CNET Japan Blog – 渡辺聡・情報化社会の航海図:Googleとの競争をどう生き残れば良いのかを読んで。
先週のGoogle Analyticsの発表が、各所で話題を呼んでいますね。
まぁデータ収集が遅かったり、金を払っていた顧客にトラブル発生なんていう事態もありつつも、「これがまともに動いたらほかの事業者はキツイね」というのが一般的な評価のようです。
まぁ、Googleがアクセス解析企業のUrchinを買収していたことや、これまでPicasaやKeyholeを買収したときにも同様に無料サービス展開をしたことや、今後直面するであろうMicrosoftやYahooとの広告主や広告媒体の争奪戦を考えると囲い込みやデータ収集を強化しなければならないだろうということなどを考えると、当然いつかやってくるだろうと予想されていたことではあったんですが、流石に本当に実施されるとインパクトは大きいですね。
個人的には、いまだに旅行明けの話題遅れ状態を挽回できていないのですが、GoogleとMicrosoftの比較論や競合についての議論を横目で眺めながらも「Googleはインターネットに何をもたらしたのだろう」という疑問が頭から離れません。
Google Analyticsの登場によってアクセス解析サービス市場が受ける影響については、渡辺さんの記事で詳細に分析されていますから、そちらを見てもらえればと思いますが、個人的にもやはり大きな影響は避けられないと思っています。
もちろん、真に高機能な有料サービスは生き残れると思いますし、Google Analyticsの登場によってアクセス解析の利用者の裾野が広がり市場も広がるかもしれないという話もありますが、現在のGoogle Analyticsの機能を見ていると全体的にサービスが無料に向かうのは不可避のように思えます。
そう考えると、アクセス解析サービス提供企業からすれば、Googleはようやく広がり始めていた市場をあっさりと破壊しに来た破壊神に見えるはずです。
もちろん、これはMicrosoftもかつて自分のライバル企業に散々仕掛けてきたことですし、今に始まったことでは無いのですが。
そういうビジネス寄りの視点でGoogleを見ると、はたしてGoogleが産業として何を新たに生み出したのかといわれると良く分からなくなります。
Googleが収益として得ているお金は、いわゆる「広告費」です。
検索のキーワード広告や、Adsenseのようなコンテンツマッチなど、従来のマス広告とは全く違う次元での広告ビジネスにより、これまであまり広告を使わなかったロングテールなニーズをカバーしたことは確かに大変意味があったとは思いますが、あえて強引にまとめてしまえば結局他のメディアの広告費や営業マンのコストをシフトしているだけ。
利用者はGoogleのサービスに1円も支払っていないわけですから、Googleが何か新たな市場や産業を生み出したのかと言われると、悩ましい感じがします。
そういう意味では、MicrosoftはなんだかんだいってWindowsを中心としてPC産業を次のステージに導く形で、OSやソフトウェア、その周辺のハードウェアなど多くの事業者を潤わせましたから、産業の創造に関してはかなり貢献しているはずです。
(もちろん、その結果、利用者にとっては利益を独り占めする「悪の帝国」としてのイメージが定着してしまったのかもしれませんが)
それに対して最近のGoogleは、アクセス解析サービスや、写真管理ソフトなどの小さい市場だけでなく、Google Office(噂ですが)や、WiFi無料サービスなど、広告収入を収益源とすることで周辺の事業をすべて無料で提供する形で、結果的にそれらの市場を破壊し続けていくように見えます。
逆に突き詰めて、所詮インターネットは新しいメディアやチャネルでしかないのだと考えてしまえば、実はネット上の多くのサービスは虚業かもしれないとも考えることができますから、そういう意味ではGoogleはそれらのサービスを正しい姿にしているだけなのかもしれませんが。
なんにしても、この文脈ではGoogleは市場破壊しかしていないように見えてきてしまいます。
はたしてGoogleは、インターネットに創造をもたらしているのでしょうか、破壊をもたらしているのでしょうか。
もちろん、Googleが生み出したものは確実にあります。
これまでインターネットを使ってもほとんど収入を得ることのできなかった個人は、Adsenseによってある程度確実に収入を得ることができる手段を手にしました。
Googleが生み出したロングテールの中では、検索広告やSEOを適切に活用して収益を上げる個人事業主や中小企業が次々に生まれてきています。
そうやって考えると、Googleがやっていることは、創造や破壊というよりも、どちらかというと富の再配分に近いのかもしれないなーという気もしてきます。
悪徳代官や越後屋から小判を盗んで、庶民に配分するねずみ小僧のような・・・
だからGoogleは人気があるのかも・・・違うかな・・・
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