ツイッターやFacebookの次はまたブログが流行ると考えて、ブログを今から始めるつもりなら大間違いという話。

 先週、こんな記事がブロガー界隈でちょっとした話題になってました。
「TwitterやFacebookの次は何が来るか」だって?そりゃお前、ブログに決まってんだろ! – イケダノリユキブログ
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 この記事に下記のようにやまもといちろうさんが被せていたので混乱してる人も多いようですが、こっちのイケダさんはイケダハヤトさんじゃなくて、イケダノリユキさんです。
このブログをどっちの方向へ進めていくのがいいんだろうね会議: やまもといちろうBLOG(ブログ)
 上記の記事については何の異論もなく、別に普通にスルーしてたんですが、ちょっと気になってるのがその後にそれを受けてブログを書いている人たちやツイッター上の反応。
 イケダさんの記事ではちょっと釣りっぽいタイトルになってるので、タイトルだけ読むとTwitterやFacebookブームの後にまたブログブームが来るように読めてしまうかもしれませんが、実際の記事中ではイケダさんはそんなこと言ってません。
 TwitterやFacebookの次にどんなサービスが流行るのか予想して、それをほかの人よりも「いち早く活用して、一目置かれる存在になりたいんです」と言っている人に、そんなこと言っている暇があるならブログを書いた方が早いよ、って言ってるんですよね。
 別にまたブログブームが来るとか一言も言ってません。
 
 実際、何度もソーシャルメディアサミットの時に紹介してますが、日本においてはウェブサービスは流行語大賞とともに、一年で最先端の注目のサービスの座を追われるという不思議なサイクルを繰り返してきています。
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 こういう視点で見るのに慣れている人からすると、FacebookすらLINEに負けて伸び悩んでいるサービスということになってしまうらしく、気が早い人はLINEの次は何が来るのかという議論を始めているようです。
 そんなところに、イケダさんがこの記事をぶっこんできたわけですから、タイトルだけ読んでやっぱりそうか、これからはブログだ、とか言い出す人がいるのは、まぁ分からなくもありません。


 シロクマの屑籠さんでこんな記事も上がってました。(※ブログの名前を誤って書いてました(汗)謹んでお詫びいたします。)
ブログがSNSにトラフィックを奪われる時代は終わった。ブログがSNSからトラフィックを集める時代が始まっている。
 記事の内容自体には合意で、特に異論はないんですが、あえて指摘しておきたいのはタイトルの部分。
 実はここ数年ブログがSNSに奪われていたのはトラフィックではなく、時代の注目だけだったということです。
 私が知る限り、多くのブロガーの人たちでは、実はツイッターブームの間もFacebookブームの間もトラフィックが減少したりはしてません。
 なぜかというとツイッターもFacebookも最初からブログにトラフィックをもたらしてくれるルートであり、競争相手ではないからです。
 新時代を象徴する時代の寵児の役割は、ブログブームの後、mixi、ツイッター、Facebookと次々に変遷していきましたが、実はこれらのサービスは利用者にとって友達の発言を一括してみるためのメールボックスの位置づけであり、タイムライン側のサービス。
 ブログやYouTubeはストック側のサービスであり、位置づけが全く異なります。
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 似たようなことは下記でも書いたので参考にしていただければと思いますが、タイムライン側はユーザーが最初にアクセスするサービスの地位の奪い合いという意味で、常に激しいトレンドとの戦いがあるわけですが、コンテンツ側のサービスはその内容自体が重要なのであり、これから流行るとか時代遅れとか、そういう話ではなく続ければ続けるほど価値が出てくるメディアなわけです。
今更ブログ始めるのって時代遅れですよね?という質問に対する自分なりの回答
 
 実際、Googleトレンドで各サービスの検索回数のグラフを見てみるとこんな感じ。
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 ちょっと文字が小さいので詳しく見たい人は画像をクリックして自分で見てもらえればと思いますが。
 Facebookの検索回数がデータの間違いか何かで無駄に跳ね上がっているのは無視していただくとして、mixi、twitter、facebookの検索数が入れ替わりをしているのに対し、ブログが一時的に中だるみしたことはあっても、継続して検索され続けているのが良くわかると思います。
 もちろん、このデータはあくまでPCの検索が中心と思われるので、モバイル中心のSNSのトレンドは割り引いてみる必要があります。
 ただ、ブログが安定して検索されている点については非常にわかりやすいグラフだといえると思います。
 実はツイッターやFacebookの登場でブログが失ったのは、「読者」ではなく「書き手」なんですよね。
 ある程度長めのコンテンツを書くことを要求するブログに比べ、ツイッターやFacebookは一言、一枚の写真から情報共有しやすく、リアクションもすぐ見えるので書き手側としては楽なメディアです。
 そのため、ツイッターブーム以降、コミュニケーションを目的にブログを活用していた人の多くがツイッターやSNSに流れ、ブログの書き手は実際減ったと感じてます。 
 でも、実はブログの書き手が減るというのは読者獲得競争という意味ではライバルが減っているので続けている人にとっては良いんですよね。
 SNSにおいては、サービスのユーザーが減ること自体が書き手も読み手も減ることを意味しますが。
 ブログにおいては、書き手と読み手が同じサービスを使っている必要はありません。
 当然、ブログでは読者を自分で連れてこないといけないのに対し、流行っている最中のSNSはアクティビティがサービス全体であがってますから参加するだけで祭りの参加者になることができます。
 でも、その分実はその発言やコンテンツはすべてサービス側のものであり、フローとして流れて行ってしまいます。
 ブログやYouTubeはそれに対して、自分のコンテンツのファンというのが徐々にではありますが着実に蓄積していくことで、名刺代わりになり、自分の履歴書代わりになり、ついにはコピーロボット的な役割を果たすメディアになってくれる可能性を秘めているわけです。
 最近AMNブロガーTVに出ていただいたゲストの活動を、ブログにまとめてみてますが、彼らがこういうブログならではの普通に生活していたのではめぐり合わない機会に巡り合えているのは、彼ら自身の能力や努力はもちろんですが、ブログをブームに乗って書き始めたからではなく、ブームと関係なくブログを続け、ブログやソーシャルメディアを通じてであった出会いを大事にし、そのアウトプットをまたブログに還元し、というサイクルを1年、5年、10年と続けてきているからです。
ブログのつながりでコワーキングカフェから人狼のゲーム会社まで次々に手がけてる白坂翔さんの事例
最初はブログでたまたま始めたことでも、4年も継続すると人気テレビドラマの取材すらできるようになることがあると言う櫛井さんの実話。
プレゼンの世界大会とも言えるTED2013に、日本人代表としてBLACKさんが出場することが、どれぐらい凄いことかという話
 当然、ブログ黎明期にブログを始めた人の方が読者を捕まえやすかったのは事実ですが、後発でブログを始めた人でも地道に続けることで多くのファンを捕まえている若いブログの書き手というのも実は数多く存在します。
 だからこそ、これからブログが流行るからその波にのるために今からブログを書く、というスタンスで始めるのは大間違いです。
 ぜひ、将来の自分のための積立投資ぐらいのゆるい期待感で始めてほしいなと思います。
 8月にはブロガーサミットというそんなブログ10周年について語るイベントも予定してますので、興味がある人とは是非一緒に議論したいと思います。
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 まぁ、いずれにしても、ブログを書き続けて、ブログを通じてめぐり合う出会いを大事にしていれば、ブログを書かなければ得られなかった良いことがいつかきっと起こるのは私が保証します。
 でも、そこまでいくのに人によっては数か月かかるかも知れませんし数年かかるかもしれません。
 ブームになると思ってブログを始めて、実際ブームになったところで、しょせんお祭りは一年ぐらいで終わりますので、是非気長に続けるからこそ意味あるブログの価値というのを多くの人に感じてほしいなぁと思う今日この頃です。
追伸
 この流れで、4月12日のイベントに、イケダノリユキさんも乱入してダブルイケダvsやまもといちろうみたいな流れを期待している人がいたら、ごめんなさい。違います。多分。
(イケダノリユキさん、当日会場でお待ちしております)