トロンレガシーに思う映像技術の進化と未来

 年明けにトロンレガシーを見に行ったのですが、なかなか気になる映画だったので感想をメモしておきたいと思います。
tron1.png
 ストーリーについては、是非皆さんに映画自体を見ていただくとして、個人的に非常に印象に残ったのはやはり何といっても映像技術の進化。
 映画を見に行くきっかけは、実は珍しく妻がこれは映画館で見たいと言ったからだったりするのですが。
 もちろん、AMNでモニター企画をしていて気になっていたのもありますし、なんといっても個人的にも、大昔に見て印象深い映画だったので、あの世界観を今の技術でどのように再現しているのか、というのが最大の関心事でした。
tron2.png
(まぁ、この映画のポスター写真だけでもその歴史の古さが伝わりますよね。)


 当然、昨今の3Dブームの中、この映画も当然3Dが売りの一つになっているのですが、個人的に意外だったのはそれほど3D自体を押し出していない印象だったこと。
 単純に私が見慣れただけかもしれませんが、一年前にみたアバターのようにこれでもかこれでもか、と3Dならではのシーンを繰り出してくるというよりは、トロンの世界観を表現するために当然3Dにしてるという印象。
 映画の中にあえて2Dを組み合わせている演出も憎いです。
 もしかしたらトロンの蛍光色の世界は、意外に3D感が出しづらいのかもしれませんが、アバターのように3Dの世界自体を楽しむと言うよりは、3Dでトロンの世界を違和感なく楽しめたという印象でした。
 東洋経済か何かで監督が、これからの映画は3D自体は特別なことではなく、3Dが向いている映画は当然3Dを最初から意識して作るようになるというような発言をしていたのを読んだのですが、実際に映画を見てみてなるほど納得です。
 で、個人的に実は一番印象に残ったのが、ついに役者の演技までCG技術でトライする時代になったのかという点。

 もちろん、コンピュータの中というトロンの世界だから、よく見ると若干ぎごちないCGの演技でもマッチするというのはあるんですが、ここまでハリウッド役者の演技をCGでやらせてしまうというのは、あまり記憶にありません。
(あえて言うならターミネーター4のシュワルツネッガーでしょうか。まぁあれもロボットだからできる技といえると思いますが。あとは制作会社の人のインタビューによるとベンジャミン・バトンでも類似のCG技術が活用されてるみたいですね。)
 確か90年代のバットマンの映画で、バットマンがビルから飛び降りるシーンをCGでえがいたものの、降りてから歩くところまでCGでやれるのに、そこは俳優からの反発か何かで役者の演技に切り替えた、というような逸話があったのが個人的にとても記憶に残っているのですが。
 もはやそういうレベルどころか、人間の表情という分野まで、いよいよCG技術がこようとしているんだなとしみじみと感じてしまいました。
 スクウェアの経営を傾かせる原因になったと言われたフルCGのファイナルファンタジー映画版のようなフルCGも、今こそ再度チャレンジするタイミングのような気がしてしまったりするのは私だけでしょうか?
 とにかくトロンレガシーは、DVDで家で見るより映画館で見るべき映画の典型だと思いますので、新しい映像技術とかCG技術に目がない私のような方は、是非映画館でどうぞ。