My Life Between Silicon Valley and Japan – 情報の伝播の新しさと、それを苦々しく思う人たちの存在を読んで。
先週フォーサイトが主催で梅田さんのセミナーがあったようです。
私は残念ながら参加できなかったのですが、週末ブログを見ていたらびっくり。
はてなブックマークの人気エントリに、梅田さんの講演の議事録がそのまま掲載されてるじゃないですか。
フォーサイトクラブ・セミナー「ウェブ社会『大変化』への正しい対応・間違った対応」梅田望夫さん講演ログ
適切な過去ログにリンクも張ってある実に濃い議事録で、まるで参加したかのように得した気分に浸っていたわけですが。
梅田さんのブログにも書いてあるように、実はこれって結構グレーゾーンです。
少なくとも、梅田さんにおいては今回のように適切なフォローが入るわけですが、通常の有料セミナーってセミナーのコンテンツ自体が価値で、それをもとに参加料が正当化されているわけなので、無料でこうやって内容を公開されると困る人も多いことでしょう。
実際、困るのはセミナー主催者だけでなく、いわゆる講演料を収入の一つの柱にしている「閉ざされたエスタブリッシュメント世界の住人」に取っても大問題になる可能性があります。
梅田さんが言っているように、「主催者側が、講演開始前の注意として「携帯の電源をお切りください」だけでなく「この講演内容をBlogで公開するのはご遠慮ください」なんて話になってしまう可能性」は十分あるように感じます。
ただ、「本当にイベントの内容が公開されると、有料セミナーやイベントはその価値を失うのか?」という疑問がここで浮かんできます。
例えば、これを上手く逆手に取っているのが、百式の田口さんが開催している無敵会議やアカデメディア。(ちなみに今月は第三回検索会議が開催される模様)
このイベントでは、最初に田口さんの「今日の内容はすべてオープンなので、ブログに遠慮なく書いてください」という趣旨の発言で幕を開けるのが非常に特徴的。
その姿勢が呼び水となって、多くのブロガーをはじめとする参加者を集め、募集一日でほとんどのイベントが満員御礼になるうえに、終わってからもブログ上でたくさんの議事録が公開され、それがまた次の参加者を呼びこむというポジティブなサイクルが回っています。
議事録を見れば、当日の内容は大体把握できるのに、それでも即効で満員になるのは、議事録を読むだけでは得られない価値がイベント自体に参加することで得られるからでしょう。
もちろん参加費が安いというのはあると思いますが、このモデルは、通常の有料セミナーや講演でも参考になるはずです。
例えば、今回の梅田さんのように、講演の議事録が毎回ネットで公開されるものだと思われた場合、はたしてその人の講演をお金を払ってでも聞きたいという人は減るのでしょうか?
少なくとも、まだその人の講演を生で聞いたことが無い人は、逆にネットの議事録を読んで、これを生で聞いてみたいと思うかもしれません。当日生で話を聞いて感動した人も、また聞きたいと思った人もまた参加するでしょう。
必ずしも、議事録が公開されることは、その講演者にとって負の効果をもたらすばかりでなく、宣伝効果を考えると実はプラスではないかと思えてきたりもします。
こう考えてみると、この話は結構ミュージシャンの話と近いところがあるような気がしますね。
CDを買っているファンがコンサートに来ないかと言えば、全くそうではないですし、テレビやDVDでコンサートが見れるからそれで満足するかというと、それもまた別。
もちろん無料のファイル交換ソフトで音楽を入手して満足している人もいるでしょうけど、逆にそこで初めてそのミュージシャンの音楽と出会ってファンになる人もいるでしょう。
やっぱりネット時代においては、非公開を前提ではなく、公開されてしまうことを前提で、コンテンツやビジネスモデルを設計する必要があり、そうできる人が強い時代になるということかなぁと改めて思います。
ちなみに、何でもかんでもオープンにすれば良いかと言えば、もちろんそういう話ではなく、そういう意味で印象的なのが昨日CNETに掲載されていたグーグルの非公開イベントの記事。
グーグル、「秘密イベント」を開催–報道関係者やブロガー400人を招待
なんでも「Zeitgeistで行われるすべての講演や説明を公表してはならない。講演者や参加者らが確実にオープンに話せるようにするため、報道もブログへの掲載も一切を禁止する」とのことだそうで。
喋りたがりのブロガーをわざわざ集めておいて「秘密イベント」って何だよー。とつい思ってしまうわけですが。
この辺の緩急の使い方がグーグルという会社は絶妙だなと、改めて思ったりします。
まぁ、こんな緘口令をひいて効果があるのは、検索結果をコントロールできるグーグルだけかもしれませんけど・・・
(公開したら、お前のブログ、検索エンジンで引っ掛けないぞ、と脅されたりとか)
同じことを考えたことがあります。すべての「著作権」をフリーにしてしまう社会は・・・混乱してしまうだけかな?
でもネットで公開できることと、実際足を運んで見に行くのとではかなりの差があると思いますので、
ある程度はオープンにすることで良い効果が生まれると考えるのですが…。
なかなか難しいことですよね。
コメント有難うございます。
成功事例は分かっても、実際に自分の会社とかでやってみるのはやっぱり難しいですよねー。
実践してみないと本当のところは分からないと思うのですが・・・悩ましいです。
基本的にオープンなのはいいと思うのですが、でも、主催者や講演者にとっては、ここまで完全に公開されるのはちょっと微妙な感じがしますね。。
話し手と聴き手、それぞれの目的や内容によると思いますが、ノウハウものでやられると厳しいでしょうし(この場合、書く人は少ないと思いますが)、講演者や参加者に興味のある方は関係ないと思いますし。
無敵会議やアカデメディアは参加イベントなので、普通の講演とは楽しみ方や求めるものがちょっと違うように思えます。
こんにちは。ミュージシャンの話は膝を打ってしまいました。
クローズドな構造の中でも開かれないと理解すらされない可能性があります。知らないと選択肢の中にも入らないわけで。
今後情報が平たく流れていくのは止められないでしょう。そういう前提で何をするかが重要になってくるのでは。
こんにちは。ミュージシャンの話は膝を打ってしまいました。
クローズドな構造の中でも開かれないと理解すらされない可能性があります。知らないと選択肢の中にも入らないわけで。
今後情報が平たく流れていくのは止められないでしょう。そういう前提で何をするかが重要になってくるのでは。
実際、ラジオで落語をやるのに業界はだいぶ反発したらしいんですが、フタを開けてみれば、ラジオで聴いたから生で聴きたいというひとがどっと押し寄せたとか。
DVDのときに映画業界が反発して…とかと、似たような話ですね。
多くの場合、オープンな考え方が「結局は」うまくいくようにできている世の中のしくみに感謝したいです。
いろいろコメントありがとうございます。
確かに、視点をいろいろ変えるともっと、いろんなものが見えてきそうですね・・・
ちょっと一度整理して、自分でもう一度まとめてみたいと思います。
セミナーをブログで公開する価値と、非公開にする価値
My Life Between Silicon Valley and Japan – 情報の伝播の新しさと、それを苦々しく思う人たちの存在を読んで。 先週フォーサイトが主催で梅田さんのセミナーがあったようです。 私は残念ながら参加できなかったのですが、週末ブログを見ていたらびっくり。 ..