P2P で何が変わるのか:グリッドコンピューティング――その2

ブロードバンド化とパソコンの高性能化は進んでいますが、実は回線やパソコンの使用率というのはあまり高くありません。

自分のパソコンの利用頻度を考えてみてください。


会社のパソコンならずっと向き合っているかもしれませんが、家のパソコンはどうでしょう?一日何時間ぐらいつかいますか? 何分でしょうか? それとも週末だけだったりしませんか? しかも、起動している最中もパソコンの処理能力をフルに使う時間はそう頻繁にはありませんよね。

一般にパソコンの処理能力の使用率は10%以下とも5%以下とも言われています。つまり高いお金を出して購入したパソコンも、その能力はほとんど有効活用されていないわけです。

前述の SETI@home のようなグリッドコンピューティングのプロジェクトは、その有休状態にあるパソコンの処理能力をシェアする形で、非営利にも関わらず300万人もの登録者を集め、大規模な処理能力を生み出しているのです。

もちろんこれを聞いて、この仕組みをビジネスとして捉える企業が出てこないわけがありませんよね。

IBM は全製品をグリッド対応にするとうたっていますし、サンマイクロシステムズはすでに5000社を超える事例を持つと言われています。

また、マイクロソフトもグリッドの進展を支持していると言われていおり、日本でも NTT データが4月30日まで cell computing という名称で実証実験を行っていました。

さらに今年に入って、IBM と Butterfly.net という米国の企業が提携し、ソニーの PS2 用にオンラインゲームのグリッドの仕組みを発表した上、 SCEI の CTO が PS3 はグリッドのコンセプトに重点を置いて行くと発言して話題を呼びました。

そう、グリッドコンピューティングは、実は皆さんにも関係のある話なのです。

もし、皆さんの家のパソコンの空いている処理能力を使って、大規模な処理能力を必要としている企業のニーズを満たすことができるとしたら、その企業からお金をもらって、皆さんにお金を分配する形のビジネスが実現できますよね? 

もしあなたの家のパソコンが、あなたがいない間にお金をせっせと稼いでくれるとしたら……なんとなく魅力的じゃありませんか?

それとも、やっぱり無償の奉仕で宇宙人を探す方が魅力的でしょうか?

どちらにしてもグリッドコンピューティングの進展により、あなたのパソコンがあなただけでなく、あなた「以外」の人々の役にも立つ時代がやってこようとしているのです。