書籍「ポスト3.11のマーケティング」に、コラムを提供させて頂きました。

4023309605 ちょっとタイミングが遅くなってしまいましたが、先日出版された書籍「ポスト3.11のマーケティング」に、コラムを提供させて頂きましたのでご紹介です。
 「ポスト3.11のマーケティング」は、タイトル通り、3.11の大震災によってマーケティングがどのように変わる可能性があるのか、という点について、私も参加させて頂いているデジタルコンサルティングパートナーズの面々が考察した書籍です。
 各章は下記のようになっています。
 
 ■脱「自粛」による日本の再構築      岸本 義之
 ■震災後のメディアとマーケティング    横山 隆治
 ■逆境に打ち勝つマーケティングイノベーション 田中 義啓
 ■東日本大震災で明らかになったソーシャルメディアの限界と可能性  徳力 基彦
 ■ネットの言葉は人をむすぶか ツイッターが紡ぐポスト震災のマーケティング  厚川 欣也
 ■Do the Right Thing 商品選択は「正しい」に向かう  平塚 元明
 ■making is connecting 震災後に立ち上がった「メディア」たち  高広 伯彦
 ■変わるマーケティングの換わらぬ使命  山本 直人
 私も、日経ビジネスに書かせて頂いたソーシャルメディアの限界と可能性についてのコラムを書籍用に編集して掲載させて頂きました。
 
 それぞれのパートナーの方が、それぞれの視点から考察をされていますので、何かしらきっかけになる言葉が見つかるのでは無いかと思います。
 なお、この書籍の印税はすべて被災地に寄付させて頂いております。 
 何度もブログでも書いていることですが、今回の震災の犠牲は今からでは取り返すことはできませんが、せめて今回の震災がこれからの新しい日本がはじまるきっかけになったと振り返れるよう、自分も微力ながらやれることを考え、行動していきたいと思います。
【読書メモ】
■今回の震災がもたらした5つの被害
・地震
・津波
・原発事故
・計画停電
・自粛がもたらす経済活動の停滞
■広告自粛現象の原因
・今再開しても売上に全くつながらないという業種・商品における停止判断
・広告内容の一部に、被災者の気持ちに沿わない表現が含まれているので当面見合わせたいというもの
・こんな時期にお前のような会社が広告をすることがけしからんというクレームを受けかねない業種が自粛をしたということ
・強引に割り込んで、一方的にメッセージを叫ぶというスタイルの広告が、一般消費者の反感を買いそうなため


■自主的消費税
 消費者が震災復興マークのついた商品を買い、そのマークを協賛メーカに送る
■マーケティングコミュニケーション最適化の3つの要素
・過不足なく
・効果と効率の両立
・最も適切な対象者に適切なタイミングで
■ソーシャルメディアの3つの要素の段階別評価の指標
・レレバンシー(関係性)の3つのレベル
 ・認識 
 ・関係認知
 ・行動意向
・エンゲージメントの3つのレベル
 ・関与
 ・参加
 ・貢献
・レピュテーションの3つのレベル
 ・発言
 ・推奨
 ・伝導
■311は実は911(米国同時多発テロ)に加えて915(リーマンショック)をあわせたインパクトがあるのではないか
 震災・津波に対する意識は911に近く、原発事故に対する生活者の意識や態度はリーマンショックと非常によく似ている。
■自粛の三大因子
・服喪 時間が解決
・防衛本能 危機が去れば解決
・アンチ過剰消費 外的要因では解決不可能
■マスメディアの広告やネットのディスプレイ広告は、生活者を「カンバセーション」に導く手段であり、メインストリームではなく補完メディアとして位置づけられるべきである
■いわゆる「Peer to Peer」が復興から再発展へのキーワードになるのではないか
 個人と個人、企業と個人が直接的な関係で結ばれる世界が進行しダイレクトな情報発信力が強まれば、仲介業者的な存在は薄くなっていきます。
(ソニー銀行石井社長)
■Triumph of Humanity(ツイッター社ビズ・ストーン)
 ツイッターの今日の世界的な普及の要因は、その技術的な優位性にあるのではなく、人間性の勝利なのだ
■ソーシャルメディア時代への提言
・自らが関わるソーシャルメディア上のコミュニケーションを今よりもさらに円滑で有意義なものに進化させるための努力を継続的に行う。
・ソーシャルメディア上を流通する情報に常に目を配る。
・情報を発信する場合は、自分がメディアであるという責任と誇りを持って行う。
・規模の大小を問わず、自らと他者のメディアとの対等で良好な関係性を構築するように努める
■ソーシャルメディアの特徴
・情報がシェアされていく駆動因が、主に人々の善意にある
・その情報がマスメディアで取り扱われていないものであるほど、伝えなきゃ、という気持ちが強まる
・そうしてシェアが広がった情報をマスメディアが注目し、選択して取り上げる
■メディアとは必ずしも情報技術を指すものではない
 1990年代半ばに普及していたディスプレイ表示型のポケベルは、ビジネスパーソンにとっては「会社からの呼び出しツール」であったが、女子高生たちにとっては「友人間のコミュニケーションツール」であった。
 同じ情報技術であったとしても片方には「束縛のメディア」であり、もう片方には「解放のメディア」であったのだ。
■今年の講義において考えること
・まず今までのマーケティングのセオリーやスキルはそのままでは通用しない
・その一方で世界の歩みは変わらない
・日本の変化が今後の世界をリードする可能性
■震災がもたらした消費へのインパクト
・複合的被災による供給制約 → 需給関係の変化が消費者を変える
・リアリティの崩壊と価値観の変化 → ブランド価値の組み替えが起きる
・情報への懐疑と将来への危機感 → コミュニティの再編成が起きる

4023309605 ポスト3.11のマーケティング 企業は、消費者は、どう変わるか?
横山隆治、山本直人ほか デジタル・コンサルティング・パートナーズ
朝日新聞出版 2011-07-07

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