クラウドソーシング的アプローチは、案外日本の文化に合っているんじゃないだろうか

ネットで集まった開発グループによる鼻歌Q&Aサービス「Hanauter.com」:ニュース – CNET Japanを読んで。
 個人的にもメンバーとして入れてもらっている「わくわくオープンラボ」が開発したHanauter.comが無事サービスをリリースしたようです。
 このわくわくオープンラボは、個人的に注目しているコンセプトであるクラウドソーシング的仕組みで動いている団体というかプロジェクトというかという不思議な組織。
 もともとは、保田さんのブログでの「ちょーちょーちょーいい感じ:ネット事業を立ち上げたい:一緒にやりません?」発言がきっかけで、様々なメンバーが集まり、何度かミーティングをしながら、いろんな紆余曲折があったものの、ついに実際のサービスを立ち上げてしまったのだから凄いです。
 私自身は自分がAMNに関わるようになってすっかり余裕が無くなってしまったので、メンバーの末席を汚している程度でほとんど何も貢献できていないのですが、開発合宿等の地道な活動を続けてついにサービスを、しかも英語で立ち上げてしまったというのには本当にびっくりです。


 光栄にも、CNETの記事の中で、保田さんにクラウドソーシングのコンセプトを話した人間として紹介していただいたのですが、個人的にはこのクラウドソーシング的なコンセプトには深い思い入れがあります。
(まぁ、もともとクラウドソーシングという言葉は、「群衆(Crowd)にアウトソースする」という造語なので、意味としては社内の業務の一部を社外の集団に委託するイメージなので、私がイメージしているみんなで何かを生み出すということ自体をクラウドソーシングと呼ぶのかどうかは異論がある向きもあるみたいですが。Cambrian Houseというわくわくオープンラボが参考にしたサービスでは「Home of Crowdsourcing」と書かれているので、こちらのイメージで。)
 
 今や、インターネットを通じて私たちのワークスタイルは大きく変化しようとしていますが、企業と社員の雇用関係には実はそれほど変化はありません。
 
 大企業の中にいれば人事異動で仕事が変わるのはせいぜい数年に1回。
 自分がどういう仕事に本当に向いているのかはっきりとは分からないまま、自分の力を試す機会や、新しいことにチャレンジするチャンスがなかなか無いと感じている人はたくさんいるはずです。
 
 かたやウェブサービスを生み出すためのコストはチープ革命の影響もあってウナギ下がり。
 いまや、個人で数万人が使うウェブサービスを開発するなんてのも難しい話ではなくなりました。
 ただ、かといってそういったエンジニアの人たちのだれもが、マーケティングやPRを効率的にできるわけではありません。
 また、いきなり誰もが人生をかけて起業できるかと言ったら、それもなかなか難しいでしょう。
 Web2.0系のサービスをマネタイズするのはやはり相当難しいという印象ですし、海外はまだGoogleやYahooに買収してもらうという出口が見えますが、日本ではそれも望めそうにありません。
 そこで、個人的に期待しているのがクラウドソーシング的なアプローチです。
 もちろん副業規定という壁はありますが、大企業の中で自分の力を持て余していたり、今の仕事とは違うことにチャレンジしてみたいような人たちの力が集まれば、結構なエネルギーになるはずです。
 当然、立ち上げたサービスを本格的に事業として立ち上げていくためには、また違うエネルギーが必要になるとは思いますが、まず最初の一歩として踏み出すのであれば、エンジニアが一人でサービスを開発するだけでなく、それ以外の事業的な要素を、様々な人がちょっとした自分の時間を使って何かの事業を支援するという仕組みは十分ありえるのではないかと思ったりします。
 ヘッドハンターや人材会社のかたに話を聞くと、よく日本は米国に比べるとまだまだ大企業の人材がベンチャー企業など外に出てこないという話になりますが。
 日本の大企業の人材を無理に転職させなくっても、大企業の中からベンチャー企業をクラウドソーシング的に支援するというのを流行らせる方が、案外日本人の文化というか気質のようなものにあっているのではないかと、Hanauter.comのリリースを横目で見ながらそんなことを思ったりする今日この頃です。
 まぁ、実際問題、FPNニュースコミュニティも、考えてみればクラウドソーシング的に運営されているサイトですし、現在AMN自体でも似たような実験をしているので、私が個人的にクラウドソーシングだとか、P2Pだとか、そういったアプローチにとりつかれているだけかもしれませんが・・・