P2P の誤解:IPv6 が P2P にもたらす世界(2)

(前回コラムからの続き)


■グローバルアドレスとローカルアドレス

IPv4 から IPv6 への進化と、携帯電話の桁数が増えることとの違い。それは、桁数が増える前の状況にあります。

携帯電話の番号の桁数を増やすことになった時には、携帯電話の番号はその時点では足りていました。ですから、番号桁数が増える前と増えた後では、基本的に携帯電話の利用方法は変わりません。押す番号が一つ増えただけです。(とはいっても相当混乱がありましたが)

ところが、IPv6 になる前の現在のインターネットの世界は、アドレスが足りないことを前提に構築されています。パソコン1台1台にアドレスを振ることができないことを前提に、無理矢理足りるようにしていると言ったほうが正しいでしょうか。

技術に詳しい方であれば、グローバルアドレス、ローカルアドレス、といえば良くご存知でしょう。グローバルアドレスとは、プロバイダなどから割り当てられた、インターネット上で利用できるアドレスのことで、ローカルアドレスとは、社内 LAN など組織内だけで利用できるプライベートなアドレスのことです。

現在のインターネットの世界では、すでにグローバルアドレスの数が足りないことを前提にした仕組みになっているため、皆さんが利用しているパソコンには、通常グローバルアドレスは固定で振られていません。

携帯電話の場合と大きく異なるのはここです。現在のインターネットの世界は、すでにアドレスが足りないことを前提にしているため、そもそもが制限つきの世界にいるわけです。

■直接相手を見つけられない IPv4 の世界

先ほど触れたように、グローバルアドレスは通常、企業やプロバイダのような単位だけが保有しており、使いまわす形になります。

一般的には皆さんのパソコンには、会社のシステムやプロバイダから、ローカルアドレスと呼ばれる個別のアドレスが振り分けられています。

ローカルアドレスとは、例えて言えば電話の内線番号や、学校の座席番号のようなものです。つまり、ビルの番地であるグローバルアドレスを企業やプロバイダは持っていますが、その中の社員については、その会社でしか通用しない座席番号であるローカルアドレスしか、振り分けられていないのです。

郵便配達の世界でイメージしてみてください。

誰かがあなたに郵便を出すと、郵便局員は番地をたどって、ビルまで郵便を持ってくることはできます。しかし、あなたがどこに座っているかは分かりませんから、あなたの座席まで配達することはできません。

その先は、ビルの配達局や総務部、あなたの部署の担当者などの手を通って、ようやくあなたの席に届くことになります。

つまり、現在の IPv4 のインターネットの世界はこの郵便の世界と同じなどです。

あなたがパソコンを通じて誰かと連絡を取りたいと思っても、あなたのパソコンは、直接相手のパソコンを見つけることができません。携帯電話のようには、直接相手かけることができないわけです。

この状況が、 IPv6 のアドレス体系になれば変わることになります。

 (次回のコラムに続く)