[通信業界]ソフトバンク孫社長、「800MHz帯を利用して携帯電話事業に参入する」 を読んで

ソフトバンク孫社長、「800MHz帯を利用して携帯電話事業に参入する」 – CNET Japanを読んで。

 先日ある勉強会で、独占通信事業者の現状についての話になった。


 NTTグループが日本で未だに強固な基盤を維持しているため、日本にいるとあまり気にならないことだが、実は世界的には過去の独占通信事業者というのは結構負けているケースの方が多い。

 NTTが国際展開をようやく許された90年代に、世界をまたにかけて活躍していたのは米国のAT&Tと英国のBTだったが、AT&Tの存在感は急速に薄らいでいるし、英国の通信キャリアの代名詞はいまやBTではなくボーダフォンだ。
 
 そういう意味では、NTTグループは良く現在の地位を維持しているとも言うことができるのではないだろうか。

 
 だが、今回のような記事を目にするとこの健闘の影に、総務省との二人三脚があることが見て取れる。
 結局のところ競争のルールを自分達で作ったところが強いと言うのは、どこの世界でも同じだ。
 
 現在のところ規制により寡占状態が維持されているのは、実は一番競争が激しいように見える移動通信事業の世界だ。
 固定通信においては、NTTのメタルケーブル網を開放することによってYahoo!BBやイーアクセスのようなアクセスプロバイダが登場し、ブロードバンドの低価格化と普及が一気に進んだ。

 ところが移動通信においては電波が有限であるため、この開放がなかなか上手く進んでいない。
 総務省は固定通信の成功に味を占めたので、現在のTD-CDMA用の電波帯解放につながったという話を聞いたことがあるが、今回の800MHz帯のニュースを見る限り本気で移動通信の電波を開放する気はまだ無さそうだ。

 孫社長のここ最近の矢継ぎ早な発表には、NTTグループと総務省に時間を与えると、また都合の良いようにゲームのルールを決められてしまう、という焦りのようなものすら感じてしまう。
(ここ最近は総務省をヨイショすることが多かったようにも思っていたのだが。)

 総務省とNTTグループに明確に宣戦布告をし、国民の味方であるとアピールすることでゲームのルールを自分に優位にする、というのが当面の孫社長の戦略のようだが、果たして上手く行くのだろうか?

 ちなみに、なんだかライブドアの近鉄買収宣言と同じようなものを感じてしまうのは私の気のせいかな・・・?