「できる人」という幻想―4つの強迫観念を乗り越える(常見洋平)

4140884339 「できる人」という幻想は、ネット上でも武闘派の論客として知られる常見洋平氏の書籍です。
 献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この書籍では、タイトルにあるように「できる人」という概念に対して正面から疑問をぶつけています。
 実際、採用や人事の現場では今でもこの「できる人」というキーワードは良く聞くように思いますが、あらためて「できる人」ってどんな人かと聞かれると、そのイメージは曖昧としていることが多いように思います。
 
 この書籍では、その「できる人」という概念と、実際の雇用環境の変化について流行語大賞のキーワードなどを軸に、俯瞰的に整理がされていますので、ぼんやりと現在の採用や社員教育に問題意識を持っている人には参考になる点がある本だと思います。
 「リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■入社式
 社会人になる心構えを説く場であるとともに、社会学や経営学で言う「オリエンテーション」および「組織的社会化」の起点となる儀式とも言える。
■流行語大賞に見る雇用と労働
1989 DODA、24時間戦えますか
2002 内部告発
2003 年収300万円
2006 格差社会
2008 名ばかり管理職
2009 派遣切り
2010 イクメン
2013 ブラック企業


■次第に顕在化する正社員の労働問題
■学生は自己管理できないほどに応募数が増えて、身動きが取れなくなってしまい、企業にはマッチしない学生からのエントリーが増えてしまったのである。
■ジョブズの「驚異のプレゼン」は、大きな悪影響を与えてしまった。
 というのも、奇をてらったプレゼン、ドラマチックなプレゼンが、世の中で期待されていると一部の人たちに勘違いさせてしまたのだ。
■ジョブズのプレゼンの本質は、実は基本に忠実なものだ。ストーリーを作る。ポイントを説明する。メリットを説明する。
■「経営の才は、後天的に習得するものである。それも99%意欲と努力の産物である」(リクルート江副氏)

4140884339 「できる人」という幻想―4つの強迫観念を乗り越える (NHK出版新書 433)
常見 陽平
NHK出版 2014-04-09

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