「メソッド革命」は、メソッドという洗剤メーカーの成功の裏側を描いた書籍です。
大昔に献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
日本においてはメソッドといっても、なんかの方法論か何かを想起する人が多いと思いますが、この本で取り上げられている「メソッド」というのは米国の新興の洗剤会社です。
洗剤というと一般的には超大企業が空中戦を戦っている寡占市場で、ベンチャー会社が参入するような市場ではないと思う人が多いと思いますが、その洗剤市場にメソッドは2001年に参入し、今では世界で最もイノベーティブな企業の一つと呼ばれるようになっているそうです。
日本ではまだまだ知名度は低いと思いますが、ちょうど7月に日本法人ができたところみたいですね。
サイトの雰囲気とか、ある意味ボディショップとかをイメージして頂くと分かりやすいかもしれませんが。
個人的にはザッポスっぽい会社だなとも思いました。
そのあたりはメソッドの使命の一つが「掃除を楽しいものにすること」というのを見て頂くと伝わるのではないかなと思います。
AMNでアンバサダープログラムの説明をする際に、洗剤のようなコモディティ商品はブランドでのファン作りが一般的には難しいというお話をすることも多いんですが、実はそういった市場においても本当に魅力的な尖った商品や会社であれば、熱狂的なファンやアンバサダーは生まれうるんだなというのを思い知らせてくれる本でした。
洗剤の話とあなどることなかれ、自社の特徴をどう出すべきか悩んでいるブランド担当者やマーケティング担当者の方にも是非読んで頂きたい本です。
「ザッポス伝説」や「GROW 本当のブランド戦略について語ろう」を併せて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■洗剤業界の大手企業は自社製品をコモディティとして販売しているが、実のところ消費者は住まいについて強い関心と思い入れをもっている。
■メソッドの使命
・掃除を楽しいものにすること
・きれいにするという行為を、本当にきれいなものにすること
■ウィキウォール
壁一面に広がるホワイトボードに、今後18ヶ月間で達成するあらゆることが、細分化されて記されている。
■もはや、消費者に一つのメッセージを訴えかけながら陰で矛盾する行動をとることなど許されない
■メソッドの価値観リスト
・風変わりな社風を保つ
・冒険野郎マクガイバーならどうする?
・模倣ではなくイノベーション
・コラボレーション、コラボレーション、またコラボレーション
・とことん思いやる
■初めてのランチに出かけよう
二ヶ月に一度、月曜日の朝会の場で三つのかごを使ったくじ引きをする
一つ目のかごからは入社して日の浅いスタッフ
二つ目からは社歴の長いスタッフ
三つ目からはレストランの名前
■メソッドでは面接を7,8回行った上に宿題まで課す
■朝会はまず、その週の進行役が支持者からの手紙を一通読み上げることから始まる
■購入メディアから獲得メディアへのビッグシフト
多くの企業が相変わらず広告枠を購入するのは、人々がいまでも化石燃料を使い続けるのと同じ理由からだ。生き方を大きく変えるのは、想像以上に難しい。
二つのメディアに挟まれながら、大きな変化の時代を生き抜く唯一の方法は、あらゆる形態の購入メディアが獲得メディアにハロー効果を与えるように仕掛けることだ。
■獲得メディアとソーシャルメディアの世界で成功したければ、顧客に語りかける発想から、支持者の共感を呼ぶという発想に転換すべきだ。
■長期的な視点に立てば、幅広い中間層に中途半端な提案をするよりニッチ層に集中的に働きかけた方がはるかに大きな市場が見込める
■一人の相手のために語りかけること
■インターネットの透明性とソーシャルメディアのオープンさは、企業の本音と建て前の矛盾を暴きだし、人々の関心をあなたの発言ではなく行動に向かわせる、
■クリエイティブな仕事を外注せずに社内で行うことには、組織の真実味を引き出す効果もある。
■ブランドの過剰な拡大を防ぐ方法の一つは、売り上げ目標を量から質へ転換することだ。最大数の関係を築くのではなく、最良の関係を築くことを目指さなくてはいけない。
世界で最もイノベーティブな洗剤会社 メソッド革命 エリック・ライアン アダム・ローリー 須川 綾子 ダイヤモンド社 2012-10-13 by G-Tools |