SNSの研究 (佐々木 俊尚, 原田 和英, 保田 隆明 他)

SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き? SNSの研究は10人以上の共著者がSNSの光と影について考察している書籍です。
 献本をいただいていたので、遅ればせながら拝読しました。
 最初、SNSの研究の副題に「あなたはまだ「マイミク」のことが好き?」とあるので、一見mixiの解説本かと思いましたが、大きな勘違い。
 
 日本のSNSの歴史的な背景から、今注目のモバげータウンなどのケータイSNS、さらにはTwitterやTumblrなど超最近の事例から、最近のmixiをめぐる可能性や課題の話まで、個性豊かな執筆人がそれぞれの専門分野をカバーする形で、幅広く取り上げられています。
 個人的に特に印象に残ったのは、後半の最近のSNSにおける影の部分の話。
 あまり自分がmixiをそれほど激しく使っていないこともあり、最近の事例をあまり知らなかったのですが、あらためて急成長したコミュニティが悪意のターゲットになったときの課題について、いろいろ考えさせられました。


 もちろん、個人的にはそれをどうやって仕組みやシステムで改善するかというところに興味があるわけですが、まずは問題があることも認識することは重要ですね。
 私のように、なんとなくSNSについて分かったつもりになっている人にお勧めです。
【読書メモ】
■サイバーカスケード
・党派性の強いウェブサイトの15%だけが、対立する視点のウェブサイトにリンクを張っていただけだった(1997年の調査「インターネットは民主主義の敵か」)
「討議による政治的対話を助長するどころか、調査をしたウェブサイトの多くは自らの言論能力の強化を目指し、公開フォーラムのバルカン化を進めることになった」
■mixiを支える3つの位相
・サイバーカスケード
・ソーシャルネットワーキングの概念
・コミュニティ帰属感
■世界ではさまざまな機能に特化したSNSが流行しているが、対して日本のSNSの機能は画一的だ。
■SNSでのクチコミに対する期待と現実
・SNSでのクチコミというのは、思っているほどの効果はない。
・厳密にはクチコミではないが、自社商品・サービスの愛好家を探し出すこと、およびCRM・CSのツールとしては非常に優れている。
■mixiは出会い系というよりも、出会いなおしツールだ
■閉じた2ちゃんねる、開かれたミクシィ
・2ちゃんねるは匿名で、誰もが好き勝手に参加できるが、同質性が強い。
・ミクシィは「超巨大な閉鎖空間」だが、同質性はかなり薄い。

SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き? SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き?
佐々木 俊尚 原田 和英 保田 隆明

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