イベント主催者がイベント後の参加者の批判に反論するのは、時既に遅しという現実。

 先週末に開催された東京ブロガーミートアップが起点になって、イベント運営論が盛り上がっているようです。
 私自身は三連休ネットから離れていた上に、連休明けはadtechでバタバタしていてすっかり話題に乗り遅れているのが正直なところですが、ひょんなところで誤解している人から火の粉も飛んできてるようなので、まとめて思うところを書いておきたいと思います。
 各所でまとめられていますが、今回の話の経緯を知らない方に時系列で説明するとこんな感じ。
 まず、9月10日の東京ブロガーミートアップに参加された方から、イベントに対する批判記事が9月12日にアップ。
イベントを開催するという事は人の時間を預かるということ→あまりにも素人仕切りの【第22回東京ブロガーミートアップ】 : たのっちのぶろぐ by @tanocchi
140921tbmu1.png
 それに対して、主催者の一人であるちわわのままさんが、我慢できずにブログでガチ反論。
東京ブロガーミートアップにつきまして
 並行して元代表の脇村さんや現代表の明日香さんが謝罪やフォローのエントリーを書くも。
第22回東京ブロガーミートアップ運営での不手際のお詫び : ムジログ
第22回東京ブロガーミートアップでのお詫びにつきまして #tbmu | め~んずスタジオ
 ちわわのままさんの記事に対して、イベントにも参加していた鳴海さんが突っ込んだことで話題度アップ。
東京ブロガーミートアップに参加した率直な感想 : Blog @narumi
 結局、やまもといちろうBLOGにまで取り上げられる結果になっています。
超勉強になる勉強会が勉強会後に開かれている件で: やまもといちろうBLOG(ブログ)
 
 鳴海さんとやまもとさんのコンボまで展開したということで、今月のネット話題の一つには確定した感じでしょうか。
 やっぱり、ブログ論とかイベント論とか、こういうテーマは議論が盛り上がりますね。
 やまもとさんとか、最初から記事が取り下げられる前提で、魚拓サイトにリンクしてますからね、怖いです。
 まぁ、この話については各所で総括されているように、東京ブロガーミートアップが参加者にイベント後の率直なアウトプットを求めているのに、批判に対して主催者が感情的に反論してしまった点につきると思います。
 個人的にも、よくイベントを主催する側としても、気持ちは凄い分かるんですけどね。


 ちなみに、東京ブロガーミートアップは、告知ページを見て頂ければ分かるように、AMNで告知をお手伝いしているイベントですし、主催者の方々はAMNのパートナーにもなって頂いている方々が中心です。
 140921tbmu2.png
 実際の運営には私は関わっていませんし、私自身、過去に参加したにもかかわらずその際のブログレポートを実はまだ書いていなかったりするので、その後参加しづらくなっているという幽霊部員状態な訳ですが。
 何でAMNで告知を手伝っているかというと理由は簡単で、私自身が昔企画していたAMNブロガー勉強会が自分で続けられなくなったので、それに近いコンセプトで運営されている東京ブロガーミートアップを応援したいから、です。
 なので、この記事はそういうスタンスの人間が書いていると思って読んで下さい。
 ちわわのままさんのエントリーの書き出しを見ると、「昨夜、新潟に向かって車で出かけたものの、車の調子が悪くなり、三芳パーキングエリアに入り、JAFを呼んで、ちょっとiPadを開いたときに、この騒ぎを知りました。」とあるので、移動中に車がトラブってイライラしているときに、今回の批判記事を見てしまい、我慢できなくなって長文の反論記事を書いてしまったのでしょう。
 私も、今までいろんなイベントを主催させて頂き、大量に批判を頂いていますので、気持ちは良く分かります。
 実際、昨年主催した「イケダハヤト×やまもといちろう対談」では、司会がしゃべり過ぎとリアルタイムで批判を頂きましたし。ブログ10周年をテーマに1000人を超える応募を集めることにこだわったブロガーサミットも、賛否含めて様々な意見をもらいました。
 そういう大きいイベント終わって疲れてるときに、いきなり正面から批判を食らうと、カッとなって反論したくなるんですよね。
 でも、こういう批判が出る現象ってイベントの規模がそれまでより大きくなると、必ず発生するものなんですよね。
 東京ブロガーミートアップは通常20名ぐらいの比較的顔見知りの人を中心に運営されているイベント(勉強会かイベントかという定義はこの際おいといて)だと認識してますが、今回それを拡大することによって、普段の東京ブロガーミートアップを知らない人が多く来る、というのが今回が特別だった理由だと思います。
 やまもといちろう×イケダハヤト対談イベントでも自分自身思い知りましたが、あのイベントではやまもとさんとイケダさんの対談の仕切りを一度提案して断られた私に、再度やまもとさんが仕切りを振ってきた、という立て付けだったので。
 私自身からすると、無茶振りされた分、募集とか会場探しとか苦労した分、イベント自体は私の好きなように運営させてもらいますよ、という思いで当日の司会をやってたわけですが。
やまもといちろう×イケダハヤト対談イベントのお礼と寄付方針等のご報告 #ブログ論争
 130412yamaike.png
 その経緯をブログで見ながら、わざわざお金を払って会場に足を運んでくれた人は、それに違和感をあまり感じていなかったものの、ネット中継で見てる人たちから多数の批判をもらってしまうという構造になってしまいました。
 でも冷静に考えれば当たり前ですよね、ネット中継側の告知は「やまもといちろう×イケダハヤト対談イベント」って書いてあって、私の名前とか苦労なんかこれっぽちも書いてないわけですから、当日たまたま見かけて二人のバトルだけを覗きにきた人からすると、徳力ってお前誰だよ状態なわけです。
 そりゃ批判もしますよね。
 それまで一人もんもんと心労を抱えてイベント当日を迎えた私からしたら、なんでこんな俺の苦労も知らない人に鬼畜呼ばわりされなきゃならないんだ、とかむくむくと黒い感情が湧いてきたりもするわけですが。仕方ないんですよね。
 イベント参加者にはイベント告知情報しか得られる情報は無くって、それ以前の私の苦労とか人生とかイベントの経緯とか、知らない方が当たり前なわけです。
 なので、イベントに対する批判を受けてから反論しても、実は時既に遅し。
 イベントを主催する側は、イベント募集時にできるだけ説明を尽くし、イベント運営時にできるだけフォローをし、イベント参加者から不満や批判が出ないように努力するしかないんじゃないかなぁと思うわけです。
 私個人としても会社としても、今までにいろんなイベントを企画しましたが、満足するよりは反省することの方が多かったですし、毎回イベント前は不安になります。
 企業のイベント支援をする機会も非常に多いですが、毎回今回の批判のようにならないように、事前にうちの会社の「イベント」は、いわゆるプロが設計するイベントではなく、どちらかというとカジュアルな勉強会に近いことを企業の担当者にも毎回事前に説明(言い訳?)するように努めています。
 で、そこまでやっても、批判されるときは批判されます。
 ブロガーサミットの時も、それはもういろんなご意見を頂きました。
 あの時は10周年なのでとにかく1000人を超える申込みを集めるという一点を目標にしていたので、かなりいろんな方に無理をお願いしてご迷惑をおかけしたと認識しています。
ブロガーサミットを終えて。ご協力頂いた方々への感謝とお詫びと本音トーク。
130807bloggersummit1.png
 当然人によって「ブロガー」という定義とかイメージとかコミュニティが全く違うわけで、それを一堂に会して同じ人と扱うこと自体がかなり無理があるんですよね。
 でも、個人的にはそんな人たちが一カ所に集まったときに生まれた化学反応が見たいから無理をするわけで。
 協力頂いた方々の努力とか、あの規模のイベントが無料で開催できてることへの驚きとか全く感じていただけない人からの批判とか、正直読んでいても悔しさしか湧いてこないわけですが。
 それはそれで、自分が1000人を選択した時点で目に見えていた問題なので、いざイベントが終わってしまったら、お詫びし、反省し、消化するしかないわけです。
 私自身は、イベント前に何本もブロガーサミット開催の背景とか思いとかアップして説明に努めたつもりですが、当然読んでこない人たちの方が多いですし、1000人全員に主催側の思いを事前のブログで伝えるのとか現実的じゃないですよね。
 人数が増えれば増えるほど、誤解する人も増えるし、イベントの序盤だけ見て全体を判断されてしまったりとか、セッションを多数増やすことで興味の無いセッションが増えたりとか、100%参加者全員に満足してもらうとか無理なわけです。
(なので、ブロガーサミット今年もやらないんですか?と期待して頂いても、私はやれません。少なくとも1000人規模のイベントは、10周年ならではの挑戦だったので。)
 でも、せっかく、僕らはブログというイベントの事前事後で思いを伝える手段を持つことができているわけで、そこのコミュニケーションを閉ざしちゃ駄目だと思うんですよね。
 イベント参加者に自分たち同様にネット上でのオープンなアウトプットを求めるのであれば、自分たちの発言が制限されたくないのと同様に、参加者にも自由な発言を許容しないと駄目だと思います。
批判されるのが嫌なんだったら、ツイッターやブログはやめて、Facebookに閉じた方が良い、という話。
 とはいえ、ネット上にもいろんな意見を持っている人がいますし、全ての人に自分の思いを完璧に伝えるのって無理なので、誤解されることもたくさんあります。
 例えば、今回のイベントの関連でも、なぜか清水さんから明らかに誤解に基づくコメントを頂いてしまったりもしているわけです。
 別に私自身ブロガー代表として名乗ったことはありませんし、ブロガー代表としてメディアに出たりとかもしたことないんですし、呼ばれたこともないんですが、なぜか清水さんの記事では私がブロガー代表を名乗っている人として紹介されてたりします。
 そういう勘違いをした紹介を受けるときは個人的にも徹底的に否定するようにしているんですが、それでも清水さんにはこう見えちゃってるということなんですよね。
 私のブログが大して面白くないと言われてる点は反論のしようが無いですし、私はAMNに転職することを選んだ時点で、ブロガーではなく、ブロガーを支援することをビジネスにする会社の社員であることを選んだわけで。
 そういう意味で、名刺にはブロガーとまだ刷ってはいますが、本業は企業の人たちにユーザーとのコミュニケーションの可能性を啓蒙することで、もはやブロガーではなくなってしまっているわけです。
 でも、そんな自分にとっては悲しい究極の選択をしていることとか。
 AMNに誘われたときに、自分自身はブロガーで居続けたいから、AMNに転職してブロガーの友達を商品として扱わなければいけない立場になるのが嫌で、誘いを断り続けたこととか。
 でも、百式の田口さんとか、シックスアパートの平田さんとか、コグレさんとかいしたにさんとかいろんな人に相談して背中を押してもらった結果、結局ブロガーである自分をあきらめて、ブログに恩返しするつもりでAMNに入る決断をしたこととか。
 その結果、仕事上お客さんの商品やサービスについてのブログは明らかに書きづらくなったし、自分自身クチコミマーケティングのガイドラインを提唱するWOMマーケティング協議会立ち上げの言い出しっぺでもあり、ステマに対してかなり高い基準で行動しなければいけないという足かせを自ら課していたところに、トレンダーズの元社長さんがステマ的なブログで炎上したりするから、同業種である私はますます慎重に行動せざるを得なくなって、ブログがますます自由に書きづらくなってしまって悩んでいたりすることとか。
 昨年のやまもといちろう×イケダハヤト対談を手伝ったりしたせいで、私のことを知らない代理店の人が徳力はネットで炎上させる側の人間だと勘違いされてたりして、すごいショックを受けたこととか。
 そんなこんなで、AMNの社長を交代したので、もう少し今年はのんびり楽しくブログを書けるようになるかなと思っていたら、アンバサダープログラム周辺の本業が忙しくなってあんまりそんな余裕がなくなってしまったこととか。
 そういう悩みとか試行錯誤とか、世の中全員の人に理解してもらうのとか無理なんですよね。
 清水さんなんて、何度も面識ある上に、2年ぐらい前にラスベガスのホテルでたまたま遭遇して2時間ぐらい語り明かした仲だったりするのに、それでもこうやって誤解されてしまうわけで。
 やっぱり全てを分かってもらえないのが当たり前と考えた方が良いんじゃないかなと思ったりもします。
 当然誤解されるのはショックですけど。
 
 なんか、明らかに話がイベントから逸れてしまっている気もしますが。
 でも、少なくともイベント内容を参加者に批判してもらえることで、そういう見方をしている人もいるんだということに気づくことができますし、次回以降の振る舞いを変えることでその誤解を解く努力をすることもできるわけで。
 イベントの内容を批判してもらえるということは、期待されていることと考えて、前に向く方が良いのではないかなと思います。
 イベントを主催していると、楽しい経験もいろいろある反面、いろいろ騒動やトラブルもあると思いますが、長い目で見ると必ずそうしたものは自分の糧になってくると思いますので。
 東京ブロガーミートアップのメンバーの皆さんには、是非今回の批判や騒動を、前向きなエネルギーに変えていただき、謝るべき人には謝り、直すべきところは直し、ぶれるべきでないところはぶらさずに、引き続きイベントや勉強会を楽しんで頂きたいなぁと心の底から思います。