アマチュア革命がもたらす世界 を読んで

CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:アマチュア革命がもたらす世界を読んで。

 結構前の記事になってしまうが、非常に考えさせられる内容だったので取り上げてみたい。


 梅田さんはこう書いている。

「つまり、20世紀にプロが台頭してアマチュアを蹴散らしていった根拠は、何がしかの権威によるお墨付き(certificates)であったが、これからはそうではない時代に入る、ということが事の本質なのだと思う。」
 
 梅田さんがここで書いているプロのお墨付きである「大学を出る。資格を取る。認可を得る。などの権威が認めた証書」が権威を失うという現象は、そこら中で見ることができる。

 一番端的な例でいえば、学歴だろう。
 有名大学を出て一流企業に就職すれば、終身雇用で一生安泰という時代は終わりつつある。
 もちろん教育が不要だという話ではないが、受験戦争にさえ勝ち抜けば一生安泰という人生は、もうごく一部の組織でしか残っていない。

 資格業にも同様の変化がおきているらしい。
 先日前職の経理部の人間と話をしたら、会計処理にもITの波がやってきていて、多くの公認会計士が職を失う時代が来るのも時間の問題ではないかという話になった。
 もちろん規制の問題があるので完全に仕事が消え去るという話ではないが、資格を取って事務所を開けば家の近くのビジネスが取れるという時代はもう終わっている。

 医者のようなプロではなければできない仕事も、一般人が医学の知識をつけてきたことにより急速に権威を失いつつある(とはいえ、病気になったら頼らざるを得ないのだが)

 この変化を引き起こしているのは、変化時代のスピードが早いこと、手軽に幅広い情報が入るようになったこと、ネットが距離を埋めてしまうこと、など様々な要因があるのだろう。

 
 まぁ、でも冷静に考えればこれまでの「ある若い一時期に徹底的に競争して、ある種のCertificates、つまりは既得権を獲得してプロになる」という仕組み自体がある意味不思議なシステムだったのかもしれない。
 既得権によって「生涯の競争優位」を簡単に手に入れることができたわけだから。

 結局「プロ」であるためには一生プロとして努力しつづけなければならず、そうしなければ真の意味でのプロとは呼べないというのが真実なような気もする。
 

 そうしみじみと考えさせられたのが先日メジャーで大記録を達成したイチローの
言葉だ。
 テレビで見ただけなのではっきり覚えていないが、イチローが地元の野球少年立ちを前にこのような発言をしていた。

「日々、自分が正しいと思ったことを信じて努力してください。
 そして、人生で大きな選択をしなければならなくなったときに、自分で選択できる大人になってください。」

 やはり、プロの言葉は違うなぁと感動してしまった。

(ちなみに、最近の発言は「滑走路」の「偉業」というエントリにまとめられていました。あらためて読むとこちらも凄いなぁと言う感じなのでリンクしておきます。)