キズナのマーケティング (池田紀行)

4048685619 「キズナのマーケティング」は、トライバルメディアハウスの池田紀行さんの書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、ソーシャルメディアマーケティングのコンサルティングの第一人者の一人である池田さんならではの視点で、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの考え方について考察されています。個人的にも同意する主張が多いのですが、特にソーシャルメディアの誤解については企業の担当者の方々に早く浸透すると良いなと心から思います。
 マーケティングに携わる方には参考になる点がある本だと思います。
 
 「グランズウェル」や「ビジネス・ツイッター」と合わせて読むのもオススメです。
【読書メモ】
■ソーシャルメディアマーケティングは「魔法」の杖ではない。
 けれど、もしかしたらあなたの会社が抱えている現状の課題を解決する新しいイノベーションを引き起こすことができるかもしれない
■ソーシャルメディアは、より中長期的な顧客や消費者との関係性やエンゲージメントを深める場としての活用に適しているとのムードが高まってきた
■多くの広告主がソーシャルメディアマーケティングに興味をもつ背景
・ソーシャルメディアで情報を発信する人や、発信された情報を見る人の数が増えた
・発信された情報がすべて蓄積されていく
・発信される情報の信頼性が向上した
・消費者の買い物の仕方が変化したこと
■広告の役割は興味を持っていない人に興味を持ってもらうこと(レイ・イナモト氏)


■消費者は二度評価する(梅澤伸嘉)
・1回目の評価が「その商品を欲しいか否か」
・2回目の評価が「買ったあと、買って良かったと思うか否か」
■協業型ソーシャルメディア(Cooperative Social Media)
 消費者と企業が互いに助け合い”協業”してつくっていく場所
■バズ・バイラル型の誤解
・ソーシャルメディアマーケティングで、認知を向上させることは非常に難しい
・情報のコントロールは「不可能」
・バズ・バイラル型でクチコミされる内容は「商品やサービスそのもの」ではない
■アドボカシー・マーケティングの考え方に則れば、顧客や見込み顧客が最高の商品やサービスを見つけることができるように、企業はアドバイスを行う必要がある。しかも、推奨商品は、必ずしも自社商品とは限らないのだ
■アドボカシー型のソーシャルメディアマーケティングに取り組まないことによるリスク・潜在顧客とお近づきになるチャンスを失ってしまうリスク
・競合他社が先にキズナを形成してしまうリスク
・消費者の本音を知らないリスク
・無駄な広告宣伝コストをかけ続けるリスク
・変化したマーケティング環境に適応できないリスク
・手遅れになってしまうリスク
■アドボカシー型のソーシャルメディアマーケティングは、現実社会の人間関係づくりと同じ
■あまり興味を持っていない消費者とのキズナを深めるためのヒント
・あなたが言いたいことではなく、消費者が聞きたいことを考える
・目立つ
・消費者が興味をもつところまでテーマを拡大する
■アドボカシー型の注意点
・小さく生んで大きく育てるの精神で
・担当するスタッフが共有できるルールやガイドラインをつくっておく
・相談できる社内の人やエージェンシーを決めておく
・リカバリー施策を事前に考えておく
・焦らず続ける
■オーダーからオファーの時代へ
 もはやメディアの組み合わせではオファーに応えることはできない
■スコアカードによる効果測定
 普通に純広を打った場合の1回あたりのインプレッション単価や、クリック単価を想定した場合、ブログ、ツイッターなどでの情報掲載、レビュー(評価)、レコメンド(推奨)には、それぞれ広告換算にしていくらくらいの価値があるのかを定めて、それらを全部足して、効果を測定するやり方
■ソーシャルメディアガイドラインの具体的な内容例
・自分が「どこの誰か」公表する
・常に誠意あふれる正直者でいる
・双方向の会話を心がける
・カッコつけず、等身大で親しみを持って接する
・実際に会って話しているように愛を持って接する
・会社の機密情報を公開しない
・知らないことやいい加減なことは言わない
・会社の看板を背負っている意識を持つ
・常にオープンな会話を心がける
・質問には素早く対応する
・誤りはすぐに認め、謝罪する
・誹謗中傷をする
・守るべき法律を確認し、遵守する
■会社の中で進めていくステップ
・すべては「熱意を持った一人」の社内啓蒙活動から始まる
・社内、業界、異業種のソーシャルメディアマーケティングを徹底的に調べる
・部署内外に根回しして仲間を増やし、インフォーマルなチームを組成する
・自社が取り組むべき施策の骨子をつくってみる
・上長を巻き込み、さらなる上位役職者のコミットメントを得る
・社内を啓蒙するソーシャルメディアマーケティングのバイブルを作成する
・社内の主要メンバーにインターナルトレーニングを実施する
・ソーシャルメディアアーキテクトを設置し、企画や展開の全領域を支援・統制する
・効果測定の指標と数値を明確にし、上位役職者の合意を得ておく
・できる限り多くの部署と定期的に情報を共有する
■広告主としては「この企業は、自社で抱えているツールやサービスを売りたいという意向が、どのくらい強いんだろうか」という点は、見極めの大きなヒントになります。

4048685619 キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (アスキー新書)
アスキー・メディアワークス 2010-04-09

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