P2P の誤解:IPv6 が P2P にもたらす世界

7回に渡って P2P の誤解シリーズを連載してきましたが、いかがでしたでしょうか


一般的に言われている不正ファイル交換ソフトの問題点と、技術的な P2P の可能性の違いについて、少しでも皆さん整理のお手伝いができたのであればうれしいです。(理解できなかった方は、ぜひご意見やご要望を著者アドレス宛にお送りください。今後の参考にいたします)

さて、今回は P2P の誤解シリーズの最後として、 IPv6 の話に触れたいと思います。

実はアリエル・ネットワークでも IPv6 協議会に参加しており、 P2P 型グループウェアであるアリエル・エアワンも IPv6 対応版を発売しています。 

過去 IPv6 協議会のブースの一角に出展していた際に良く聞かれた質問が、「P2P と IPv6 って何か関係あるの?」というものでした。

今回は、この質問について考えてみたいと思います。

■IPv6 について

まず、IPv6 という言葉をご存知ない方に、簡単に説明します。

IPv6 は、正確には internet protocol version 6 となります。簡単に言うと、インターネットのアドレス体系の第6版ということです。

現在我々が通常使っているインターネットは IPv4、つまり第4版の世界です。

IPv4 は 32bit というアドレス方式だったのですが、インターネットの爆発的な普及によりアドレスの不足が明らかになり、 IPv6 では 128bit に拡大され、大幅にアドレスの数が増えることになります。

IPv4 のアドレスの表記は下記のようなものです。

192.168.255.255

一方、Ipv6 のアドレスの表記は下記のようになります。

3afe:0200:0000:010a:3afe:0000:3afe:0001

■IPv6 は番号の桁が増えるだけ?

32bit から 128bit と言うと、単純に数が4倍になるだけのように思われるかもしれませんが、 bit で4倍になるということは、現在のアドレス体系が2の32乗であるのに対して、 2の128乗になるということを示しています。

2の128乗を我々の理解できる数字の単位で表すと「340億の100兆倍の100兆倍」という、なんだか分かったような分からないような数字になるそうです。

まぁ、要は天文学的な数の機器に固有のアドレスを割り当てられることができるようになり、アドレス不足とは無縁の世界が IPv6 になるとやってくるといえます。

なんだか桁数が途方もないので、イメージしづらいかもしれませんが、桁の話だけに限るのであれば、その昔携帯電話の番号の桁数が足りなくなって一桁増やすことになったのと、根本的には同じ話です。

要するに、桁が足りなくなるのにあわせて増やしたという話なので、桁数が増えるだけで、インターネット自体の使い勝手はこれまでと何も変わらないだろう、と思われる方も多いようです。

しかし、この IPv4 から IPv6 への進化は、携帯電話の桁数を増やしたときとは、大きく異なる点があるのです。

(次回コラムに続く)