ジェフ・ベゾス果てなき野望(ブラッド・ストーン)を読むと、Amazonがハンパなく恐ろしい会社であることが痛感できます。

4822249816 「ジェフ・ベゾス果てなき野望」は、Amazon創業者であるジェフ・ベゾスの半生についてまとめられている書籍です。
 献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 GoogleやYahooなど、ライバルのネット企業に比べると、Amazonというのは不思議なほどインタビュー記事や露出が少ない会社という印象を持っている人は少なくないのではないでしょうか?
 実際、ネット企業としての歴史を考えたらAmazonはもっといろんな場面で研究されていてしかるべきだと思うのですが、ECサイトという業態ゆえか、地味な印象すらあります。
 ただ、この本を読むと、Amazonやジェフ・ベゾスのイメージが全く変わるという人も多いのではないでしょうか。
 ジェフ・ベゾスが比較されるべきは、ラリーペイジやマーク・ザッカーバーグではなく、スティーブ・ジョブズであるべきで。
 実際問題、近接する産業において二人はライバルとして比較されるべき存在だったのに、意外なほどにそういう比較が少なかったのが不思議なぐらいと感じられるようになると思います。
 「フェイスブック 若き天才の野望」を読んだときにも、アメリカのジャーナリストというのは一冊の本のために本当に丁寧に取材を積み上げるものなんだなぁとつくづく感心しましたが。
 この「ジェフ・ベゾス果てなき野望」も、そうした事実に裏打ちされた歴史本として、ネット業界の歴史を考える上での必読本の一冊にあげられるようになるのではないかと思います。
 Amazonが何故あれだけ着実に成長できているのか、一歩引いた視点で見てみたい方にはお薦めの一冊です。
 「グーグル ネット覇者の真実」や「フェイスブック 若き天才の野望」、そして「スティーブ・ジョブズ」などを合わせて読むのもお薦めです。
【読書メモ】
■「我々は正真正銘、顧客第一ですし、正真正銘、長期的です。」(ジェフ・ベゾス)
■「我々はモノを売って儲けているんじゃない。買い物についてお客が判断するとき、その判断を助けることで儲けているんだ」


■バーレイザー(基準を高める者)
 優秀な人材の採用に才能を示した社員が就任する
 会社全体の採用基準を高めていくという目的に合わない候補者の採用を拒否する権利を持つ
■バブル崩壊の1年後、ベゾスは広告をすべてなくそうと奮闘していた。
 (2000年のマーケティングの)調査後、アマゾンはテレビ広告をすべてやめただけでなく、マーケティング部門を解体してしまう。
 アマゾンが次にテレビ広告を打つのは、キンドルを発売する7年後だ。
■社内でのパワーポイント禁止。提示したい内容は散文形式で文章にする。
 パワーポイントというのは、コミュニケーション手法としてとてもおおざっぱです。箇条書きにしてしまえば、いろいろなことが簡単に隠せます。
■スティーブ・ジョブズの失敗を繰り返したくない
 iPhoneをびっくりするほど利益が上がる価格にして、競争相手をスマートフォン市場に引き寄せた愚は避けたいというわけだ。
■デジタル音楽でアマゾンが後れを取ったのは、ベゾスが音楽に興味が無いからだという友人や同僚が多い。
 これに対して、スティーブ・ジョブズは、音楽を呼吸するように生きてきた人物だ。
■人気書籍の電子版が低価格で提供された結果、業界は様変わりした。デジタル有利な戦況となり、その結果、リアル書店は苦しくなり、独立系書店は追い詰められ、市場におけるアマゾンの力は強くなった。
■(アマゾンは)勝利者をはっきりさせるためなら、ためらわずに辺り一帯を焼き払う人々なのです。
 
■「我々に大きな強みはない。だから、小さな強みを編んでロープにしなければならない」

4822249816 ジェフ・ベゾス 果てなき野望
ブラッド・ストーン 滑川海彦(解説)
日経BP社 2014-01-08

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