P2P ソリューション:インターネット電話 Skype(1)

これまでの連載では、どちらかというと概念的な P2P 技術の可能性や要素について紹介してきましたが、今回からは、具体的な P2P アプリケーションや利用事例を取り上げていきたいと思います。


実際に開始されているサービスから、 P2P 技術で実現できると言われている新サービスまで、分かりやすい具体例を紹介していければ、と考えています。

今回ご紹介するのは、 Skype というインターネット電話サービスです。

■Skype の概要

Skype は、海外のファイル共有ソフトとして有名な KaZaA の開発者によって開発された、 P2P 型のインターネット電話ソフトです。(Yahoo!BB の BB フォンのような IP 電話は、普通の電話機で電話をするタイプのものですが、ここでいうインターネット電話ソフトとは、 PC にインストールして、PC から電話をかけるものを言います)

Skype は無料でインストールすることができるのはもちろん、同じソフトを使っている人となら誰とでも、無料で音声通話をすることができます。

もちろん、実際にはクライアント/サーバー型で似たようなサービスを提供している事業者は、他にもたくさんあります。

また、最近は MSN メッセンジャーや Yahoo! メッセンジャーにも、音声チャット機能がついています。 PC にソフトウェアをインストールして、ヘッドセットやマイクを利用して音声通話をするソフト、という意味では別に珍しくもなんともありません。

P2P 技術を使っている Skype は、他のソフトに比べて何か違うのでしょうか? 

■Skypeの特徴

現状で、 Skype が他の既存インターネット電話ソフトに比べて特に優れている、と考えられるのは下記の3点です。

1.インターネット経由とは思えないすばらしい音質
Skype いわく、「一般電話よりもクリア」。実際にその音質はすばらしく、他のクライアント/サーバー型の音声チャットソフトは比較の対象にならないと言われるほどです。

2.NAT や FW などの利用環境を意識しない
利用者からすると一番嬉しいのはこの部分でしょうか。難しいネットワーク設定や環境調査とは無縁で、どんな環境でも簡単に始められます。一般的なインスタントメッセンジャーの音声チャット機能は、ここが難しい場合が多いですね。

3.現在は何もかも無料で広告もない
ビジネスモデルがないという点ではかなり物議をかもしていますが、現状の Skype はとにかく無料です。 BB フォンのような ISP が提供する IP 電話は、同じ ISP の利用者間でないと無料にはなりませんが、 Skype のようなインターネット電話は、 ISP が異なる利用者同士でももちろん無料で使うことができます。

また、一般的な無料インターネット電話は広告連動型が多いのですが、 Skype では広告もなく、純粋に電話機能を使うことができます。(次回のコラムに続く)