ヤフーとマイクロソフト、IMの相互乗り入れ計画を発表 – CNET Japanを読んで。
今振り返っても、先週は実に話題の多い週でしたね。
日本のメディアは楽天・TBS問題一色でしたが、通信事業の分野でもKDDIとパワードコムの合併が発表されたり、ソフトバンクBBがADSL事業分離を発表するなどもりだくさん。自分のブログの速度ではとても追いつきません。
中でも個人的にインパクトがあったのが、上記のヤフーとマイクロソフトのIMの相互乗り入れの話題です。
何と言っても、ヤフーとマイクロソフトの提供するメッセンジャーサービスは、米国の利用者こそAOLメッセンジャーに次ぐ2番手、3番手のサービスですが、利用者数は既に二つあわせれば5000万近く。
さらにグローバルで見れば、MSNとYahooが1位と2位。合わせれば3億近くの登録者数があり、当然日本においてもMSNとYahooメッセンジャーでかなりのシェアがあることが想像されます。
おまけに、もし、ここ最近噂されているAOLの買収合戦に、マイクロソフトが勝つようなことになると、間違いなくこの相互乗り入れにAOLメッセンジャーが入ることになるわけです。
この相互乗り入れのインパクトが示すことはCNETで森さんが分かりやすくまとめていますから、是非そちらを見ていただければと思いますが、やはり気になるのは何故「自らの事業領域の数少ない課金可能なサービスの機会をも破壊させてしまうというポイズンピル的な選択」をこの段階で取ってきたのかという点でしょう。
利幅の少ない相互接続料に過ぎないとはいえ、音声通話というのは、利用者が従量課金を許容するネット上では残り少ない収益機会。
今回の相互乗り入れが、躍進するSkypeに対してのものなのか、不気味に準備を進めるGoogle Talkに対してのものなのか、どちらを意識した防衛策なのか分かりませんが、防衛のためだけなのであれば相当念を入れた防衛策といえるでしょう。
ここで、気になるのはこの手のソフトフォンの集合体が、果たして既存の電話サービスにどれぐらい影響を与えるのかと言う点です。
電子メールが普及したときに、郵便を中心に同じような議論がありましたが、今のところ郵便はそれほど強烈な影響を受けていません。
そういう意味では、既存の電話サービスについても同じような見方をすることもできるかもしれません。
ただ、個人的に気になるのは音声データは郵便と違ってデジタル化に非常に向いているという点。
Web2.0に関して非常にまとまった記事をCNETで江島さんが書かれていますが、その中でアメリカの高校生にとって「もうCDプレイヤーなんて家電製品カテゴリは絶滅したも同然なんだね?」というくだりがあります。
音楽も音声と同様デジタル化が非常に向いている分野ですから、既に彼らにとっては音楽はCDのような物質を購入するものではなく、デジタルで入手するのが当然になっているようです。(しかも無料でというおまけつきですが)
そう考えると電話のような音声コミュニケーションも、音楽におけるiPodのような端末のブレークスルーさえあれば、インターネットを通じてソフトフォンのようなもので無料で利用するのが当然になるというのは、案外近い未来かもしれないと思えてきます。
ちなみに、同じ記事で、IPフォンSkypeについて高校生が興味がなさそうな反応をするくだりも出てきますが、これも「米国のケータイは無料通話が500分ぐらいあるので、すでに電話というものは事実上定額で使い放題」という現実があるからだそうです。
(日本におけるSkypeの動向については、横田さんによる分かりやすい連載がHotwiredで始まっています)
そういう意味では、結局電話サービスが従量課金で儲かるものという前提は、既にそこら中で破綻し始めているということなのかもしれません。
結局、電話のような音声コミュニケーションも、森さんがいうような「ユーザーが大量に存在するもののカネを取れないという、ある意味で「困ったちゃん」的な存在」として、「最終的には検索のようなメタサービスのプラットフォームとしてビジネス的には機能するしかないのだろうか?」というのが落としどころということになってしまうような気がしてきます・・・
いや、この分野は本当に分からなくなってきました。