テレビCMの価値が奈落の底–ネットとHDDレコーダーで加速 – CNET Japanを読んで。
先週野村総研が公表した「企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ」という調査レポートが話題を呼んでいるようですね。
何しろ、HDDレコーダーの利用者のほとんどがCMスキップをしていることから「2005年のテレビCM市場の約2.6%、金額にして約540億円の価値が失われると試算した」そうで、すでに540億円の損失という部分が一人歩きし始めた感もあります。
さらに野村総研は、つづいて「デジタル機器と家庭内LANの普及がコンテンツ流通産業の業態を変える」というレポートを立て続けに発表する力の入れようで、何かのキャンペーンが始まったかのような印象もあります。
ただ、個人的には、はたしてCNETの記事のタイトルにあるような、テレビCMの価値が「奈落の底」に下がってくるのかという点については、どうも実感がありません。
もちろん、これだけネットの利用時間が増えてくれば、ネットの広告媒体に利用者が触れる機会も増えるわけですから、相対的にネット広告の価値が上がるのは分かります。
媒体としての接触時間が減っているラジオ広告市場がネット広告に抜かれたように、現在最強を誇っているテレビCMの割合が相対的に下がってくるという事態は当然あるでしょう。
自分も実際にHDDレコーダーを購入してから、録画した番組についてはほとんどCMをスキップするようになりました。
おそらくHDDレコーダーが更に普及すれば、スポットCMの効果が下がってくるのは間違いありません。
現在のスポットCMの料金水準がそれによって是正されるぐらいのことは今後起こってくると思います。
ただ、テレビ番組の視聴行動には、録画してまで見たいというものだけでなく、その放送にたまたまめぐり合ったから見た、というのも継続的に存続するはずです。
効率は悪くなったとはいうものの、広告代理店のかたがたは相変わらずテレビCMに対してかなり強気のようですし、ネット企業の中からもテレビCMは使い方によっては非常に効果が高いという声が聞かれます。
HDDレコーダーでCMを飛ばせるとはいえ、これまでもそういう視聴者はCM中にチャンネルザッピングを繰り返していたような気もしますし、消費者金融のように大量のスポットCMを投下し続ける企業がいる限り、それほどスポットCMの価値が下がってくるような感じもしないのは私だけでしょうか。
まぁ、こういう風に思ってしまう時点で、すでに感覚が古い時代の人間なのかもしれませんが・・・・
※ ちなみに、現在のスポットCMに依存しているマス広告手法が、さまざまな手法に分散するだろうという点については、個人的にも議論の余地は無いだろうと思ってます。
その点についてはAd Innovatorの織田さんが広告主協会のセミナーでプレゼンされた資料が非常に参考になります。(PDFへの直リンクはこちら)
テレビCMは広告手法の王道の座を奪われることになるのか?
テレビCMの価値が奈落の底–ネットとHDDレコーダーで加速 – CNET Japanを読んで。 先週野村総研が公表した「企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ」という調査レポートが話題を呼んでいるようですね。 何しろ、HDDレコーダーの…