2004/10/20にjapan.internet.comに掲載されたコラムです。
前回のコラムで紹介した Mercora は米国のサービスですが、実は日本でもコミュニティと音楽配信を組み合わせたサービスが始まろうとしています。
それが今回紹介する recommuni(レコミュニ)です。
このレコミュニにおける P2P はあくまでコンセプトであり、 Mercora のように P2P 技術を活用しているわけではありません。ただ、音楽の趣味を軸にしたコミュニティを形成するという点で、 Mercora とレコミュニが目指している姿は、実によく似ています。
しかし、その目指しているモデルやコンセプトには大きな違いがあり、それぞれの国にあわせたまったく異なるビジネスモデルになっているようです。
■レコミュニの概要
レコミュニは、 2004年8月に設立された株式会社レコミュニから「参加型音楽配信コミュニティ」として発表されました。
現在、 WinMX や Winny のように手軽にコンテンツをコピー配信できるソフトが普及してしまい、大きな問題になっていますが、これだけ違法と認識されている手段が未だに利用者を集めているにも関わらず、既存の有料音楽配信ビジネスはあまり利用者を獲得できていません。
その原因のひとつにあげられるのが、 DRM によるコンテンツ保護が利用者の利便性を損なってしまっているという点です。
実際、せっかくオンラインで購入した音楽コンテンツも、手軽に携帯端末にコピーして持ち歩けないようでは、価値が半減してしまいます(iTunes の成功要因のひとつとしても、よく iPodとの連携性の高さがあげられます)。
この課題に、レコミュニは非常に積極的な方法で解決策を提示しています。
それが DRM 技術に依存するのではなく、人の紹介というソーシャルネットワーキングサービス的な仕組みによって、著作権を維持しようという仕組みなのです。
■レコミュニの特徴
レコミュニの基本コンセプトは、匿名性のない実社会での口コミの仕組みをオンライン上に再現することにある、ということができるかもしれません。その仕組みを支えるのが3つの特徴です。
1.招待制を活用することで「著作権を守るメンバー」が集まる仕組みに
まず最も特徴的なのは、最近注目されてきているソーシャルネットワーキングの仕組みを活用している点です。
レコミュニを利用するためには、すでに利用しているメンバーから「招待」を受けなければいけません。審査があるわけではなく、招待さえ受ければメンバーになれるので、それほど敷居が高いわけではありませんが、この誰が誰を紹介したという履歴が重要です。
メンバーが不正を働いたことが分かった場合、該当メンバーだけでなく招待したメンバーも責任を問われるリスクがあるため、自然とメンバーがルールを守るというのが基本コンセプトとなっています。
2.メンバーが音楽を掲載し、レコミュニが音楽著作権料の収集を実施
前回紹介した Mercora と大きく異なるのがこの点で、レコミュニはあくまで有料での音楽配信を前提としています。
メンバーが掲載した音楽ファイルはレコミュニが著作権処理をした後に、コミュニティに掲載されます。
他のメンバーの掲載した音楽を利用する際には、メンバーは1曲100円程度の料金を支払って音楽をダウンロードすることになります。
3.ポイント付加によりコンテンツ掲載を促進
レコミュニにおいては、通常の音楽配信ビジネスのように配信事業者がコンテンツをすべてそろえるわけではなく、メンバーが掲載する点が特徴的です。
レコミュニでは利用者に音楽掲載を積極的に実施してもらうために、メンバーが掲載した音楽を他のメンバーが購入すると、その量に応じてポイントがメンバーに還元される、というアフィリエイト的なポイントシステムを導入するようです。
(次回のコラムへ続く)