「クチコミの技術」に見るブログクチコミの威力

クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング クチコミの技術――広告に頼らない共感型マーケティング:書籍の公式ブログを読んで。
 ネタフルのコグレさんと、みたいもんのいしたにさんが書いた「クチコミの技術」が何だか凄いことになっているようです。
 
 個人的にも本の中でコラムを書かせていただいたので注目はしていたのですが。
 書店での発売開始はようやく3月29日の昨日だったというのにもかかわらず、すでにブログ上ではとっくに発売されているかのような盛り上がり。
 なんだか、クチコミの技術自体のクチコミの流れが気になったので、あらためてその流れを振り返ってみました。
 まず、始まりは3月8日。
 著者の二人のブログで、執筆の告知が書かれます。


3月8日:「クチコミの技術」を執筆しました(2007/3/29発売予定)
3月8日:「クチコミの技術」を執筆、そして発売されます!(2007/3/29発売予定)
 注目のテーマということもあり、本の順位はこの段階ですでにAmazonは300位台と一気に急上昇。
 ただ、ここまでは筆者のブログでの告知という意味で、まぁ普通の告知の世界です。
 
 私個人は、発売日が3月29日にもかかわらず20日も前に告知をするなんて、早いなーとお気楽なことを思っていたのですが。
 実はこれは、これから始まる怒涛のクチコミの技術実践編のスタートに過ぎませんでした。
 まず、クチコミの技術公式ブログが3月17日にオープン。
 本をめぐる周囲の情報を提供する拠点を構築しています。
kutikomiblog.png
 さらに、ここに二つの仕掛けがあります。
 まず、本が発売される前の段階から、ブログで第一章のPDFを公開。
 さらに、Amazonでは3月21日から先行発売というおまけつき。
 つまり、本は書店で立ち読みしてから買うという慎重派のタイプの人に、本の中身の一部を提供して立ち読みの代わりをさせてあげ、さらに書店よりもAmazonで買った方が早く手に入るという特典を提供して、背中を押してあげているわけです。
 こうした複数の仕組みが影響し、発売前だというのに3月19日までに早くも40件以上のブログ記事が書かれることになります。(Googleブログ検索調べ)
 しかし、二人の本領が発揮されるのはここから。
 まず、大きな動きがあったのが3月20日
 ついに最初の見本誌が登場です。
 二人は、早速その日のうちに、見本誌を配り始めます。
 その第一弾として口火をきったのがこちら。
3月21日:404 Blog Not Found:書評 – クチコミの技術
 この記事は、二人も参加しているAMNの飲み会で、小飼さんに本を渡したその夜にアップされた記事です。
 この効果もあり、3月22日の10時の段階で総合233位ビジネスカテゴリー24位。
 22日の夜には21時には総合50位で、ビジネスカテゴリー2位までジャンプアップします。
 さらに効いたのがこれ。
3月23日:[N] ダニーの読書スピードは本当に速かった!

 噂の小飼さんの速読術をそのままYouTubeで配信。
 このエントリー自体も76のはてなブックマークが付いてホットエントリー入り。
 本の内容以外のところでも話題づくりを忘れません。
 他にも献本の効果もあり、様々なブログで次々に書評が展開されていきます。
 主なものがこちら
3月22日:isologue 「クチコミの技術」、読んでみました 
3月23日:シゴタノ! 個人にも役に立つ『クチコミの技術』
3月23日:「口コミ・マーケティング」にはこの一冊
3月24日:結論:クチコミの技術は企業マーケ・ブロガー・アフィリエイター必読の書である
3月25日:Life is beautiful「個人」に蓄積しているCGMマーケティングのノウハウ
3月26日:極東ブログ:昨今ブログ事情など
 ただ、二人の仕掛けは、ここでとどまりません。
 23日から、二人はそのままブログ合宿に突入。
 ただでも荷物が多いはずなのに、律儀に参加メンバーに献本するために本を持参。
 当然、合宿参加者からも次々に書評がアップされていきます。
3月23日:クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング[俺100]
3月23日:ネタフル、みたいもんが解き明かす企業が今やるべきこと;クチコミの技術
3月24日:裏[4k]クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング
3月25日:クチコミの技術」を読みました
3月26日:クチコミの技術と速読[俺100]
3月27日:秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ:クチコミの技術
3月28日:クチコミの技術:小鳥ピヨピヨ
3月29日:「クチコミの技術」とビジネスブロガーとブロガー広報などいろいろ
 さらには合宿参加者に、動画の書評も依頼してみたり。
3月27日:たつをさん、秋元さん、としのりさんに、生(ナマ)で『クチコミの技術』の書評をいただきました
 リスナー数が12000人を超えているModern Syntax Radio Showのポッドキャスティングにも登場したり。
3月25日:Modern Syntax Radio Show 73回目
 その仕掛けのバリエーションは実に多彩です。
 その結果、発売日前の3月28日までで、ブログにおける言及は160件以上(Googleブログ検索調べ)
 書店発売前でこの数字はまぁ普通ではありえませんよね。
【参考Technoratiのグラフ】
technorati_graph.png
 さらに、話はここで終わりません。
 ブログ界の祭りは、ブログ以外にも伝播を始めています。
 その象徴が、こちら
3月26日:ビジネスブックマラソン『クチコミの技術』
 普通のブログ読者には馴染みが薄いかもしれませんが、このビジネスブックマラソンというメルマガを執筆する土井さんは、Amazonの元カリスマバイヤーで出版界の超有名人。
 読者数も17,000人を超える非常に影響力の大きいメルマガです。
 
 二人は土井さんとは面識が無く、献本もしていなかったようですから、土井さん自身が本の噂を聞いて、実際に読んで気に入ったので書評をかいてくれたことになります。
 その結果、Amazonの書籍のランクも最高17位まで上昇。
 Amazonのビジネスカテゴリーは1位を獲得。
 29日からは本が書店に並びますから、Amazonの先行予約特典もなくなり、ここまでAmazonに注文が集中するという状況はなくなると思いますが、ビジネス書の著者としてはまだまだ無名の二人の本としては、実に記録的な成果と言えるのではないでしょうか。
 その背景にあるのは、やはりここまで連鎖しているブログ上のクチコミ。
 一人の有名人に取り上げられているからどうこうというのではなく、ブログを通じてクチコミが連鎖していることにより、結果的に一人一人が取り上げるよりも、さらに掛け算的なクチコミ効果が生まれているような印象を受けます。
 ブログのクチコミが連鎖すると、どれぐらいの影響があるのかというのが分かる良い事例といえるのではないでしょうか。
 
 もちろん、このクチコミの技術のクチコミ結果は、完全に自然と生まれたものではありません。
 著者の二人がちゃんとブログを開設したり、PDFを公開したりというクチコミの種を事前に埋め込み、まめに飲み会や合宿に本を持参したり、動画を撮影したりというクチコミを生み出す活動に自ら汗をかいているからこそ、生まれているクチコミといえるでしょう。
 最近のネットクチコミマーケティングブームでは、「クチコミを使うと低コストで製品が売れる」という宣伝文句とか、「広告予算が無いからクチコミで何とかしたい」というような発言を聞くことがありますが。
 実際には、この二人のケースのように、相当の準備時間や手間というコストがかかるのを忘れがちなように思います。
 また、他の人が今日いきなり、このやり方をそのまま形だけ、真似て上手くいくかといえば、そんなこともありえません。
 著者の二人自身が、日々ブログを書きながらブログのクチコミについて考えているからこそ、ブログのクチコミを発生するためのエネルギーを肌で感じているからこそ、他のブロガーとの関係ができているからこそ、そして本の内容がクチコミに足るものだからこそ、出版社や編集担当者の理解と支援があるからこそ、生まれていると言うことだと思います。 
 
 まぁ、そういう意味では、普通の人が真似しようとして真似できるクチコミマーケティングの事例ではありませんが。
 クチコミの技術は、その本だけでなく、本自体のプロモーションのプロセスも、ブログでクチコミを成功させるためのヒントが一杯のクチコミマーケティングの良いサンプルと言えるような気がします。

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“「クチコミの技術」に見るブログクチコミの威力” への3件のフィードバック

  1. クチコミは神田先生の『口コミ伝染病』を読んだときからずっと注目していましたが、なかなか実践できませんでした。
    アメリカでもバイラル・マーケティングだとか、Words of Mouthだとか行って流行っているようですが。。。
    この本を読んで、まじめにクチコミに取り組んでみようかな。

  2. 初めまして!ブログのことをもっと勉強したくて調べていたらここにたどり着きました。
    こんなすごい情報があったなんてびっくりです。是非参考にさせていただきたいです!

  3. 初めまして!ブログのことをもっと勉強したくて調べていたらここにたどり着きました。
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