ビジネス・ツイッター (シェル・イスラエル)

482224797X 「ビジネス・ツイッター」は、「ブログスフィア」の著者とも知られるシェル・イスラエルさんの書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本では、米国のネット業界に詳しいシェル・イスラエルならではの視点で、様々な事例や企業の活動について、担当者のインタビューも含めて詳細に解説されています。
 特にツイッターが始まった過程や、デル等の複数の企業がツイッターの活用を開始した背景について詳細に描かれていますので、米国におけるツイッターブームの背景を考える上で非常に参考になる本です。
 
 本格的にツイッターの活用を考えている企業担当者の方や、ツイッターの本質を理解したい方には、必読書と言える一冊だと思います。
【読書メモ】
■本書を書くために取材するうちに得た大きな教訓は、ツイッターについての「好きなところ、嫌いなところ」がアメリカでも日本でもヨーロッパでも、世界中どこでもほとんど一致していると言う点だった。
■画一的コミュニケーションよ、さようなら。これからは会話的コミュニケーションの時代だ。われわれは過去にうまくいったやり方が通用しなくなる時代にいきている。
■ジェラシック・パーク症候群
 物事がいつの間にかフェンスを破って外に飛び出してしまう
■(Twitterの)公開の日が終わる前に12人のオデオ社員のために開発されたツールには20人のユーザーが参加した。
 公開から3年と2ヶ月後、推定ユーザー数は3200万となった。この成果を得るためにこの会社は、マーケティング、PR、広告のための費用を1ドルたりとも使わなかった。


■ツイッター・ユーザーは若い層が多かったが、そうであっても各職種のビジネス・エグゼクティブであることに変りなかった。この点が「フェイスブック」や「マイスペース」との大きな、そして需要な違いだった。
■2007年6月に(デルの販売担当の)ゲレーロは、ツイッター上にデルのアウトレット・ショップを解説した(@dellOutlet)。これがツイッター最初の通販ショップだった。
■デルが最初にブログを始めてから30日間というもの、不満をいだいた多数の顧客の攻撃にさらされた。(中略)(デルのチーフブロガー)メンチャカはあらゆる不満に耳を傾け、誠実に対応した。(中略)やがて粘着していた不満分子の方が息切れした。
■「われわれはツイッターの本当のパワーは、情報を発信するというより、むしろ効率的に情報を収集できるところにあると気づいた。」(デルのソーシャルメディアのボス ライオネル・メンチャカ)
■デルのソーシャルメディア・チームは、ツイッターの世界を「無言で観察」し始めた。つまり、メッセージを読むだけで自分からは発信しないと言う利用法だ。
 まず「読むだけ」から始めるのは、ソーシャル・ネットワークに慣れるよい方法だ。
■現在デル社では150のアカウントを運用している。デルは「誰がつぶやいているのか」をはっきり公開する方針をとり、多くの企業がこの先例にならった。
「われわれはデルに人間味をもたせようとしている。ユーザーがデルというブランドにではなく、生身の人間に対して話しかけるようにしたいのだ」(メンチャカ)
■コムキャストがツイッターを始めたのは2008年4月だった。ユーザーの第1号はカスタマーサポート部門の中級幹部、フランク・イライアソンが@ComcastCaresというアカウントを作成したときだった。これが大企業がカスタマーサポート専用のアカウントをツイッターに開設した最初の例だった。
■彼は24時間ツイッターに常駐しているように思えた。問題を知ると、イライアソンはさらに顧客に直接電話をかけて詳しい状況を聞き取った。サービス要員を派遣するのに比べて顧客の生活も邪魔されず、会社としても金がかからない方法だった。
■1年間でイライアソンが助けた顧客は2000人にも上った。
■モトリン・ママ事件(2008年11月のある週末に1回流されただけの広告キャンペーン)
 マクニールがソーシャルメディアの価値に気付いていたことは先進的だった。ユーチューブにビデオCMを流そうとしたことは良かった。ところが、そこで大きなミスを犯した。金曜日にビデオをアップロードしたまま、ソーシャルメディア担当は週末の休みに入ってしまった。そしてビデオがターゲットにしていた顧客層はその週末中、侮辱されたという怒りの会話を交わしていたのだ。
■必殺の親切
 ソーシャルメディアで最大の影響力を勝ち取るのは、一番声の大きいメンバーではなく、他のメンバーに一番大きな恩恵を与えたメンバーだ。
■ロゴ・アカウントでつぶやく理由(ホールフーズ)
・権威:ブランド名でつぶやけば、単なる個人としてではなく、会社全体を代表して発言できる
・公私のけじめ:個人名を出さないことによって、うっかり個人的な意見を述べて会社のイメージに悪影響を与えることを防げる
・継続性:担当者の交代がスムーズになる
■「ツイッターに個人的色彩を持ち込むと自然に会話が増えてしまう。そうなると雑音の割合が増えるので好ましくない」(エバーノート シンコフ)
■私はエバーノート社のソーシャルメディアの利用法(ロゴ・アカウントで会話を拒絶している)にはまったく賛成できないが、アップルとグーグルというこの業界の2大トップ企業が同様のトップダウンの軍隊的アプローチを取っていることは付け加えておかねばならないだろう。
■「わが社への外部の理解を深めるには、本社の奥にいる少数の担当者よりも、多くの一般社員が自分の仕事についてつぶやいた方が効果的だ」「われわれはひとにぎりのロックスターを育てて、IBMを代弁させるつもりはありません」(IBM)
■ツイッターによるIBMへの最大の貢献は「クラウドソーシング」効果
■(日立データシステムズで働いていたジェレマイヤ・オイヤンの)最初の成功はデータストレージに関する情報をまとめたウィキを作ったことだった。
■ムンバイ事件
 危険な状況下でのユーザー同士の情報交換の場として、ツイッターは有効だということが証明された。私はこうした会話が好戦的な扇動を抑える効果があるのではないかと期待している。第2に、ツイッターで共有される情報は、概して精度が高いことが分かった。事実ではないうわさが何度か浮上したが、そのつどツイッター上で反論され、沈静化した。
■ハドソン川の飛行機事故
 クラムずが誰かに少しの間アイフォーンを貸すと、おそらくその相手が番号を教えたらしく、数分後にMSNBCニュースのスタジオから電話がかかってきた。クラムズがライブで電話インタビューを受けている間、テレビの画面には彼がアップロードしたばかりの写真が映されていた。
 まさに複合ジャーナリズムが実現した瞬間だった。クラムズの話が事実であることは、この写真がなにより雄弁に語っていた。ツイッターとツイットピックがなければ、クラムズは興味深い体験を友達に語るだけで終わっていただろう。
■pledgetoendhunger.com
 ウェブサイトに掲載されている賛同を示すボタンをクリックすると、オースチンの子供140人に必要な食料を寄付する。このキャンペーンでは14万ポンドの食料が寄付されることになった。
■ソーシャルメディア界における募金活動
・信用を得てから行動しよう
・緊急時に利用しよう
・多くの人に少額の寄付を依頼する方が良い
・チップインのウィジェットを使おう
・感謝の言葉を伝えよう
・情報を更新しよう
・複数のツールを使おう
■ツイッターの解析ツール
・Twazzup
・Twinfluence
・Twitter Analyzer
■ツイッターはモバイルで活用してこそ価値があるツールだ。
 これまで検索サービスが提供してきた「興味軸」での情報提示に加え、どんな人も切り離すことができない「時間軸」「親密軸」そして「空間軸」で情報に絡むことが可能になるからだ。(林信行)

482224797X ビジネス・ツイッター 世界の企業を変えた140文字の会話メディア
林信行(解説)
日経BP社 2010-03-04

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