「キラークエスチョン」は、副題にあるようにイノベーションを生み出すための質問の仕組みについて考察されている書籍です。
献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この書籍は、元ヒューレット・パッカードでパーソナル・システムズ・グループのCTOだったフィル・マッキニーという方が書かれた本で、彼の質問を軸にした「アイデア開発実行システム」が紹介されています。
良い経営者やリーダーは部下への質問の仕方が上手いという話は良く聞きますが、この本ではイノベーションを生み出すための質問のメソッドが丁寧に紹介されています。
イノベーションを生み出すという行為は、アイデアマンが突然思いつくというイメージを持つ人は少なくないと思いますが、正しい質問を重ねていくことで議論の過程からイノベーションを生み出すというアプローチはなかなか興味深いです。
自分はアイデアマンじゃないからイノベーションが生み出せないと思いこんでいる人には参考になる点がある本だと思います。
「イノベーションのジレンマ」や「ブルー・オーシャン戦略」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■良い質問はふたつのカテゴリーに分類される
・事実を確認するための質問
・調査を伴う質問
■ソクラテス・メソッド
教師が畳みかけてくる質問に生徒が答え続けるうちに、持論の正しさが脅かされていくメソッド
カテゴリー: 読書メモ
「できる人」という幻想―4つの強迫観念を乗り越える(常見洋平)
「できる人」という幻想は、ネット上でも武闘派の論客として知られる常見洋平氏の書籍です。
献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この書籍では、タイトルにあるように「できる人」という概念に対して正面から疑問をぶつけています。
実際、採用や人事の現場では今でもこの「できる人」というキーワードは良く聞くように思いますが、あらためて「できる人」ってどんな人かと聞かれると、そのイメージは曖昧としていることが多いように思います。
この書籍では、その「できる人」という概念と、実際の雇用環境の変化について流行語大賞のキーワードなどを軸に、俯瞰的に整理がされていますので、ぼんやりと現在の採用や社員教育に問題意識を持っている人には参考になる点がある本だと思います。
「リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■入社式
社会人になる心構えを説く場であるとともに、社会学や経営学で言う「オリエンテーション」および「組織的社会化」の起点となる儀式とも言える。
■流行語大賞に見る雇用と労働
1989 DODA、24時間戦えますか
2002 内部告発
2003 年収300万円
2006 格差社会
2008 名ばかり管理職
2009 派遣切り
2010 イクメン
2013 ブラック企業
第五の権力 Googleには見えている未来(エリック・シュミット)
「第五の権力 Googleには見えている未来」は、Google 社の元CEOとして有名なエリック・シュミット氏が書かれた書籍です。
今年の2月に献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では、GoogleのCEOをしていたエリック・シュミットならではの視点で、インターネットが普及していく社会がどのように変わっていくかという考察が展開されています。
どちらかというと技術的なトレンドの話ではなく、国家権力や社会自体だどうなるかという視点の本です。
インターネットのバルカン化とかコード戦争とか、未来のテロリストの予測とか、正直読んでいて楽しい話ではないのですが、こういった話を真剣に考えないといけない時代に突入しているのだなと言うのを改めて考えさせられる本だと思います。
実際、無人機によるテロとか、いつ起こってもおかしくないレベルに来てる感じはしますよね。
「逆パノプティコン社会の到来」や「ウィキノミクス」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■インターネットは、無政府状態で何が起こるかを知るための、史上最大の実験場である。
■反転授業
授業を行う代わりに宿題として自宅でビデオを視聴させ、授業時間を使って一般的な宿題、たとえば算数の問題集を、対話を通して教えている。
編集者のように考えよう コンテンツマーケティング27の極意(レベッカ・リーブ)
「コンテンツマーケティング27の極意」は、タイトル通りコンテンツマーケティングのポイントについて考察されている書籍です。
今年の頭に献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
日本語版では「コンテンツマーケティング27の極意」がタイトルで、「編集者のように考えよう」が副題のようにデザインされていますが、原題は英語でデカデカと書かれているように「Think Like a Publisher」なので「パブリッシャーのように考えろ」という感じでしょうか。
ネイティブ広告を巡る議論なんかでも、良く出てくるのがコンテンツか広告かという定義。
基本的な世の中のトレンドとしては、いわゆるマス広告が効きにくくなっているので、ユーザーに知ってもらうためには広告で一方的に届けようとするのではなく、ユーザーが求めるコンテンツを提供するべき、というトレンドなのは間違いないでしょう。
そんな中で、コンテンツマーケティングを従来のマスマーケティングの延長で、いわゆる従来の「広告」主や「広告」代理店というスタンスでコンテンツを作ろうとすると上手くいかないので、思考回路を切り替えてコンテンツを生み出すメディアやパブリッシャーのように考えようというのが、このタイトルに込められたメッセージなのかなと思います。
コンテンツ作りの考え方を、ステップに分けて丁寧に紹介してくれてる本なので、コンテンツマーケティングの基本を俯瞰的に勉強したい人には参考になる点がある本だと思います。
「インバウンド・マーケティング(ブライアン・ハリガン)」と「インバウンドマーケティング(高広伯彦)」や、「エフェクト」を併せて読むのもお勧めです。
ちなみに、コンテンツマーケティングって何だろう?という方はこちらのスライドを読まれるのが良いかと思います。
【読書メモ】
■購買者自身が情報発信者になるのだ。時間やお金を使い、広告や広告キャンペーンでメディアの枠を買ったり、影響力のあるリソースを投下したりするよりも、先進的なマーケターたちは、メディアに”なる”ことにお金を投下しはじめている。
リアルタイムマーケティング 生き残る企業の即断・即決戦略(デイヴィッド・ミーアマン・スコット)
「リアルタイムマーケティング」は、「マーケティングとPRの実践ネット戦略」や「グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ」などの著作でも知られるデイヴィッド・ミーアマン・スコットの書籍です。
大昔に献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
リアルタイムマーケティングというこの書籍自体は日本で出版されたのが2012年4月と2年以上前になるのですが、「リアルタイムマーケティング」というフレーズ自体は、昨年にオレオがスーパーボールの停電の際に機転を利かした投稿を行って大きな話題を呼んだ取り組みがカンヌで受賞したこともあり、日本でも昨年から良く話題に出るキーワードになってきたように思います。
Power out? No problem. pic.twitter.com/dnQ7pOgC
— Oreo Cookie (@Oreo) 2013, 2月 4
・スーパーボウル停電で大勝利:オレオのSNS宣伝チーム
実際日本でもコカコーラさんがワールドカップ中にリアルタイムに試合の様子を元にしたツイートを行って話題を呼んでいましたが、こうしたリアルタイムな取り組みは当然それに応じて多くの人手やコストがかかってくるわけで、実際に日本で本当にリアルタイムな体制を組める企業というのは数少ないのでは無いかなと言うのが正直な印象です。
・コカ・コーラネームボトルで本田のゴールを再現した動画のクオリティが凄い!【ブラジルW杯】
オレオの事例なんか「15人からなる即応体制を組んでいた」らしいですからね。
日本のソーシャルメディアユーザー数を考えると、ここまでやるのはどうなのか、という議論は当然出るのでは無いかなと思います。
ただ、この書籍リアルタイムマーケティングで紹介されている考え方を読むと、そうは言っても今がリアルタイムに対応すべき時代に入っているということをまず理解しておくというのは重要だなと言うのは痛感できると思います。
リアルタイムマーケティングという手法をどう実施するかどうかでは無く、リアルタイムなマーケティングが必要な時代に我々はどうプランし、行動すべきか、ということを学びたいのであれば、この本は参考になる点が多々ある本だと思います。
「グランズウェル」や「マーケティングとPRの実践ネット戦略」を併せて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■United Brakes Guitars
テイラー・ギターのボブ・テイラーは、デイブの動画に対応して独自にTaylor Guitars Responds to United Brakes Guitarsを公開
■関連の動画は二回取り直しをしましたが、わたしがかけた時間は合計で約15分でした。このほかスタッフが、プラン作り、管理、投稿と言った作業に数時間を費やしましたが。
■ユーチューブの再生回数が20万を超えるころには、「デイブ・キャロル仕様旅行用ギターケース」が誕生していた。
■この間ユナイテッドは沈黙を貫いた。リアルタイムの対応をしなかったのだ。
プラットフォームブランディング(川上慎市郎・山口義弘)
「プラットフォームブランディング」は、タイトルから想像できるとおり、新しいブランド戦略について考察されている書籍です。
大昔に献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
ブランドとかブランディングという言葉は、どうしても日本語では無いということもあり、なかなか綺麗に理解できないキーワードの代表だと思うのですが。
この書籍ではそのブランドについて整理をし直すとともに、プラットフォーム発想でブランディングを再定義することを提案されています。
共著者の川上慎市郎さんとはブログの黎明期から面識があり、メディアの構造についていろいろと教えて頂いた存在なのですが、この本もそんな川上さんならではの論理的なまとめがされていて大変刺激になりました。
特に個人的に妙に納得してしまったのは「アンチ勝間が生まれたことは、逆に勝間和代のブランドの価値を生み出し、カツマーを増やす効果を生み出すことに貢献した。」という部分。
アンチが騒ぐことが逆にその人を力強くすると言う、アンチの人たちが聞くとガッカリしそうな話なんですが、この辺の構造はイケダハヤトさんとか安藤美冬さんとかにもあてはまるよなぁと、しみじみ納得してしまいました。
いわゆる広告的なブランディングでは無く、一歩引いた構造論としてブランドを考え直してみたい方には、参考になる点がある本だと思います。
「GROW 本当のブランド戦略について語ろう」や「マーケティング3.0」を併せて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■日本のサービス産業の生産性が国際的に低いのは、ものづくりにどっぷりつかってきた日本人の常識が通用しないからだ
■ブランドに対する3つの誤解
・ブランドは広告で形成するイメージのことである
・ブランドとは高級品のことである
・ブランドとはCI、つまりネーミングとロゴのことである
■生活者のブランド評価=体験の魅力度×体験の量・時間×体験の一貫性