なぜソフトバンクはdigg型ではなくオーマイニュース型を選んだのか?

韓国「オーマイニュース」にソフトバンクが出資–3月には日本法人も設立 – CNET Japanを読んで。
 ちょっと前の記事になりますが、韓国の参加型ニュースサイトとして有名な「Ohmynews(オーマイニュース)」にソフトバンクが出資して話題になりましたね。
 
 3月に設立されるオーマイニュース・インターナショナルという日本法人にいきなり6億円以上出資するというのも驚きですが、本体に出資しつつ日本法人を設立するという手法は、インターネットブーム前のYahoo!への出資を彷彿とさせますから、いろんなことを想像してしまいます。
 個人的にも、1年半前FPNニュースコミュニティを手探りで始めた頃にオーマイニュースの存在を知り、非常に影響を受けたのもあり、いろいろと調べた経緯があります。
 なにしろ韓国でのオーマイニュースの盛り上がりは非常に大きなものがあり、いろんなところで取り上げられていましたし。
 ただ、いろいろ調べた結果、日本ではオーマイニュースのようなものは投稿型のニュースサイトはブレイクしないのではないか、という結論に至ったのも事実です。
 時事通信の湯川さんもブログにかかれていますが、オーマイニュースの成功は、その当時の韓国で変革を求める人々のエネルギーが大いに蓄積していて、保守的な既存メディアに変わる存在としてオーマイニュースがそのエネルギーのはけ口になったという政治的な背景をなくしては語れません。
 日本では、なんだかんだ言って既存メディアにも様々な立場のメディアがありますし、2ちゃんねるのようなオーマイニュースとは違う形での消費者参加型メディアも存在しましたし。
 最近は、ブログなりmixi日記のようなもので、個人個人が自分のサイトで書くという行為の方が広がっていますから、そういう意味でも勝負ありと言う印象があります。
 (逆にオーマイニュースの人気が高い韓国では、ブログはそれほど人気がないんだとか。アバター型SNSのCyworldの影響も大きいのかもしれませんが)
 ただ、ヤフーもグループに存在するソフトバンクがてこ入れするとなると、ちょっと話は変わってきますね。はたしてどういうビジネス展開になるのか興味津々です。
 ちなみに、個人的に気になったのは、diggのようなコミュニティ型ニュースサイトが注目を集めている中で、あえてソフトバンクが旧式のモデルにも見える投稿型ニュースサイトに出資したという事実。
 Web2.0の視点から考えれば、今クールなのは当然diggのようなコミュニティの集団によって編集がなされるニュースサイトの方でしょう。
 特にベンチャー企業や個人にとっては、diggのような仕組みの方が数人のエンジニアで手軽に開発できる上、コンテンツは他のサイトやブログのものを無料で流用する形ですからリスクも低く簡単に始められます。
 実際、diggは数人で始めたにもかかわらず1年であっという間にSlashdotに迫る人気サイトに成長しました。
 日本でも、はてなブックマークのポータルが同じようなポジションにあるかもしれません。 
 ただ、この手のサービスはあくまでコンテンツのフィルターを行っているだけで、実際の記事コンテンツを作り出したり保有しているわけではありません。
 もちろん、人気が出ればフィルター部分のページビューは稼げますから、diggやはてなブックマークのように、フィルター部分やコメント部分にGoogle Adsenseを貼り付けて広告収入を得るようなビジネスはできますが、肝心の記事コンテンツを流用したビジネスや、記事の広告や記事を読んだ後に発生する行為から収入を得ることは難しいわけです。 
 当然、それが良いとか悪いとかいう話ではありません。
 ただ、この場合、既存メディアはdiggやはてなブックマークに編集部分は取られても、最終的な記事へのトラフィックは得られるというのが重要なポイントです。
 今回のソフトバンクのオーマイニュースへの投資は、それとは逆に記事というコンテンツ自体を生み出す仕組みに投資したといえるわけで、そういう意味ではおおげさに言えば既存メディアとバッティングする存在に投資しているように見えてきてしまいます。
 湯川さんのブログでは、今回のオーマイニュースへの投資は、ソフトバンクの「2010年の、世界中のインターネットニュース・インフラ「情報ハブ」の地位の確立」という目標への第一歩に過ぎないという見方も紹介されていたりして、そういえば、孫さんは以前日本のメディアを買収しようとして断念した歴史があったなぁーとかいろんなことを考えてしまったりします。 
(ライブドアのPJニュースの後から満を持して本命登場という意味では、球団買収のときのライブドア落選→ソフトバンクのダイエー買収ともかぶったりしますが)
 とりあえず湯川さんがソフトバンクに取材に行かれるようですから、インタビュー記事を楽しみに待ちたいです。

“なぜソフトバンクはdigg型ではなくオーマイニュース型を選んだのか?” への2件のフィードバック

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