スタートアップのニュースサイトである「Startup Dating」に不定期で記事を投稿させて頂いています。
こちらのブログとStartup Datingに同じ記事をダブルポストする形になりますので、お好きな方でご覧下さい。
先日投稿したStartup Datingの記事はこちらです。
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もう2週間前の話になりますが、ジャカルタで開催されたStartup Asia Jakartaに参加してきました。ファーストインプレッションは「海外市場での成功には、ネットの世界でもきめ細かいローカライズが重要」という記事に書きましたが、2日間を追えての感想をまとめておきたいと思います。
まず率直な印象は「すごい盛り上がってるなぁ」の一言につきます。もちろん、日本も最近は様々なインキュベーターや、スタートアップ支援の仕組みができてスタートアップバブルの様相を呈している印象もあり、「なぜスゴそうな人も大ゴケするのか? テーマで間違うスタートアップ」なんて記事も話題になっていましたが、ジャカルタで感じた印象はそれよりももっと根源的な盛り上がり。
何しろインドネシアは現在インターネット利用者の伸び率が世界トップ3に入るほどの勢いらしく、その成長ぶりは東南アジアでも群を抜いています。おまけに何しろ人口も非常に多い国ですから、今後経済が発展すればネット人口やネット産業が発展するのは自明の理。シンプルにいわゆる「タイムマシン経営」の手法で、米国や日本では流行ってるけど、まだインドネシアで流行っていないサービスを今のうちに始めておけば、十分それが今後ブレイクする可能性があるわけです。まさに日本のビットバレー頃の雰囲気とかって、こんな感じだったのかなぁと思わせるイベントでした。
ただ、初期の米国のネットバブルは、まだ一部では盛り上がりつつも本当にインターネットが社会を変えるのか多くの人は半信半疑、という状況だったと思いますが、インドネシアにおけるそれは確実に来る未来は分かっているので、誰がそれをつかむのか、という少し趣の違う競争のように感じます。
当然、まだまだインターネットの利用率は20%以下と低かったり、ネットの回線速度が十分でなかったり、ペイメントの仕組みや配達の仕組みが確立していなかったりという環境としての遅れはありますから、それを前提に年表をまき直すというのも大事なんですが。
一方で、携帯のメッセージングツールとして異様なほどFacebookの利用率が高くなっていたり、iPhoneやAndroidではなくブラックベリーがスマホの主流だったりという、現在のインドネシアならではの環境はありますから、日本と同じ順番で各種サービスが流行るかと言ったらそんなことはないというのが面白いところではあります。
ただ、長い目で見れば、いつか米国や日本と同様に、各種のサービスが普及し十分に利益を上げるだろうというのは容易に想像できます。初期のAmazonが指摘されていたような「ネットでものを買う人なんかいない」なんて指摘は今更誰もしないわけで、ECサイトのセッションやペイメントシステムのセッションまで、壇上にいる競合の数社の中から確実に成功者が必ず出るんだろうな、という印象のスタートアップイベントでした。
イベントで登壇された、インドネシアで成功しているTOKOBAGUSというサイトに至っては、起業家の方はオランダかどこかの人らしいのですが、なんと7年前にバリに来てサービスを始めたと言うから凄いですし。その横で、インドネシアでNo1のECサイトを目指すと高らかに宣言したのは楽天インドネシア担当のテソンさん。
楽天さんは、インドネシアの環境に合わせて着払いのバイクデリバリー部隊を自ら組織したり、コンビニ受け取りを開始してみたりと、タイムマシン経営の時間を早回しするための取り組みに注力されているようでした。
以前TechCrunchに「もはや、日本でタイムマシン経営を成立させるのは無理か」なんて記事を投稿したことがありますが、実はインドネシアのようなネット後進国においては、まだまだ可能性のある手法だなと感じるわけです。
さらにStartup Asia Jakartaで興味深かったのは、日本企業の存在感。前述の楽天はもとより、イベントのスポンサーに多くの日本企業が名を連ねていましたし、当日の海外投資家が考えるインドネシア市場をテーマにしたセッションでは、海外投資家として登壇した4人のうち3人が日本人という、まるでここは日本か状態。
何でも米国の投資家はほとんどアジアというと中国とインドしか見ていないらしく、インドネシアは結構日本の投資家にとっては良い市場なんだそうです。日本のネット企業のインドネシア進出も多く始まっているそうですし、インドネシア人の対日感情はおおむね好意的。おまけにインドネシア人は温厚な人が多く日本人とも相性が良いため、実はインドネシアは日本のネット企業の進出先としてはかなり良い条件が揃っているんだそうです。
当然、世界を変えるような新しいサービスを生み出したいのであれば、まずは何も言わずにシリコンバレーを目指すというのは論理的な選択肢ではあるのですが。急成長する市場で自らのサービスを成功させたい、というモチベーションの起業家なのであれば、実は競争が超激しいシリコンバレーを目指すより、ジャカルタのような東南アジアをタイムマシン経営で目指してみるのも面白い選択肢なんじゃなかろうか、そんなことを強く感じてしまう2日間でした。
Startup Asia Jakartaの詳細については、Tech in Asiaのこちらの記事をどうぞ。