣れ親しんだ人たちに向けた、全く新しいツールを模索するという、ある意味、研究開発的な位置付けにあるサービスだと言えるでしょう。
Web サイトから引用すると、「2年前、11人の開発者が threedegrees の制作を開始しました。ほとんどが初めて会ったばかりの大学生でした」というように、開発も若手中心のチームでスタートしたことが分かります。
ThreeDegrees とは、「人は世界中のどんな他人とも実は6人以内の人間関係で結ばれている」という理論「six degrees of separation」から由来しているそうで、どうして「Six」ではなく「Three」 なのかというと、インターネットユーザーは、その理論の6人よりもさらに少ない3人でつながっている、ということを表現しているからだそうです。
そういう意味でも、既存の IM 製品と比べると、 ThreeDegrees では P2P 技術の活用で、いくつか特徴的な新しい機能への取り組みが見られます。
■ThreeDegrees の特徴
現段階で、ThreeDegrees の大きな特徴と呼べるのは下記の3点です。
1. P2P のグループ「3°groups」を形成
実際の利用時にはあまり気にならないと思いますが、 ThreeDegrees においては、 P2P の考え方をベースにグループを形成します。 1グループあたり最大10人までのグループをいくつでも作成することができますが、これは、実際の仲良しグループの部屋を作るような感覚です。
2. グループの中で音楽を共有鑑賞
なんといっても ThreeDegrees の最大の特徴はこの機能でしょう。誰かが MP3、WMA、WAV などの形式の音楽ファイルをプレイリストに加えると、その音楽をグループの全員が同時に聴くことができます。イメージとしては、誰かの部屋で CD プレーヤーの音楽を聴いているような感じです。誰かが曲を変えれば全員の PC で曲が変わり、止めれば止まります。あくまで1台のプレーヤーを共有する感覚であるのがミソで、音楽のファイル自体を交換するわけではありません。
3. ウィンク機能で新たなコミュニケーション
こちらはさらにお遊び的な要素が強い機能です。絵文字のようなアイコンを使う代わりに、相手のデスクトップにアニメーションアイコンを表示させます。この機能は ThreeDegrees 独特のものというより、これから他の IM にも増えるものかもしれませんね。(次回のコラムに続く)