「フェイスブックインパクト」は、日本でのFacebookのマーケティング利用の可能性を真剣に考えたい方にとっては、必読書と言える本だと思います。

4883352439 「フェイスブックインパクト」は、その名の通り、Facebookは世界に、日本にどのような影響をあたえようとしているのか、複数の著者によって考察されている書籍です。
 共著者の高広さんから発売前に献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 今年に入ってからのFacebookブームで、それこそFacebook本もたくさん出てきているために、正直どれを買えば良いのか分らなくなっている方も多いのではないかと思いますが、明らかにこの本はその他の本とは一線を画しています。
 何しろ執筆陣が、Twitter上での論客としても有名なスケダチの高広さん、「キズナのマーケティング」の著者の池田さん、マイクロソフトのソーシャルメディアリードとして名をはせた熊村さん、数々の日本の大企業のFacebookページを手がけている原さん、米国在住で米国のFacebook事情に詳しい松本さんと、豪華なだけで無く、それぞれ明確に異なる自分の専門分野で各パートを担当されていて、共著の設計としてもなかなか見事です。
 一冊で、フェイスブックの基本から可能性、アメリカの事情、日本の活用事例、そしてそもそもフェイスブックは何が今までと「違う」のか、という考察まで、まとめて読むことができますから、こと日本におけるFacebookのビジネス利用を真剣に考えているのであれば、この本は是非読むべき本だと言えます。
 個人的には、「フェイスブック 若き天才の野望」とあわせて読むことをお勧めします。
 もちろん「グランズウェル」や「ビジネス・ツイッターを読んでない方は、この機会にこちらもあわせてどうぞ。
【読書メモ】
■フェイスブックが持つ3つのリアル
・リアルグラフ
・リアルタイム
・リアルワールド
■フェイスブックでできるマーケティングコミュニケーション施策
・話す:情報発信ツールとしての活用
・聴く:傾聴の窓口としての活用
・見る:ヒトとナリ、そしてつながりが見えるということ
■2007年ごろのアメリカ
 フェイスブックを始めたい中学生が急増しており、親がいっしょにフェイスブックのアカウントを開設する家庭が多かった。こうして40~50代のユーザーが増えていった。


■企業がコーズマーケティングを好む理由
・寄り多くの寄付金を集めること(会社の利益も上がる)
・社会貢献により企業イメージをアップさせること
■fコマース
 60%のフェイスブックユーザーと79%のツイッターユーザーが「ある商品のファン・フォロワーになったら、その商品を他人に推薦しやすくなる」と答えている
(チャドウィック・マーティン・ベイリーの2010年3月の調査)
■「フェイスブックは友人や家族とつながるもので、ビジネス・コミュニティではない」これがフェイスブックに対するアメリカでの世間の認識である
■B2Bマーケティングでの活用法
・ネットワークのプロ達が集うコミュニティハブに(CISCO)
・既存顧客と公開質問し、新規顧客獲得(ビッグコマース)
・コンテンツ充実により、業界の注目を集める(ハブスポット)
・情報発信基地として地位を確立(マシャブル、フォレスター、eマーケター)
■無印良品の施策
・くらしの良品研究所との連携
・グローバルアンケートの実施
・フェイスブック限定タイムセール
・有楽町店10周年感謝キャンペーン
■ANAが得たファインディング
・中の人をフィーチャーしたコンテンツの共感が大きい
・画像や動画への共感が大きい
・グローバル施策と反響
・傾聴
■フェイスブックはいわば国際線のターミナルなんですね。ミクシィは国内線や新幹線乗り場。日本だけをターゲットにしてフェイスブックを使うということは、せっかく国際線に乗ったのに行く先は札幌というようなものです。
■「このコラボしている企業の商品はいいんだよ」と言うと”ページが汚れる”んです。では、同ページを活かすかを考えると、リアルに持ってくるという結論に達したんです。ページでイベントの告知はしますが、それは汚れないんです。
■今の日本では西欧から輸入された「社会」と昔から日本にある「世間」という2つの概念がダブルスタンダードとして存在する。だから「society/social」を訳すのが難しいのだ。
■3つのSNS
・ミクシィ=クローズドなソーシャルネットワーク
・ツイッター=オープンなソーシャルネットワーク
・フェイスブック=セミオープンなソーシャルネットワーク
■「デ・マーケティング」拡大しない戦略
 ソーシャルメディア業界では「可視化」という言葉がもてはやされるが、フェイスブックでは「不可視化」も可能なのだ。
■ソーシャルメディアの出現は「integration(統合)」とは真逆のマーケティング手法を示唆している。
 それは「decentration(分散)」や「distribution(配布)」というキーワードこそふさわしい。
■4メディア
・Owned Media 「自社で開発し運営する」メディア
・Paid Media 広告枠や記事などを「購入する」メディア
・Earned Media ブランドやマーケティング活動などについて「取り上げられている」メディア
・User-Initiative Media ユーザー自身が主導権を握っているメディア
■フェイスブックは単なるアーンドメディアではない
・フェイスブックページは「オウンドメディア」である
・フェイスブックの広告枠は「ペイドメディア」である
・個々のユーザーのページ(アクティビティ)は「ユーザー主導型メディア」である
・「いいね!」ボタンは書き込みと同様に「アーンドメディア」である

4883352439 フェイスブックインパクト つながりが変える企業戦略
高広伯彦 池田紀行 熊村剛輔 原裕 松本泰輔
宣伝会議 2011-04-15

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