ブロガーサミットで私が表現したいのは、「ブロガー」は特殊な存在ではなく、車を運転する「ドライバー」と同じで、選択してるかしてないかの違いでしかないということ。

 いよいよ、恐ろしいことにブロガーサミットまであと一日となってしまいました。
 お陰様で先日の「どうせやるならブログバトルサミットとか、ネット炎上サミットの方が盛り上がるんじゃないかというご提案に対するお返事」という記事以降も、いろんな方にブログ10周年のイベントなんだから、こんなことやって欲しいとか、ブロガーサミットと言うからにはかくあるべき、というご意見を頂戴していて、ハードルの高さにイベント前うつ状態になりつつある今日この頃ですが。
 参加頂く方に誤解の無いように、今回のブロガーサミットを企画した私の個人的なブロガーサミットの目標を書いておきたいと思います。
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 ここしばらくの長々した私の記事を読んで頂いている方なら何となく伝わっていると思いますが、私が今回のブロガーサミットで密かに目標にしているのは、「ブログ」とか「ブロガー」を勘違いしている人たちの誤解を解きたいということです。
 もちろん、もともとがブログ10周年という文脈から始まったので、当然歴史振り返り的な文脈があり、そこから企画が始まったのは事実です。
 最初に私が明確に今年ブロガーサミットをやるとブログに書いたのは昨年12月のブロガー忘年会のころ。
12月19日(木)のブロガー大忘年会では、来年のブログ10周年に向けて何をやれば面白そうか、是非意見を聞かせて下さい。
 この頃は「ブロガーばかり300名ぐらい集めたブロガーサミット」と書いてますから、思えば遠くまできたもんです。
 多くの方々に助けて頂き、会場の規模を1000名規模に倍増してしまった段階で、コアなブロガー中心で10周年を祝うという文脈は私にとってサブテーマとなり、10年続いたブログやブロガー的なものの面白さを、もっと多くの人に分かってもらうにはどうすれば良いか、もっとブロガー的な人を増やすにはどうすればいいのか、今後10年をもっと面白くするにはどうすればいいか、というのが私のメインテーマになっています。
 まぁ、今振り返ると同じようなことは一応、AMNが6周年を迎えた2月にも書いてるんですけどね。
AMNは本日6周年を迎えることができました。今年はブログ10周年の年でもありますので、ブロガーサミットとか全国ブロガーツアーとかやりたいと思ってます。手伝って頂ける方募集中です。
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 10年前から、ブロガー的な人がもっと日本でも増えればいいな、と妄想してきた私にとって、ずっと課題としてひっかかっているのは、私の「代表取締役 ブロガー」という肩書の名刺を見た人とかが、よく私に発する下記の二つの発言です。
A:「ブログとかやってみようかと思ってるんだけど、今更感ありますよね」
B:「ブログとかやろうかなと思ったことはあるんだけど、私には無理だと思うんだよね」


 前者の「ブログとかやってみようかと思ってるんだけど、今更感ありますよね」という人たちは、ブログという言葉自体を、昔に流行ったサービス、として流行として捉えているんですよね。。
 まぁ、実際mixiやFacebookのようなサービスにおいては、当然サービス毎の競争や栄枯盛衰があるから、あるサービスが流行れば別のサービスが廃れるという関係にあるので、ソーシャルメディアの走りだったブログもその分類に入るのはよく分かります。
 でも、個人がネットを通じて情報発信をできる人、いわゆる広い意味での「ブロガー」になれるようになったというのは、単純に個人がメディアを持つのが不可能な時代から、個人がメディアを持つことができるようになった時代に変わったという大きなトレンドの変化だと思っています。
 先日も「ブロガー」と「ドライバー」を同じと考えればと言う話を書きましたが、個人が自動車に乗ることができるようになり一時的にブームになったとしても、それから数年してブームが過ぎたからと言って「クルマの免許とってみようかと思ってるんだけど、今更感ありますよね」とはならないですよね。
 個人が自力で長距離を移動できる「ドライバー」になるのが不可能だった時代から、誰もが「ドライバー」になれる時代への大きな変化が起こったわけで、流行とか今更とか無いと思うんですよね。
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 今、私たちは個人が自力で情報発信をできる「ブロガー」になるのが不可能だった時代から、誰もが「ブロガー」になれる時代の変化の狭間に生きてるわけで。
 流行とか今更とか無いと思うんですよね。
 もちろんだからといって誰もが車の免許とる必要がないように、誰もがブログとかYouTubeとか始める必要は無いわけですが。
 やっぱり、できるんだから、自分が向いてるかどうか「今更」とか言ってる前にやってみたら?と思ったりするわけです。
 前も書きましたけど、Googleトレンドとかで見ても、ブログって別にそんなブームになっても、終わりになってもなく、地道に横一線なんですよね。
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 で、もう一つの「ブログとかやってみたいと思ったことはあるんですけど、私には無理だと思うんですよね」というのは、ブログとかブロガーというものに、何かしらイメージを持っている方々です。
 例えば
 ブログを書くからには他の人が知らない話を書かなければいけない。 とか
 ブログは本を出すのを目標にかくもんだ。 とか
 ブログは毎日書かなければいけない。 とか
 ブログを書くには文章が面白くないといけない。 とか
 ブログをやるなら月間100万PV目指さなければいけない。 とか
 ブログをやるからにはそれで収入を得なければあいけない。 とか
 だから無理だと思うんです、というパターンだと思います。
 日本はやはりなんでも「道」にしたがる国民性ですから、ブログでブログ論を書くと盛り上がるように、さまざまな「ブロガー道」があり、何かの拍子に必ずそういう議論が盛り上がります。
 さっきの「ドライバー」≒「ブロガー」論でいくのであれば、もちろん交通事故を起こして人に迷惑をかけないような、最低限のルールはあるべきだとは思うんですが、現実的には犯罪にならない限りは、別にブログは車と違って免許制なわけでもないですし、「ブログはこう書かねばならない」とか「ブロガーはこうあるべきだ」なんてのは、個人の自由なんですよね。
 やまもといちろうさんのようないわゆる「武闘派ブロガー」は「武闘派ドライバー」と同様で、峠を攻めたりライバルとバトルするのが「ブロガー道」で、たらたら日常の出来事とか日記をつけているのはブロガーじゃないと考えていると思いますし。
 レシピブログを書かれているような「主婦ブロガー」は「主婦ドライバー」と同じで、武闘派ドライバーとか暴走族みたいなブログを見ては眉をひそめて「怖いわねぇ」とか噂話をmixiとかLINEとかでしてるんでしょう。
 プロブロガー本を書いているコグレさんやするぷさんのような「プロブロガー」は当然「プロドライバー」と同じで、自らの技に磨きをかけるための議論を寝ても覚めても日夜繰り広げるのが当然なわけです。
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 当然、自動車教習所でどういう先生につくかで、運転に対する印象が変わるのと同じように、どういうブログを読んでいるかによって、ブログやブロガーに対する印象も大きく変わるはずです。
 かくいう私自身も2003年にブログを始めたときは、本を書くようにブログは整理して章立てて書くべきと思い込んでいて、2回も挫折しているわけですが。
 2004年5月に三度目のチャレンジで始めたブログで、ブログを書くのは友だちにメールを書くのとそんなに変わらないと気がついて、今日に至るという経緯があります。
 当然毎日ブログを書いた方が読者は増えますし、読者を増やして人気ブログになったら副収入も増えるかもしれません。
 でも、それはそれで多大な時間をブログに投入してしまうことになるわけで、投資効率がいいかどうかは他の人生の選択次第。
 自分の人生の中にブログ的な情報発信をどこに位置づけるかなんて個人の自由なんですよね。
 一年に一回しか書かないブログでも、その人には十分意味があるってこともありますし。
 一記事しか書いていないブログで、意外な出会いが生まれると言うことだってあるわけです。
 
 でも。
 情報発信をしない限りは全く何も起こらないんですよね。
 私自身はブログを書いていたおかげで、当時勤めていた会社でクビにならずに済んだ人間ですし。
 黎明期からブログを始めていたことによって、今みたいなブログの10周年イベントを主催させてもらえる側になっている人間ですから、そういう人間がこうやって書くと最初に始めた人たちはいいよな、という反論は必ずくらうのは分かってるんですが。
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 でも、今から始めたって遅いとか、遅くないとかそういう話じゃないんですよね。
 黎明期から始めた私と全く同じ労力で全く同じ結果は得られないかもしれませんが、それでもブロガーになる選択をするかしないかで、その人自身は実は全く違う人生になる可能性があるというのは、これは誰もが全く一緒の条件なんですよね。
 もちろん、やってみて好きになれないから止めるとか、自分には向いてないから二度とやらないとかは当然これも個人の自由。
 ブログなんぞ人から強制されて始めるべきでないのは百も承知です。
 でも、NTT時代の同期とか、大学の時の同級生とかと久しぶりに話をしたりすると、やっぱりまだまだ多くの人はブログとかソーシャルメディアのようなネットの情報発信の意味とか、自分にとっての可能性みたいなものを、大きく勘違いしていると思うんですよね。
「あれはネットのオタクがやるべきものだから、俺たちには関係ない」というような一部偏見に基づく思い込みもあれば。
「自分が情報発信したところで誰の役にも立たない」というような自分に対する過小評価もあり。
 当然、そうやって思い込んでいるのもこれまた個人の自由で自己責任な話ではあるんですが、やっぱり個人的にはもっと多くの人に「ブロガー」には誰でも簡単になれること、「ブロガー」になることでいろんなことが楽になったり楽しくなったりする可能性があること、別に無理してやらなくてもいいんだけど一度ぐらいやってみてから向いてないのを確認しても損しないこと、を分かって欲しいなぁと思ったりするわけです。
 友だちと雑談するときに、自分の話なんか誰の役に立たないから話すのやめよう、とか思わないですよね。
 でも、一見なんの役にも立たないその雑談が、誰かの何かのきっかけとかヒントになったりするから面白いわけです。
 まぁ、細かいことを言うと、私自身はブログを書くか書かないかという選択は、映画「マトリックス」のモーフィアスが、赤い薬と青い薬をだしてネオに選択をさせるシーンと凄い似てると思ってるんですが。
 この話はマニアックすぎて映画見てない人には全く伝わらなさそうなので、またの機会に書くとして。
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 ということで、今回のブロガーサミットで私が議論したいのは、個人がブロガーになれるというのはどういう意味を持つのか、ということであり、ブログ10周年記念イベントではあるものの、このイベントでメインのテーマにするのは情報発信をする人間である「ブロガー」です。
 当然10年の振り返りも、ブログサービス自体についての議論もありますが、私の中での議論の軸は常に、誰でもがネットで情報発信をする「ブロガー」になれるし、好むと好まざるとにかかわらずなっているという事実です。
 昼から晩まで、基本的にはそのテーマをああでもないこうでもないと議論するためのセッションを並べていて、凄いハードな一日になると思いますし。
 私が話を聞きたい人をパネリストにお呼びして、私が聞きたい話を聞く立て付けなのでマニアックな話が多くなると思いますし。
 私の思いつきで1000名規模に拡張してしまった関係で、いろんなところに無理がでていて、いろんな方のご協力を得ながらなんとかこの日にたどり着いた状態なので、おそらく至らないところも多々あると思いますが。
 皆さんが、何か小さくてもよいので新しいきっかけとか出会いとかに遭遇して頂けるよう、一日頑張りますので。
 参加頂ける皆さん、当日はよろしくお願い致します。
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どうせやるならブログバトルサミットとか、ネット炎上サミットの方が盛り上がるんじゃないかというご提案に対するお返事