2004/09/15にjapan.internet.comに掲載されたコラムです。
(前回からの続き)
■ビデオクリップの無料ダウンロードサービス
NetLeader の最も有名な取り組みが、 2003年10月に NTT コミュニケーションズと松竹株式会社の共同で開始された、「わざアリ」というグラビアアイドルのビデオクリップ無料ダウンロードサービスです。
わざアリでは、松竹で売り出し中の女性タレントの動画コンテンツを用意することで、 NetLeader の実験を開始しました。
メディアや口コミの効果もあり、わざアリのコンテンツはサービス開始後の12月には約20万件のアクセスがあったようで、当初の実験期間を延長して現在もコンテンツ配信を継続しています。
松竹側としても、ストリームサーバーと比較してコストが大幅に安くすんだため、高く評価しているようです。
特に NetLeader の Web サイトでは、 NetLeader の広告のクリックスルーレート(広告をクリックする率)は平均10%であるとアピールされており、広告手段としても、動画と NetLeader の組み合わせが有効であることが実証されているようです。
■合法なコンテンツ配信は広がりを見せるのか?
もちろん、上記のような取り組みは、インターネット上のコンテンツ配信に閉める割合で考えれば、非常に小さなものと言えます。
特に日本においては、デジタル配信を行うための著作権整備の遅れが指摘されており、現状では、問題なのは著作権保護技術ではなく、配信できるコンテンツが不足していることだ、と指摘する人も増えてきているようです。
ただ、P2P 配信技術を適切に活用することで、これまで「インターネットのコンテンツ配信は金がかかりすぎて儲からない」と言われてきた配信コストの部分については、恐らく早期に解消することができるものと考えられています。
そういう意味で今後重要となってくるのは、大容量コンテンツの低コスト配信という「手段」を得た時にどういうビジネスを展開できるか、ということです。 (執筆:徳力 基彦)