日本では、やっぱり大企業でブログを書くのは難しいのか?

isologue: 産業構造とブログ(葉玉さん引退に思う。)を読んで。
 ちょっと前の記事になりますが、isologueの磯崎さんが日本の産業構造とブログの関係について興味深い記事を書かれていました。
 記事の背景にあるテーマは、今後日本で「『個』として意見を述べるようなブログは、今後も増えていくのか」というもの。
 磯崎さんのブログでは、大組織でブログを書くのは難しいという点等を上げて、最後に「労働人口のうちに占める「フリーエージェント」の比率が高い社会になっていかないと、結局、「勝手に情報発信する」という人がどんどん出てくるということにはならないし、今後、読み応えのあるブログがどんどん増えていく、といったことにはならないのかも知れないですね。」とまとめられています。


 個人的にも最近気になっているのがこの点。
 自分の見る範囲が偏っているせいかもしれませんが、どうもまだまだ日本では、磯崎さんが定義しているような「『個』として意見を述べるようなブログ」がそれほど増えてきているような印象がありません。
 まぁ、たしかに自分が今もNTTに勤めていたら実名でブログを書くなんてありえなかったでしょうし、IR担当をやっていた頃であれば、匿名でもブログを書くことは自粛したでしょう。
 そういう意味では、磯崎さんが言うように「特に世間で「優秀」とされる方ほど大組織に属してることが多い」日本は、ビジネスマンが個として意見を述べるブログというのは増えにくい環境にあるのかもしれません。
 ちなみに、個人的に、日本と米国のブログをめぐるもう一つの大きな違いとして感じているのが、大企業が社員に積極的にブログを書かせるケースの少なさ。
 米国のブロガーの話なんかを聞いていると、Microsoft、IBM、SunMicrosystemsなどの大企業の人たちが積極的にブログスフィアに出てきている印象があります。
 なんでも企業側もブログ規定を設けて積極的に社員に書かせている例が結構あるらしいのですが、日本ではそういう事例はあまり聞きません。
 米国では多くの社員ブロガーがいるらしいMicrosoft等の外資系企業でも、日本法人となるとやはり自己責任で情報発信はしにくいのか、ブログを書いている人は少ない気がしますし、日本ではいわゆるレガシーな大企業はもちろんIT系の企業でも、規模が大きくなると社員が個人名で情報発信をするケースは一気に減る気がします。企業ぐるみで仕掛けているところは、未上場のネット系ベンチャー企業程度という印象です。
 もちろん、日本では企業がブログを運営するいわゆるビジネスブログが結構普及してるという指摘もあるかもしれませんが、ビジネスブログの普及のために、余計に企業でブログを書いていいのはビジネスブログの担当者のみという風潮も出てきているような気がするのは私だけでしょうか。
 まぁ、組織の中で個人の発言というのを容認できないあたりが、いわゆる日本的なところになるのかもしれませんが。ただ、ブログサービスを提供している企業ぐらい、もっとブログを実名で社員に書かせても良いのでは、と思ったりもします。
 振り返ってみると、昨年4月に、梅田さんが「Blog論2005年バージョン」で「大組織に属する超一流の技術者や経営者が本気でBlogを書くということも、どうも日本では起こりそうもない。」と書いて議論が巻き起こったことがありましたが、結局1年半たった今でも、梅田さんが予測したとおり日本のビジネスマンのブログを取り巻く状況はそれほど大きく変っていないということでしょうか。
(そういえば、その頃にも自分は能天気に「特に大企業の中の皆さん、是非ブログを始めてみてください」と書いていたのを思い出したり。)
 
 
 ただ、まぁ楽観的に考えてみれば、私の周りでもフリーエージェント的になる人というのは一昔前に比べるとあきらかに増えていますし、大企業の中でブログを書いている人に遭遇することも増えてきた気もするので、単純に時間がかかるというだけの話かもしれませんが・・・
 
 ジェットダイスケさんが「個人のブログは所属組織にも利益をもたらす」という記事を書かれていたのを読んで、なるほどなーと思いましたが、そういう事例をもっと企業にも分かりやすくアピールしていかないといけないのかもしれませんね。
 多くの大企業の人にもブログを書いて欲しい(読みたい)一人のブロガーとして、自分にも何か貢献できる事があるのかどうか、いろいろと考える今日この頃です。