前回までに紹介してきたソリューションは、いずれもインスタントメッセージング的なソフトウェアという印象が強いかもしれません。 今回紹介する Groove は、その機能をさらにグループウェア的なコラボレーションの分野まで拡張した製品です。
ソリューションとしては、 Skype のような電話という単機能なものから順番にご紹介してきましたが、 Groove を開発している Groove Networks は1997年に設立されており、実は歴史的には P2P アプリケーションの中でもかなり初期のグループになります。
■Groove の概要
Groove Networks は、グループウェアの定番として有名な Lotus Notes(ロータス ノーツ)の創造者である Ray Ozzie によって設立されました。
もともと Lotus Notes を開発した際の Ray Ozzie のコンセプト自体が、実は P2P 的なモデルだったとも言われています。 Groove においては P2P テクノロジーを活用することで、中央サーバーのくびきから開放され、 Lotus Notes のようなサーバー型のシステムでは実現が難しかった社内外コラボレーションが実現されました。
さらに Groove は Microsoft の資本を受けていることでも有名です。つまり、Groove というアプリケーションは単体で存在するわけではなく、 Microsoft の企業向けの戦略のひとつとして、今後他の Microsoft のソフトウェアとの連携を密にするのではないかとも言われているのです。
実際に、Groove がどのような特徴を持っているのか、見てみましょう。
■Groove の特徴
Groove は、P2P テクノロジーをベースとして動作しているため、既存のサーバー型グループウェアにはない特徴があります。
Groove を日本で販売しているシステムコンサルタンツの Web サイトより、主なものを3つ引用します。
1.柔軟で使いやすい
最も分かりやすい特徴はこれでしょう。 P2P テクノロジーを利用することで、サーバーがない仕組みになっているため、サーバーの知識や運営管理の手間が必要ないことになります。コンシューマー向けのインスタントメッセージソフトなどであれば当り前の話ですが、企業向けであるコラボレーションソフトの世界では重要なポイントです。
2.目的に応じて必要なツールだけを選択できる
Groove において利用者が実現できるのは、設定や管理をサーバーレスで実現できるだけではありません。実際利用する機能やツールの選択自体も、サーバー管理者に指定されるのではなく、利用者自身が必要な機能を必要な時に選択できます。
3.会社だろうが自宅の PC だろうが Web 閲覧できれば使用できる
実際に Groove を購入する顧客の目的は、この特徴にあるとも言われています。 P2P テクノロジーを活用することにより、インターネットに接続されている端末であればどこでも情報を共有できます。宣伝文句を借りると、「世界中の Groove ユーザーとコラボレーションが可能」になるのです。(次回のコラムへ続く)
Groove のサイト http://www.groove.net