ソーシャルメディアのコミュニケーションやエンゲージメントの価値を証明しないと、大企業では仕事として認められないのでは?

 お陰様で、ソーシャルメディアサミット2012は400人以上の申し込みを頂き、応募を締め切らせて頂きましたが、参加される方向けに当日の三つ目のセッションのテーマの背景とパネリストの方々をご紹介したいと思います。
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 三つ目のセッションのテーマは「コミュニケーションやエンゲージメント価値の測り方」。
 二つ目のセッションでいわゆる広告的な効果測定について議論しますが、実際にはソーシャルメディアの活用というのは短期的には広告的な効果が出にくいのが現実です。
 そういう意味で、良く言われるのが「ソーシャルメディアで重要なのはエンゲージメント」や「ソーシャルメディアはコミュニケーションだから短期ではなく中長期を見据えて使うべき」というような理想論です。
 ただ、そうはいっても企業活動ですから、売上貢献が見えづらいとはいえ、意味の無い活動に労力をかけるわけにいきません。
 コミュニケーションやエンゲージメントにどのような価値があるかというのを経営陣に説明できなければ、ソーシャルメディア上のコミュニケーションを継続するのは当然難しいでしょう。
 そこで、そういったソーシャルメディアのコミュニケーションやエンゲージメント価値をどのように計り、どのように上司や経営者に説明し、理解してもらうべきか、というのがこのセッションのテーマです。
 このセッションのパネリストをお願いしたのはこちらの方々
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 まず花王の板橋さんは、花王のコミュニティサイトである「GO☆GOピカピカママ」の立ち上げと運営を担当された方です。
 個人的には花王のピカママコミュニティは、製品やサービスの宣伝では無く、利用者のニーズ側のコミュニティを立ち上げたという意味で、日本のソーシャルメディア的な企業コミュニティの初期の成功事例の一つだと思っています。
花王が展開する「はじめてママのくらし応援コミュニティ」顧客とのキズナづくりとは?
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 ヘルシアウォーターのキャンペーンでお仕事をご一緒させて頂いた時にも、ヘルシアウォーターのツイッターアカウントでは、製品の宣伝を行わないという明確なポリシーをお持ちになっていて、非常に驚いた記憶があります。
 ただ、当然そこまでのスタンスを確立するには、いろんな紆余曲折があったと思いますし、どうやってそういったコミュニケーション重視の価値観を社内で理解してもらうことができているのかという点については、参加者の皆さんの参考になる点が多々あるのではないかと思っています。
 次にANAの高柳さんは、昨年のソーシャルメディアサミットにもご登壇頂いた方ですので、ご存じの方も多いと思います。
 当時はまだFacebookページを初めて1ヶ月程度でした。それが、現在ではファン数も50万人に届こうかという日本のFacebookページの代表的な成功事例の1社になっています。
飛び全日空:フェイスブックでPR 成功パターン求め研究の日々 ANA WEB販売部 高柳直明さん
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 昨年、パネリストでご一緒させて頂いた時に、「Facebookページは利用者とのコミュニケーションの目的に開設したため、それほど細かい効果測定は行っていない」と発言されていたのが非常に印象に残っていて、「ソーシャルメディアの効果測定をどう考えるかは、ソーシャルメディアの位置づけ次第で全く変わってしまうと言う話。」という記事を書いたのもあり、今回二年連続になりますが再度パネリストをお願いしました。
 高柳さん自身はWEB販売部でFacebookだけでなく、ウェブサイトの管理からチケット販売まで様々な領域を見ておられるので、おそらくFacebookページはポートフォリオの一つとして見られているんだろうと想像してますが、どのようにソーシャルメディアの活動を定義し、計測し、リソースを配分しているのかぜひ聞いてみたいところです。
 三人目のパネリストとなるデルの千歳さんは、デルのソーシャルメディアマーケティングをクロスファンクションでのチームをリードしている方です。
 個人的にも過去に何度もパネリストでご一緒しているのですが、売上にもコミットしつつ自らソーシャルメディア上のコミュニケーションも担当するという、希有なマネージャーといえます。
完璧に使おうと構えることはない—公式Twitter担当の3氏がパネル討論
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 以前、パネルディスカッションでご一緒した際にも、ツイッターは顧客の問い合わせにレスポンスするために使っていると、位置づけを明確にされていましたが、デルと言えばグローバルには「ソーシャルメディア・リスニング・コマンドセンター」を設立するなど、ソーシャルメディア上のコミュニケーションに全社的にコミットし始めている企業のシンボル的存在といえるでしょう。
 ソーシャルメディアサミット当日は、そのあたりの米国事情と日本の現状のギャップなどについても可能な限り教えて頂ければと勝手に期待しています。
 ある意味では、2番目の広告的効果測定のセッションと、こちらのコミュニケーションの価値のセッションは、目標としては対極にありつつも、最終的には企業の売上向上のための活動ということで、同じことを目指している活動を議論するセッションであるともいえます。
 ただ、ほとんどの企業ではまだまだソーシャルメディア活用が売上に直結しているという証明は難しいのが現状ですから、ソーシャルメディアのコミュニケーションやエンゲージメントの価値をいかに可視化するかが非常に重要だと考えています。
 実際問題としては、短期の売上向上を期待してソーシャルメディア活用を開始した企業では、売上に貢献しないことが見えると、ソーシャルメディア活用をやめることが検討されやすい状況に陥ります。
 そういう意味では、そういった企業の担当者にとって、このセッションはいろんなヒントを生んでくれる可能性があるのではないかと思っています。
 なお、ソーシャルメディアサミット2012のチケットの申し込みは締め切らせて頂きましたが、遠方の方や、申し込みしそびれた方向けに、有料でのUstream配信を検討中です。ご興味のある方はソーシャルメディアサミット2012の事前ご連絡フォームにご登録下さい。