(前回のコラムの続き)
■P2P 技術とオンラインストレージの組み合わせ
フレッツ・ドットネットが特徴的なのは、 P2P 技術とオンラインストレージを組み合わせている点です。
P2P というとまったくサーバーが中心にない、いわゆるピュア型 P2P をイメージされるかもしれません。
たしかにサーバーにまったく依存しない仕組みは、コストを大幅に低減できるという意味ではメリットがあります。
ただ、一般的な PC の世界では、 PC の電源を落としている時間のほうが長いというのが普通です。そうすると、コミュニケーションを取るためには、相手が必ず起動していなければいけない、というサービスでは使いものになりません。
メッセンジャーでメッセージを相手に送ろうとした時に、相手が起動していなかったので、仕方なくメールソフトを立ち上げてメールを送る、というのでは、最初からメーラーを立ち上げたほうがよかった、ということになってしまうからです。
実際、最近のメッセンジャーソフトでは、相手が不在時にメッセージを送ろうとすると、自動的にメール的な仕組みに回避するようになってきています。
フレッツ・ドットネットにおいては、不在を前提として、不在時のメッセージやファイルは自分のオンラインストレージに保管されるという仕組みを提供しており、利用者からすると、非常にわかりやすい仕組みになっているといえます。
■利用者獲得競争に貢献するのか、独自サービスの落とし穴にはまるのか
フレッツ・ドットネットは、 NTT 地域会社の独自通信網であるフレッツ網の中で実現されるサービスのため、フレッツ利用者しか契約することはできません。フレッツ・ドットネットを使いたければ、フレッツ系の ISP サービスを利用するしかないということです。
熾烈な利用者獲得競争の渦中にある NTT 東日本としては、当然の戦略と言えるでしょう。
ただ、逆に言うとこのサービスを利用するためには、利用するメンバー「全員」がフレッツ系のサービスを契約しないといけない、ということになります。これは非常に高いハードルであるといえるでしょう。
システム担当が回線契約を取り仕切る法人であればまだしも、個人で家族や仲間が同じ ISP サービスを契約している状況というのは、意外に少ないものです。(シェアが仮に5割であったとしても、半分の人は他の ISP であるということです)。
さらに現在のところフレッツ・ドットネットは NTT 東日本エリアだけで提供されており、 NTT 西日本エリアの人と一緒にフレッツ・ドットネットを利用することはできません。
そういう意味では、現時点でフレッツ・ドットネットのメリットを最大限生かせるのは、限られた一部の利用者になってしまいそうです。
もちろん、フレッツ・ドットネットが ISP を変更してでも利用すべき魅力があるサービスと認知されれば、この問題は解消されます。
はたして、フレッツ・ドットネットが利用者獲得競争に影響するサービスとなり得るのか、それともやはり ISP 限定のサービスは上手くいかないという落とし穴にはまってしまうのか、注目していきたいと思います。
現在、フレッツドットネットでは、最大3か月無料の期間限定キャンペーンを実施しているようです。フレッツ系の ISP を利用している方はぜひ試してみてください。
フレッツ・ドットネットのサイト http://www.flets.com/dotnet/