(前回のコラムからの続き)
■大量の利用者を P2P ネットワークで支える
海外産のソフトであるにもかかわらず、かなり早くから日本語ページが作成されており、日本でも徐々に話題を呼びつつあります。
Skype の Web サイトのトップにダウンロード件数が掲載されていますが、 4月に1,000万件を突破し、 5月19日現在ですでに1,200万件を超えています。
先日お会いしたあるコンサルタントの方は、米国の会社と仕事をすることになった際、「これからの連絡は Skype でやるからすぐに入れてくれ」と言われたそうで、一部の業界では実務に浸透しつつあることが伺えます。
このダウンロード件数になっても、いまだに無料で広告も入れずに運営していけるのは、 P2P 技術によるところが大きいと言われています。
具体的には、自社開発の P2P ネットワーク「FastTrack」の技術を改良して、サーバー不要でユーザーを検索できるグローバルユーザーディレクトリを構築することで、事業者側の運営コストを最低限に押さえているようです。(通常のクライアント/サーバー型のインターネット電話サービスでは、利用が増えるとどうしても中心のサーバーの負荷が上がるため、設備コストがかさむことになります)
日本ではヘッドセットの普及率も低く、職場でヘッドセットをつけるのに抵抗感がありますから、 PC 型のインターネット電話はなかなか普及が難しそうなイメージがありますが、電話の通話収入が収益基盤になっている電話会社からすると、このような無料サービスの台頭は非常に脅威でしょう。
■注目される収益モデル
現在最も注目されているのは、 Skype がこの無料のインターネット電話サービスでどのような収益モデルを構築するのか、と言う点です。
実はこの Skype、無料と言うのも当然で、現在はまだβ版という扱いです。
3月には1,900万ドル規模の資金調達に成功しましたが、現在の収入はヘッドセットの販売手数料程度で、サービス自体からは収入が入るモデルになっていません。
そのため、今後の収益モデルに関してさまざまな憶測がされています。
正式版発表後も、基本の通話機能に関しては無料のままにすると言われていますが、正式版にはいくつかの有料機能が入ることが想定されます。
例えば、留守番電話機能のような付加サービスが有料オプションとして提供される可能性が高い、と言われています。
また、Skype から一般電話への通話機能も現在は提供されていませんが、経営陣は最優先事項の一つと述べており、相互接続という形で有料提供されることは確実でしょう。
4月には PocketSkype という名称で、 PocketPC で動作する PDA 版も発表しており、コードレス電話機のメーカーと共同で、 Skype と従来の電話の両方を利用できる電話機を開発中との話もあります。
いずれにしても、利用者間の通話は完全無料という Skype のようなインターネット電話、これまでの電話サービスの仕組みを大きく変える可能性があるのは確かです。
誰でも手軽に試せますので、百聞一見にしかず、ぜひインストールして試してみてはいかがでしょうか。
Skype のWeb サイト(日本語です):http://www.skype.com/home.ja.html