P2Pという言葉を目にしたことがあるでしょうか?
一時話題になったナップスターとか、音楽の MP3 ファイル共有という視点なら知っている人も多いかもしれませんね。でも、実は P2P とは、音楽ファイル共有だけを表す言葉ではありません。
今回は、まず P2P とは何かということから、もう一度考えたいと思います。
P2P とはピア ツー ピア(peer to peer)の略語です。ピア(peer)とは「同僚」という意味を持つ言葉で、ピア ツー ピアとは一般的に対等な同僚であるパソコンとパソコンが通信をすることを表します。
「パソコンとパソコンが通信? 当たり前じゃないの?」
そう、普通に考えたら当たり前の話が、実は最近になってやっと本格的にできるようになったというのが、コンピュータの世界の現実なのです。
実は現在のコンピュータの世界は、サーバーに支配されています。メールをするのもインターネットを見るのも、パソコンはそれぞれのメール「サーバー」や Web「サーバー」に頼ります。パソコンはサーバーがないと何もできないのです。
電子メールを例に考えてみましょう。
電子メールはあなたのパソコンに直接届いているようにも見えます。でも、実は相手が送ったメールは、一度会社やプロバイダのメールサーバーを経由してあなたに届いているのです。つまり、メールサーバーはマンションの郵便ポストのようなものです。
メールはポストに届き、あなたのパソコンはそのポストを定期的に調べているだけなのです。そのため、ポストであるメールサーバーがないと、誰もあなたにメールを送ることができなくなります。
もっと簡単に例えてみましょう。パソコンを子供だと思ってください。
親であるサーバーがないと何もできない子供です。他のパソコンに手紙を出すのも、グループウェアのように情報共有するのも、インターネットで情報を検索するのも。子供であるパソコンはサーバーがいないと何もできません。
でも、ここ数年のパソコンの急速な進化で、子供だったパソコンたちは、昔のサーバーよりはるかに高度な能力を持つようになっています。 CPU は超高速、ハードディスクも数十ギガバイト単位。ネットワークもブロードバンドで、サーバーと同じように常時接続させることが可能になりました。
パソコンはついに大人になり、親であったサーバーと同じ能力を持つようになったのです。
では、現在のパソコンたちは、まだサーバーに何もかも頼らないといけないのでしょうか?今のパソコンは、もっといろんなことができるのではないでしょうか?
そこで改めて注目されているのが、P2Pという技術なのです。
次回は、そのP2P技術がどのような革新をビジネスの世界にもたらすのか、具体的な事例をご紹介します。