CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:Jobsの復帰とiPod決算、そしてWozniakを読んで。
iPodがすさまじい勢いですね。
200万台以上のiPodをたった3ヶ月で売ったそうです。
もはやHDDウォークマン=iPodという状態で、遅ればせながらソニーが出したHDDウォークマンなどは、ソニーの展示場で「あのiPodのソニー版ありますか」と聞かれる始末だそうで。
なんともウォークマンの生みの親としては悲しい状況ですね。
そういう意味でも私がうなずいてしまったのが、梅田さんが書いている中断の部分。
自分のメモもかねてまとめて引用します。
「ひとつのハードウェア商品カテゴリーを創出して数千億円規模のビジネスを作りたい、あわよくば創出したカテゴリーで寡占的地位を占めたい」というのは、日本の大手総合電機、エレクトロニクス・メーカー各社が切望してやまないことである。しかし、AppleがiPodを始めたときに、果たして誰がそんな大規模なハードウェア事業の誕生を予期したであろうか。大型既存カテゴリーの新商品ではなく、新しいカテゴリーを創出しようとする場合、どんなものでも始まりは小さい事業なのだ。このシンプルな原則を忘れてはならないというのが、iPodから得るべき教訓だと思う。巨大化した日本の大手企業は、生まれようとしている小さい事業をバカにしすぎる。「えっ、売り上げ50億円? 年ですか? 月じゃないの? そんな小さい事業はうちではできないねぇ、もっと大きな話をもってこい」なんて思っている幹部が多いから、新しいカテゴリーの創出がなかなかできないのである。
実は先日梅田さんとまったく別件でメールのやり取りをしたときに、「音楽配信でソニーがAppleに負けてるのがどうも納得いかない」という私の勝手な愚痴を書いていて、梅田さんも賛同してくれていました。
この部分が、端的にその問題の根を示しているように思います。
これがイノベーションのジレンマというやつなのでしょうか。
「新しいカテゴリーを創出しようとする場合、どんなものでも始まりは小さい事業なのだ」
このシンプルな教訓をビジネスに反映するのは、そもそも難しい話なのだと思いますが、やはりその難しさは変化のスピードがあがるにつれて増している気がします。
おそらく日本のメーカーの腹積もりは「HDDウォークマンなんてまだしばらくブームが来ない。来たらそれから作っても儲かる」程度の感覚だったんではないでしょうか?
実際、松下電器がマネシタデンキと揶揄されていた時代、松下はそう揶揄されても成功したモデルでトップメーカーでした。
それが今は、ブームが来たときにはもう手遅れということになる可能性がすごい強い気がします。
ソニーも最初は小さな企業だったのですが、やはり今の人たちに当時を思い出せといっても無理な話でしょうし。
やっぱり日本人としては日本企業の反撃を期待したいですが・・・
ただ、「ネタフルのiPodがこれほど売れると誰が予想しただろう」で「ビジョナリストという言葉を体現する希有な存在が、Jobsである」とかかれているように、ある意味クレイジーな経営者がいないとこういったイノベーションは起こせないようにも思ってしまう今日この頃です。