マーケティングとPRの実践ネット戦略 (デビッド・マーマン・スコット)

4822247201 「マーケティングとPRの実践ネット戦略」は、News2uの取締役をされており、先日のWiredのiPhone記事騒動でも話題になった平田大治さんが翻訳を担当されたネットPRについての書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 「ブログスフィア」のロバート・スコーブルが序文を書いていることでも分かるように、この本の著者は米国のブログ環境を非常に理解している人物です。
 本人自身が自ら体験したことをまとめ、そのまとめた内容の電子ブックをブログで公開し、その反響も含めて改善している内容ですから、1つ1つの発言やアドバイスが非常に具体的で示唆に富んでいます。
 インターネットを活用したマーケティングやPRに携わる方にとっては、必読書の一つと言えるのではないでしょうか。
 「グランズウェル」や「戦略PR」と合わせて読むのもオススメです。
【読書メモ】
■多くの人がウェブという新しいメディアに対し、古ぼけた広告手法やメディアの考え方を当てはめようとして、目も当てられない結果に終わっている
■ウェブ以前は、「高額な広告を購入する」「メディアに取り上げてもらう」という2つの選択肢しかなかった。しかし、このルールは変わった。
■マーケティングやPRで成功するためには、大きなメディアの記事で取り上げられることは忘れた方が良い(ジェフリー・アイゼンバーグ)
 これは農業のようなもので、一攫千金を夢見るのではなく、こつこつと耕し続けてこそ大きな収穫につながるのであり、「ごくふつうの人間に働きかけてこそ、でっかいヒットにつながる」
■ブログを読んでいない人はしばしばブログを誤解する。ジャーナリストやマーケティングとPRの専門家は、ブログを自分たちになじみのある雑誌や新聞と比べて否定しようとする。
■ブログの使い方の3ステップ
1.自社や、商品、市場などについて、大勢のブロガーがどのようなことをいっているのかを観察する
2.他人のブログにコメントし、そこで交わされる会話に参加する
3.自分のブログを立ち上げ、会話を始め、他の人に場を提供する
■企業の広報部というものは、自社のことについてばかり書いてくれるブログに関心を向けがちだ。だが、ブログを観察すると、自分のマーケットに影響力のあるブロガーが十人ぐらいいることがわかる。
■コーポレートガバナンスのガイドライン
 ブログに焦点を当ててガイドラインを作るよりも、人々の行動に焦点を当てた方がいい


■「あなたが発信しているものが、あなた自信を表す」(スティーブ・ゴールドステイン アラクラCEO)
■何百万人もの人がメディアを通さずに直接プレスリリースを呼んでいる。もはや人々に直接話しかけなくてはならい。
■ネット上で起きたことには、ネット上で速やかに反応しなければならない
 議論が行われている場所ですぐ、正直に対応する。
■バイラル現象を保証するようなマーケティングプログラムは、事実上作成できないのだ。バイラルが起きるには、非常に多くの幸運とタイミングが欠かせない。
■ウェブで成功するためにマーケティングとPRの戦略を立てるには、自社の目標についてよく考え、まず顧客に対して意識を集中する必要がある。
■ソートリーダーシップの戦略
 ソートリーダーシップのコンテンツは、対象となる人々が抱える問題を解決するものであり、自社や製品について言及するべきではない。
■「マーケッターはできるだけ多くの形式でメッセージを伝えるべきだ。たとえメッセージの内容が同じだとしても、違うグループの人たち訴えることができる」(テッド・デモポウロス)
■昔ながらのPR担当者ならおかしいと思うことをやるべきだ。記者だけでなく顧客のためにメディアルームを作ろう。
■多数の記者へめがけて、無関係のPR資料をたくさん送りつけるのは、自分たちへの関心を持ってもらうためのよい戦略とはいえない。
■有名なブロガーに取り上げられるのは、マスコミに取り上げられることにつながります(ジョン・ブロッソン)
■特定の媒体にアプローチする方法
・1人の記者に絞る
・記者が大きな絵を描けるようにする
・顧客がどのように商品を使っているのか説明する
・メールにファイルを添付しない
・すぐにフォローアップの連絡を入れる
・売り込んで欲しいと思われていることを忘れるな
■私自身、ブログは仕事や人生を変えうるものだと信じているが、ブログを経験したことのない人にとっては、こくした主張がいくらか不思議に見えるだろう。
■社員ブログで注意を払うべきポイント
・透明性
・プライバシー
・情報の公開
・誠実さ
・敬意
■効果的なランディングページを作るための指針
・短いコピー、シンプルなグラフィックス
・企業のイメージに合ったページにする
・見込み客の視点で書く
・コミュニケーションの手段であって宣伝ではない
・満足している顧客の言葉を引用する
・自己完結したページにする
・呼びかけは分かりやすく、簡単に反応できるように
・複数の呼びかけを用意する
・必要な情報だけ入力してもらう
・フォローアップを忘れないように

4822247201 マーケティングとPRの実践ネット戦略
神原 弥奈子 平田 大治
日経BP社 2009-02-11

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