YouTubeの骨をiTunesが拾う形になってしまうのか

TechCrunch Japanese アーカイブ » iTunesビデオレンタル発表の予感を読んで。
 TechCrunchによると、iTunesが映画レンタルサービスを来月にでも発表するのではないかという噂があるようです。
 日本ではそれほど話題にならないiTunesの動画配信サービスですが、米国ではドラマを中心に結構利益率のよいサービスとして認知度が高まっているようですから、ここに来てのビデオレンタルサービス開始はその流れに一段と勢いをつけそうです。
 個人的には、時を同じくして、YouTubeがついに訴訟されたというニュースが流れているのも気になるところ。
 CNETのスタッフブログの「動画共有サイトはP2Pの轍を踏むのか」という記事でも書かれているように、不正な音楽ファイル交換で世界的に有名になったナップスターが訴訟で失速し、その後iTunesが大成功を収めたというのが、どうしても今回のYouTube訴訟とだぶって見えてきてしまいます。
 もちろん、iTunesのようにコンテンツを所有して視聴するというステップを踏む動画配信と、YouTubeのようにリンクから飛んでくればすぐに動画を閲覧できるブログ的な動画共有サイトは、視聴行動が本質的に違いますから役割分担は当然あると思います。
 ただ、やはり大きいのはiTunesには、すでに確立したDRMや購買プロセスを持っていて、収入を生み出すことができる仕組みがあるという点。
 このあたりの詳細は、早速CNETの渡辺さんが今後のオンラインビデオの流れについての分析をしてますが、やはり「ポータブルデバイスであるiPodと、徐々にテレビ領域にも手をかけようとしているアップル」の存在感というのは大きいですね。
 
 このまま結果をシンプルに想像すると、YouTubeにはアニメの第一回だけとか、比較的質の悪いサンプル動画が掲載されていて、そのコンテンツをちゃんと全部見たければiTunesのような合法サイトに行って買うという流れになってきそうな印象。
 この流れだと、お金はほとんどiTunes側に落ちる形になりそうな印象です。
 まぁ、類似サービスも雨後のたけのこのように出てきてますし、CNETで紹介されていたVeohなんかは、サイトとP2Pソフトを組み合わせることで自社でウェブサイトでのプロモーションと高画質動画の販売のプロセスを完結させようとしていたりとしていて、今後もいろんなサービスが出てくるでしょうから、必ずしもiTunesが動画配信の分野でも圧勝するという保証はないんですが。
 最初はグレーゾーンを突っ切って利用者を一気に集めておいて、あとから合法ラインやビジネスモデルを組んでいくというやり方は、その企業自身が成功するのは意外に難しいのかなー、と思わずにはいられません。
(そうは言ってもグレーゾーンで突破してくれる企業が出てこないと、合法的なサービスもなかなか出てこないという現実もあるんですが)
 はたして、YouTubeはNapsterの轍を踏まずに生き残ることができるのか、生き残ったとしても業界の中心に居座ることができるのか。
 ここ半年~1年が勝負でしょうか、非常に興味深いところです。
 それにしても、こういった動画配信ビジネスの最先端の話を、どうしても海の向こうの他人事の話として聞くしかないというのが悲しいところです。
(先日、白田先生の出版記念パーティーで、音楽配信メモの津田さんに日本では無理なんですかねーと言ったら「無理でしょう」とばっさり言われてしまったのが印象的でしたが・・・)

“YouTubeの骨をiTunesが拾う形になってしまうのか” への1件のフィードバック

  1. iTunesが動画配信しても…

    このまま結果をシンプルに想像すると、YouTubeにはアニメとかドラマの第一回だけとか、比較的質の悪いサンプル動画が掲載されていて、そのコンテンツをちゃん…

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