インバウンドマーケティング(高広伯彦)を読むと、インバウンドマーケティングとは新しいツールを使う手法のことではなく、今の時代に合わせた新しい考え方であることがわかると思います。

4797372192 「インバウンドマーケティング」は、「次世代コミュニケーションプランニング 」や「フェイスブックインパクト」などの著書でも知られる高広伯彦さんの書籍です。
 インバウンドマーケティングとアンバサダーマーケティングのダブル出版記念セミナーをさせていただく関係もあり献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 インバウンドマーケティングの書籍というと、本家Hubspotのブライアン・ハリガンが書いた「インバウンド・マーケティング」が草分けであり、インバウンドマーケティングに携わる人のためのバイブルであると思います。
 ただ一方で、この書籍の原著が出版されたのは2009年ですし、実務的な内容が多く含まれる書籍だったのもあり、それからインバウンドマーケティング自体が業界として盛り上がるにつれ内容が古くなっていた感があるのは否めないでしょう。
 そういう意味で、今回の高広さんの「インバウンドマーケティング」には、Hubspotの最新コンセプトもしっかり反映されていますし、ブライアン・ハリガンの書籍の正統進化としての手引書といえると思います。
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 インバウンドマーケティング自体は、アウトバウンドに対するインバウンドというシンプルさゆえか、誰にでもイメージしやすい一方で、いろいろな誤解を生んでいるコンセプトのようにも思います。
 AMNでも最近「アンバサダー・ラボ」というブログをHubspotで立ち上げてみて、インバウンドマーケティングの勉強をし直してみているのですが。
 この書籍に出てくる「マーケティングってそもそも嫌われていて、マーケターは嫌われ者だったんじゃないかな」という問題提起から、マーケティングを愛されるものにするというビジョンを軸として、インバウンドマーケティングを考えると、インバウンドマーケティングというのは何か特殊なツールを使って動向ということ自体が本質ではなく、時代の変化に合わせた新しいマーケティングのコンセプトであり考え方であるというのが腹に落ちてくるのではないかなと思います。
  
 インバウンドマーケティングが気になりつつも、あまりしっかりと知ろうとしていなかったという方には参考になる点が多々ある本だと思います。 
 ブライアン・ハリガンの「インバウンド・マーケティング」はもちろん、「[徳力]グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ 」や「マーケティングとPRの実践ネット戦略」、「グランズウェル」と合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■インバウンドマーケティングのポイント
・マーケター側では無く、人々のタイムライン(時間軸)に合わせたマーケティングを行う
・マーケティングを好かれるものにしよう
■「マーケティングってそもそも嫌われていて、マーケターは嫌われ者だったんじゃないかな」(ブライアン・ハリガン)


■ZMOT「Zero Moment of Truth」
 人々は店頭に行く前にいろいろ調べてからモノを買っているんじゃないか?
 
■インバウンドマーケティングメソドロジー
・潜在顧客→訪問者→リード→顧客→推奨客
・Attract 惹きつける
 ブログ、ソーシャルメディア、キーワード、ウェブページ
・Convert 転換させる
 CTA、ランディングページ、フォーム、コンタクト情報
・Close  顧客化する
 Eメール、オートメーション、リードスコアリング、CRM統合
・Delight 満足させる
 ソーシャルメディア、スマートCTA、Eメール、オートメーション
■インバウンドマーケティングを通じて得る2大マーケティング資産
・コンテンツ
・見込み客リスト
■リードスコアリング
 リードナーチャリングを通じて得られた情報をもとに、1人1人のホッと度合いを把握する方法
■ペルソナの設計
・その人の背景やプロフィール
・勤務している会社の情報
・会社での役割や役職
・求められているゴールとそれを達成するための課題
・ビジネス上の取引・購買を決める際の行動
・普段の情報源
・ビジネスに使うツール
■インバウンドマーケティングの5つのポイント
・どのようなコンテンツを作るのか
・ライフサイクルに応じたマーケティング
・個別に対応したメッセージ
・マルチチャネル
・統合化

4797372192 インバウンドマーケティング
高広 伯彦
ソフトバンククリエイティブ 2013-09-25

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